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4-6 自白
もうあまり時間はない。
翌朝の情報交換の際に、真白が集めてくれた証拠を先輩に話す。
「なるほど……。こっちも何とか先生から情報を聞き出して、同じような考えに至ったけど、共犯者の証言があるのは心強いわね。ありがとう、松岡さん」
先輩にも褒められて、真白も嬉しそうだ。彼女が褒められると、オレも自分のことのように嬉しくなる。
「早速今日の昼休み、美珠を呼びましょう」
とは言ったものの、話し合いの場所、ここかよ……。
オレたちが集められたのは、生徒会室。もちろん、会長も奈菜先輩もいる。
美珠先輩は憧れのお姉さんの前で、自分のしてしまったことが暴かれると思ってか、固まってしまっている。
「美珠、残念だけど、調べれば調べるほど、証拠が見つかってしまったわ。あなたが不正をした証拠が」
紗沙先輩は余計なことは言わず、ただ一言を、彼女に告げた。
「自白しなさい」
「……ごめん、なさい……」
美珠先輩は涙を流しながら、頭を垂れた。
「私、姉様みたいになりたくて、でも、なれなくて……それで……」
「でも、よかったよ。不正を隠したまま会長になっていたら、私、美珠を絶対許さないから」
会長の言葉に、美珠先輩ははっと顔を上げた。
「だって、生徒会の看板に泥を塗ることになるのよ? しかも、私の妹が。それが、私の顔にも泥を塗ることになるって、思わなかった?」
「姉様……ごめんなさい……」
「しかもこんなことのために、身体を売り渡すなんて……本当に、バカな妹よ」
いつの間にか、会長の目にも光るものが見えた。
その湿っぽい空気を変えたのは、奈菜先輩だった。
「さて、で、どうするの? ただ自白するだけじゃ、会長にも、美珠にも不名誉な事実はついて回るよ?」
どういうことだ……? 他に何かできることが……?
「そうね……。真実を話して、事実を消してもらうしかないわね」
紗沙先輩は、今のでわかったらしい。
「それについては、私も交渉しましょう。身内の不祥事なわけだしね」
あれ、会長もわかったのか。オレと真白だけ蚊帳の外か……。……真白も、だよな?
ちらと隣に視線を向けると、にこっと笑みを返された。よくわからない。
こうして、この一件は表に出ないまま、美珠先輩の評定を大幅に下げるという処置だけで済まされた。
本来は謹慎もあっただろうが、それでは周りに勘付かれる恐れがある。だからこそ、会長の交渉もあってか、寛大な処置だと言える。
ただ、川瀬先輩にも同様の処罰が下されたことは、言わずもがなだ。
そしてこの日の後、また蔵書がひとつ増えた。そう、あの本の九巻目だ。
全部揃うまであと三巻か。続き、気になるんだけどなぁ。いつになることやら。
そしてオレはまた、この部屋に呼ばれていた。
いつ来ても、この堅い雰囲気には慣れない。今日は奈菜先輩もいないしな。
「倉田くん、この前はありがとう」
「いえ、あれは真白が……」
「それでも、お礼を言わせてください」
会長は改まって、頭を下げた。
そして席に座りなおすと、話題を切り替える。
「さて、次期生徒会役員のことなんだけど、会長は奈菜に任せたいと思うの」
奈菜先輩か……たしかに人選は悪くない。適当に見えて、頭はキレる人だ。人望もありそうだし、行動力も抜群。むしろ適任か。
「それで、君には彼女のサポートを頼めないかと思ってね」
「と、言いますと?」
「そうね。率直に言えば……副会長に、立候補してもらえないかな?」
翌朝の情報交換の際に、真白が集めてくれた証拠を先輩に話す。
「なるほど……。こっちも何とか先生から情報を聞き出して、同じような考えに至ったけど、共犯者の証言があるのは心強いわね。ありがとう、松岡さん」
先輩にも褒められて、真白も嬉しそうだ。彼女が褒められると、オレも自分のことのように嬉しくなる。
「早速今日の昼休み、美珠を呼びましょう」
とは言ったものの、話し合いの場所、ここかよ……。
オレたちが集められたのは、生徒会室。もちろん、会長も奈菜先輩もいる。
美珠先輩は憧れのお姉さんの前で、自分のしてしまったことが暴かれると思ってか、固まってしまっている。
「美珠、残念だけど、調べれば調べるほど、証拠が見つかってしまったわ。あなたが不正をした証拠が」
紗沙先輩は余計なことは言わず、ただ一言を、彼女に告げた。
「自白しなさい」
「……ごめん、なさい……」
美珠先輩は涙を流しながら、頭を垂れた。
「私、姉様みたいになりたくて、でも、なれなくて……それで……」
「でも、よかったよ。不正を隠したまま会長になっていたら、私、美珠を絶対許さないから」
会長の言葉に、美珠先輩ははっと顔を上げた。
「だって、生徒会の看板に泥を塗ることになるのよ? しかも、私の妹が。それが、私の顔にも泥を塗ることになるって、思わなかった?」
「姉様……ごめんなさい……」
「しかもこんなことのために、身体を売り渡すなんて……本当に、バカな妹よ」
いつの間にか、会長の目にも光るものが見えた。
その湿っぽい空気を変えたのは、奈菜先輩だった。
「さて、で、どうするの? ただ自白するだけじゃ、会長にも、美珠にも不名誉な事実はついて回るよ?」
どういうことだ……? 他に何かできることが……?
「そうね……。真実を話して、事実を消してもらうしかないわね」
紗沙先輩は、今のでわかったらしい。
「それについては、私も交渉しましょう。身内の不祥事なわけだしね」
あれ、会長もわかったのか。オレと真白だけ蚊帳の外か……。……真白も、だよな?
ちらと隣に視線を向けると、にこっと笑みを返された。よくわからない。
こうして、この一件は表に出ないまま、美珠先輩の評定を大幅に下げるという処置だけで済まされた。
本来は謹慎もあっただろうが、それでは周りに勘付かれる恐れがある。だからこそ、会長の交渉もあってか、寛大な処置だと言える。
ただ、川瀬先輩にも同様の処罰が下されたことは、言わずもがなだ。
そしてこの日の後、また蔵書がひとつ増えた。そう、あの本の九巻目だ。
全部揃うまであと三巻か。続き、気になるんだけどなぁ。いつになることやら。
そしてオレはまた、この部屋に呼ばれていた。
いつ来ても、この堅い雰囲気には慣れない。今日は奈菜先輩もいないしな。
「倉田くん、この前はありがとう」
「いえ、あれは真白が……」
「それでも、お礼を言わせてください」
会長は改まって、頭を下げた。
そして席に座りなおすと、話題を切り替える。
「さて、次期生徒会役員のことなんだけど、会長は奈菜に任せたいと思うの」
奈菜先輩か……たしかに人選は悪くない。適当に見えて、頭はキレる人だ。人望もありそうだし、行動力も抜群。むしろ適任か。
「それで、君には彼女のサポートを頼めないかと思ってね」
「と、言いますと?」
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