本の購入希望書に悩みを書かないでください。
4-3 心当たり
翌朝、先輩と意見交換をする。
早速昨日、真白と話し合ったことを話してみるが、先輩は苦い顔をした。
「残念だけど、その可能性は低いわ」
「どうしてですか?」
「美珠の見える範囲には、彼女より成績の良い生徒はいないもの」
あー、それじゃあ見ても意味ないか。
「じゃあまたフリダシだね……」
一緒に一所懸命考えてくれただけあって、真白も残念そうにしている。
「先輩は、何かありましたか?」
「別に、わたしも何か調査したわけじゃないから。ただわたしが気になっているのは、先生が言っていたっていう、不自然なところ、という部分ね」
オレたちはそれを、他人の解答と酷似していると解釈したけど、先輩には違う考えがあるのだろうか。
「とりあえず、それについてはわたしが先生に掛け合ってみるから、佑馬くんと松岡さんは、引き続き調査をお願い」
「はい」
情報交換を終えると、先輩は司書室を出ていってしまった。
「ねぇ、佑馬くん。もしカンニングがあったとして、どうしてそんなことしたんだと思う?」
動機か。たしかに、そっちから考えてみてもいいかもな。
「どうしてもいい点を取らなければいけない理由があった。そう考えるのが自然だけど……」
「どうしてもいい点を取らなきゃいけない理由って?」
それがわからないから苦労してるんだろうが。
「さあ……」
「……私はね、なんとなくわかったよ」
「え、マジで?!」
真白、今回のお前、本当にどうしたんだ? 本当に真白か?
しかし、当の真白はなぜかすっかり元気がない。
「うん……。私、少し思うとこあるから、ちょっと自分で考えてみるね。ごめん、佑馬くん」
「あ、いや、いいけど……」
もしかして、真白の過去と何か重なる部分でもあるのか?
とにかく、余計な詮索はしない方がいいな。
「あ、はい、これ。今日のお弁当」
唐突に、可愛らしい風呂敷に包まれた弁当箱を手渡された。
もう切り替えたようで、いつもの笑顔を見せてくれる。
「いつも美味しい弁当をありがとな」
「どういたしまして。そう言ってもらえると、作った甲斐があるってもんだよ」
それだけ言って、彼女は自分の教室に入っていった。
動機の件は真白に任せるとして、カンニングの手口、か。
くそっ、今回はオレの方が役立たずじゃないか。こういう案件の方が得意なはずだろ。以前の制服泥棒に比べたらなぁ。
「なぁ、裕暉。お前、もしカンニングするとしたら、どんな手を使う?」
一応、彼にも聞いてみることにした。こうなったら、使えるものは何でも使ってやる。
「何だよ、唐突に。すんのか? やめとけよ」
「しねぇよ。もしって言ってるだろ」
「でも、そうだな……、職員室に忍び込んで、事前に問題を盗み見る、とかな」
いや、無理だろ……。さすがに厳重に保管してるだろうし、データで保存してて当日印刷するかもしれないし。
すると、珍しい人物が教室にやってきた。
「やっほぅ、佑馬君。今、暇? 暇だよね?」
奈菜先輩だった。暇だと決めつけられてるのは癪だが、実際暇なので文句も言えない。
「お、おい、お前いつの間に副会長と……?!」
「悪いな、裕暉。さっきの話はまた後でになりそうだ」
ついでにその“後で”もいつ来るかわかんないけど。
「オレに何か?」
「ちょっと、キミに会いたいって人がいてね。ついてきて」
と、彼女はオレの返事も聞かず、踵を返して教室を出ていってしまった。
一体なんだっていうんだよ……。
彼女の後をついていくと、辿り着いたのは、生徒会室。その扉の先に待っていた人物を、オレは見たことがあった。
「こんにちは。ようこそ、生徒会室へ」
入学式で在校生代表の挨拶をした、生徒会長で美珠先輩の姉、久連山真珠先輩だ。
早速昨日、真白と話し合ったことを話してみるが、先輩は苦い顔をした。
「残念だけど、その可能性は低いわ」
「どうしてですか?」
「美珠の見える範囲には、彼女より成績の良い生徒はいないもの」
あー、それじゃあ見ても意味ないか。
「じゃあまたフリダシだね……」
一緒に一所懸命考えてくれただけあって、真白も残念そうにしている。
「先輩は、何かありましたか?」
「別に、わたしも何か調査したわけじゃないから。ただわたしが気になっているのは、先生が言っていたっていう、不自然なところ、という部分ね」
オレたちはそれを、他人の解答と酷似していると解釈したけど、先輩には違う考えがあるのだろうか。
「とりあえず、それについてはわたしが先生に掛け合ってみるから、佑馬くんと松岡さんは、引き続き調査をお願い」
「はい」
情報交換を終えると、先輩は司書室を出ていってしまった。
「ねぇ、佑馬くん。もしカンニングがあったとして、どうしてそんなことしたんだと思う?」
動機か。たしかに、そっちから考えてみてもいいかもな。
「どうしてもいい点を取らなければいけない理由があった。そう考えるのが自然だけど……」
「どうしてもいい点を取らなきゃいけない理由って?」
それがわからないから苦労してるんだろうが。
「さあ……」
「……私はね、なんとなくわかったよ」
「え、マジで?!」
真白、今回のお前、本当にどうしたんだ? 本当に真白か?
しかし、当の真白はなぜかすっかり元気がない。
「うん……。私、少し思うとこあるから、ちょっと自分で考えてみるね。ごめん、佑馬くん」
「あ、いや、いいけど……」
もしかして、真白の過去と何か重なる部分でもあるのか?
とにかく、余計な詮索はしない方がいいな。
「あ、はい、これ。今日のお弁当」
唐突に、可愛らしい風呂敷に包まれた弁当箱を手渡された。
もう切り替えたようで、いつもの笑顔を見せてくれる。
「いつも美味しい弁当をありがとな」
「どういたしまして。そう言ってもらえると、作った甲斐があるってもんだよ」
それだけ言って、彼女は自分の教室に入っていった。
動機の件は真白に任せるとして、カンニングの手口、か。
くそっ、今回はオレの方が役立たずじゃないか。こういう案件の方が得意なはずだろ。以前の制服泥棒に比べたらなぁ。
「なぁ、裕暉。お前、もしカンニングするとしたら、どんな手を使う?」
一応、彼にも聞いてみることにした。こうなったら、使えるものは何でも使ってやる。
「何だよ、唐突に。すんのか? やめとけよ」
「しねぇよ。もしって言ってるだろ」
「でも、そうだな……、職員室に忍び込んで、事前に問題を盗み見る、とかな」
いや、無理だろ……。さすがに厳重に保管してるだろうし、データで保存してて当日印刷するかもしれないし。
すると、珍しい人物が教室にやってきた。
「やっほぅ、佑馬君。今、暇? 暇だよね?」
奈菜先輩だった。暇だと決めつけられてるのは癪だが、実際暇なので文句も言えない。
「お、おい、お前いつの間に副会長と……?!」
「悪いな、裕暉。さっきの話はまた後でになりそうだ」
ついでにその“後で”もいつ来るかわかんないけど。
「オレに何か?」
「ちょっと、キミに会いたいって人がいてね。ついてきて」
と、彼女はオレの返事も聞かず、踵を返して教室を出ていってしまった。
一体なんだっていうんだよ……。
彼女の後をついていくと、辿り着いたのは、生徒会室。その扉の先に待っていた人物を、オレは見たことがあった。
「こんにちは。ようこそ、生徒会室へ」
入学式で在校生代表の挨拶をした、生徒会長で美珠先輩の姉、久連山真珠先輩だ。
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