本の購入希望書に悩みを書かないでください。
3-5 双子の姉妹
オレは司書室でお互いにお弁当をつまみながら、奈菜先輩に屋上での出来事を報告していた。
「ふぅん。じゃあ、アレは役に立ったんだね。まぁ、無事解決して何よりだよ」
しかしそのブツのせいで、オレは一週間紗沙先輩の代わりに図書室当番をやる羽目なったのである。
「ええ。ところで先輩。やっぱり図書委員の人数が二人なんておかしいと思うんですよ。どうにかならないですか?」
奈菜先輩は生徒会の副会長だ。何かしら学校側に働きかけてくれてもいいと思うのだが。
「と、言われてもねぇ……。規則上、最低一人でもいれば別に構わないことになってるし」
「そんな……」
真白は頼めば入ってくれそうではあるけど、あんまり投書のことで振り回すのはかわいそうだしなぁ。
それに、あいつは調理部に入ったらしく、たまににこにこしながらお菓子を分けてくれる。楽しそうにやってるのを邪魔したくはない。
「いいじゃないの、二人っきりで。そんなに紗沙が気に入らないの?」
「そういうことじゃないですよ。第一オレ、彼女いますし」
今日もこうして美味しい弁当を作ってきてくれた。
「だいじょぶだいじょぶ、二股くらい、どうってことないって。若さゆえの過ちもまた、青春のスパイスだよっ」
何だ、その格言めいた迷言は……。
「二股なんてしません」
「いや、あたしは佑馬君が二股する方に百銭賭けるね」
おいおい、少ないな。百銭ってたしか一円だろ?
「あ、そうだ。これ、届いてたよ」
奈菜先輩が差し出したのは、例の本の八巻目。
「これ面白いの〜?」
「いいじゃないですか別に。好みは人それぞれなんですから」
この人はやっぱり、先輩に似ているけど先輩じゃない。当たり前だけど。
しかしこうして先輩と同じ顔の人がいると、嫌でも一瞬、その面影を重ねてしまうのだ。
とは言え、やはり似ているのは顔だけ。性格は全然違う。それに、胸も先輩の方が大きい。
「……なぁに〜? どこ見てたの〜?」
……目敏いところは一緒だな。
「いえ、別に……」
「彼女、いるんじゃないの〜?」
「だから、何でもないですって」
うやむやにするのは難しいか……? でもしょうがないじゃんか。見比べちゃうのは。
「……ふぅん。松岡真白さん、だったっけ? 一年B組のね」
「ごめんなさい許してください」
即折れた。情けない。
「佑馬君、今回の件は一つ貸しにしておくから、何かあった時は手を貸してもらうからね?」
「はい……」
そう言い残して、奈菜先輩は司書室を出ていった。
何をやらされることになるかはわからないが、嫌な予感しかしないのはどうしてだろうな……。
「ふぅん。じゃあ、アレは役に立ったんだね。まぁ、無事解決して何よりだよ」
しかしそのブツのせいで、オレは一週間紗沙先輩の代わりに図書室当番をやる羽目なったのである。
「ええ。ところで先輩。やっぱり図書委員の人数が二人なんておかしいと思うんですよ。どうにかならないですか?」
奈菜先輩は生徒会の副会長だ。何かしら学校側に働きかけてくれてもいいと思うのだが。
「と、言われてもねぇ……。規則上、最低一人でもいれば別に構わないことになってるし」
「そんな……」
真白は頼めば入ってくれそうではあるけど、あんまり投書のことで振り回すのはかわいそうだしなぁ。
それに、あいつは調理部に入ったらしく、たまににこにこしながらお菓子を分けてくれる。楽しそうにやってるのを邪魔したくはない。
「いいじゃないの、二人っきりで。そんなに紗沙が気に入らないの?」
「そういうことじゃないですよ。第一オレ、彼女いますし」
今日もこうして美味しい弁当を作ってきてくれた。
「だいじょぶだいじょぶ、二股くらい、どうってことないって。若さゆえの過ちもまた、青春のスパイスだよっ」
何だ、その格言めいた迷言は……。
「二股なんてしません」
「いや、あたしは佑馬君が二股する方に百銭賭けるね」
おいおい、少ないな。百銭ってたしか一円だろ?
「あ、そうだ。これ、届いてたよ」
奈菜先輩が差し出したのは、例の本の八巻目。
「これ面白いの〜?」
「いいじゃないですか別に。好みは人それぞれなんですから」
この人はやっぱり、先輩に似ているけど先輩じゃない。当たり前だけど。
しかしこうして先輩と同じ顔の人がいると、嫌でも一瞬、その面影を重ねてしまうのだ。
とは言え、やはり似ているのは顔だけ。性格は全然違う。それに、胸も先輩の方が大きい。
「……なぁに〜? どこ見てたの〜?」
……目敏いところは一緒だな。
「いえ、別に……」
「彼女、いるんじゃないの〜?」
「だから、何でもないですって」
うやむやにするのは難しいか……? でもしょうがないじゃんか。見比べちゃうのは。
「……ふぅん。松岡真白さん、だったっけ? 一年B組のね」
「ごめんなさい許してください」
即折れた。情けない。
「佑馬君、今回の件は一つ貸しにしておくから、何かあった時は手を貸してもらうからね?」
「はい……」
そう言い残して、奈菜先輩は司書室を出ていった。
何をやらされることになるかはわからないが、嫌な予感しかしないのはどうしてだろうな……。
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