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2-2 捜査と推理
「ごめんね、役に立たなくて……」
「そんなことないよ。真白が被害に遭ってないのがわかってよかったから」
とはいえ、何も手がかりがないのは困ったな。
犯人の可能性は五つ。
内部犯として考えると、男子生徒、女子生徒、教師、事務員の四つ。それに加えて外部犯という可能性だ。
一番目立つ外部犯は可能性が低いだろう。
男子生徒の可能性も低い。見つかるリスクが高いし、何より盗った後の隠し場所に困るはずだ。オレも男だからわかる。
女子生徒という可能性はある。これはいじめがあると想定した場合だけど。ただ今回は学年もクラスも越えて同一の犯行があるし、これも可能性は低そうだ。
そうなると、本命は教師か事務員。教師の場合は授業があるし、特定の曜日の特定の時間帯がターゲットになるはずだ。普段授業に入らない、校長や教頭は別だが。
「真白、被害に遭ったのって、真白のクラスは何人くらいいる?」
「んーと……、四人かな」
真白のクラスは女子は十六人だったと思ったから、被害に遭ったのは四分の一くらいか。うちのクラスには、まだ被害に遭ったやつはいなさそうだから、多い方だと思う。
「その子たちの共通点とかは? 全員友達同士とか?」
「うーん、別にそういうわけでもないんだよね。みんな可愛い子ってくらいかな」
可愛い子って、随分ざっくりだな。それに、女子の思う可愛いは男子の思う可愛いとは違うから、あんまり参考にならないぞ。
「それだと、真白が被害に遭ってないのはおかしい。別の共通点があるはずだ」
「他に……って、今さりげなく褒めてくれた?」
流してくれればよかったのに。指摘されると恥ずかしくなるだろうが。
「いいから、他の共通点は?」
「あ、みんな胸が大きめだと思う。だから私は狙われてないのかも」
「なるほど……」
確かに、真白はあんまり膨らんでないしな。オレはこっちの方が好みだけど。あ、そういえば、先輩もどちらかと言うと大きめか。
「あんまり見ないでよ……」
「……ごめん。他には何かあるか?」
「んー……、思いつくのはそんなところかなぁ。部活とかも違うし」
あ、そうだ、もう一つ。
「その四人が被害に遭ったのはいつだ? みんな同じ日?」
「ううん。リナが先週の月曜日の二限で、西川さんとマイちゃんが先週の金曜日の五限。ミコちゃんは今週の月曜日の二限だよ」
「全部体育の時間?」
「うん。体育はあと水曜日にもあるけど、先週と昨日は誰も被害に遭ってないよ」
なるほどな。特定の曜日の特定の時間帯がターゲットになってるっぽいな。
うちのクラスが被害に遭ってないのは、犯人の都合が悪いからなのか、それとも単に好みの奴がいないからなのか。
「真白のクラスで可愛くて胸が大きめの子って、他にいるか? もしいれば、明日の五限に気をつけた方がいい」
「わかった。伝えとくね」
オレと真白は先輩に報告をしに、一度司書室に戻った。
「それで、何かわかった?」
「更衣室については何も。ただ、被害者の共通点として、可愛くて胸が大きめの子が狙われてる可能性が高いです」
「なるほど……たしかに、思い当たる人は全部そうだわ」
ふと、ジャージに身を包んだ先輩を上から下まで眺めてみる。
「……何? わたしは例外だと言いたいわけ?」
「いえ、先輩も例に漏れずだなぁと思いまして」
そう言うと、隣の真白が少し不機嫌そうに咳払いした。
「先輩の方は、何か気になることありましたか?」
「いえ、今のところ何も……」
わかったのは被害者の共通点だけか……。
オレはここで、ある重大なことに気がついた。
「待てよ……。おかしくないか?」
「何がおかしいの?」
「だって、どうしてその制服が、可愛くて胸が大きめの子のものだってわかったんですか? たまたまなんてもんじゃないはずですよ」
内部犯かどうかに関係なく、服だけでそれが誰のかを判別するのは難しいはずだ。名前でも書いてあれば別だが、書いていたとしても全員が全員書いているとは思えない。
「たしかにそうね……。ってことは、もしかしたら……」
「更衣室内は、盗撮されている」
オレがその可能性を口にすると、真白はオレの腕にしがみついてきた。
「で、でも佑馬くん、更衣室にはそんなもの……」
そりゃ、真白の探し方じゃ見つからないところにあるだろうよ。
「今度はオレも中に入ってちゃんと探して……」
「そ、それはダメだよ! 佑馬くんが犯人にされちゃうよ」
それを言われると辛いが……でも……。
「もう一度考えをまとめて、何かしらの作戦を練った方がいいみたいね。これは宿題にするわ」
時間も時間なので、この話は明日に持ち越しになった。
「そんなことないよ。真白が被害に遭ってないのがわかってよかったから」
とはいえ、何も手がかりがないのは困ったな。
犯人の可能性は五つ。
内部犯として考えると、男子生徒、女子生徒、教師、事務員の四つ。それに加えて外部犯という可能性だ。
一番目立つ外部犯は可能性が低いだろう。
男子生徒の可能性も低い。見つかるリスクが高いし、何より盗った後の隠し場所に困るはずだ。オレも男だからわかる。
女子生徒という可能性はある。これはいじめがあると想定した場合だけど。ただ今回は学年もクラスも越えて同一の犯行があるし、これも可能性は低そうだ。
そうなると、本命は教師か事務員。教師の場合は授業があるし、特定の曜日の特定の時間帯がターゲットになるはずだ。普段授業に入らない、校長や教頭は別だが。
「真白、被害に遭ったのって、真白のクラスは何人くらいいる?」
「んーと……、四人かな」
真白のクラスは女子は十六人だったと思ったから、被害に遭ったのは四分の一くらいか。うちのクラスには、まだ被害に遭ったやつはいなさそうだから、多い方だと思う。
「その子たちの共通点とかは? 全員友達同士とか?」
「うーん、別にそういうわけでもないんだよね。みんな可愛い子ってくらいかな」
可愛い子って、随分ざっくりだな。それに、女子の思う可愛いは男子の思う可愛いとは違うから、あんまり参考にならないぞ。
「それだと、真白が被害に遭ってないのはおかしい。別の共通点があるはずだ」
「他に……って、今さりげなく褒めてくれた?」
流してくれればよかったのに。指摘されると恥ずかしくなるだろうが。
「いいから、他の共通点は?」
「あ、みんな胸が大きめだと思う。だから私は狙われてないのかも」
「なるほど……」
確かに、真白はあんまり膨らんでないしな。オレはこっちの方が好みだけど。あ、そういえば、先輩もどちらかと言うと大きめか。
「あんまり見ないでよ……」
「……ごめん。他には何かあるか?」
「んー……、思いつくのはそんなところかなぁ。部活とかも違うし」
あ、そうだ、もう一つ。
「その四人が被害に遭ったのはいつだ? みんな同じ日?」
「ううん。リナが先週の月曜日の二限で、西川さんとマイちゃんが先週の金曜日の五限。ミコちゃんは今週の月曜日の二限だよ」
「全部体育の時間?」
「うん。体育はあと水曜日にもあるけど、先週と昨日は誰も被害に遭ってないよ」
なるほどな。特定の曜日の特定の時間帯がターゲットになってるっぽいな。
うちのクラスが被害に遭ってないのは、犯人の都合が悪いからなのか、それとも単に好みの奴がいないからなのか。
「真白のクラスで可愛くて胸が大きめの子って、他にいるか? もしいれば、明日の五限に気をつけた方がいい」
「わかった。伝えとくね」
オレと真白は先輩に報告をしに、一度司書室に戻った。
「それで、何かわかった?」
「更衣室については何も。ただ、被害者の共通点として、可愛くて胸が大きめの子が狙われてる可能性が高いです」
「なるほど……たしかに、思い当たる人は全部そうだわ」
ふと、ジャージに身を包んだ先輩を上から下まで眺めてみる。
「……何? わたしは例外だと言いたいわけ?」
「いえ、先輩も例に漏れずだなぁと思いまして」
そう言うと、隣の真白が少し不機嫌そうに咳払いした。
「先輩の方は、何か気になることありましたか?」
「いえ、今のところ何も……」
わかったのは被害者の共通点だけか……。
オレはここで、ある重大なことに気がついた。
「待てよ……。おかしくないか?」
「何がおかしいの?」
「だって、どうしてその制服が、可愛くて胸が大きめの子のものだってわかったんですか? たまたまなんてもんじゃないはずですよ」
内部犯かどうかに関係なく、服だけでそれが誰のかを判別するのは難しいはずだ。名前でも書いてあれば別だが、書いていたとしても全員が全員書いているとは思えない。
「たしかにそうね……。ってことは、もしかしたら……」
「更衣室内は、盗撮されている」
オレがその可能性を口にすると、真白はオレの腕にしがみついてきた。
「で、でも佑馬くん、更衣室にはそんなもの……」
そりゃ、真白の探し方じゃ見つからないところにあるだろうよ。
「今度はオレも中に入ってちゃんと探して……」
「そ、それはダメだよ! 佑馬くんが犯人にされちゃうよ」
それを言われると辛いが……でも……。
「もう一度考えをまとめて、何かしらの作戦を練った方がいいみたいね。これは宿題にするわ」
時間も時間なので、この話は明日に持ち越しになった。
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