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冥界の王が転生してヤンデレ嫁から逃げ…られなかった件。

エルトベーレ

十二話 帰還

「ハデス様。昨夜、ミントのところへお行きになりましたね?」
「なぜわかる?」
やっぱり見られてたか。出入りの際は気をつけたはずなんだけどな。
「匂いでわかりますよぉ。次そんなことをなさったら、焼き払っちゃうかもしれません。……もう、しないでくださいね?」
「はい……」


地上に帰る前に、一度玉座の間に顔を出す。
「ヘカテー。すまないが、もうしばらく頼む」
「今度はいつお戻りになられますか?」
「もちろん、わたしが冥府に縛られている冬の間は、ずっと側にいてくださいますよね……?」
ヘカテーの問いに付け加えるように、ペルセポネが懇願する。
「……そうだな。また考えておくよ」
それだけ言って、オレとペルセポネは来た時と同じように、暗い空間を登っていく。


扉をくぐると、まぶしい光に目が眩んだ。
久しぶりの太陽の光は、こんなにも眩しいのか。いや、違う。これは……。
「闇の女神め、冥府にお帰り願おうか」
太陽神の加護を得た、蘭だった。
「さ、崇馬、こっちに」
引っ張られるままオレは扉の外に出たが、ペルセポネは光に抑えこまれて扉を抜けられないようだった。


「くっ……。……“冥府魔道の女王の名において命じる”」
なんだ、これ……詠唱?
『マズい、あいつを止めろ! 早く!』
ハデスにいつもの冷静さはなく、オレは蘭を突き飛ばして光を消させた。
「“我が眷属よ、闇を払う忌まわしき光を喰らい……”」
ダメだ、それでも詠唱は止まらない。空には暗雲が立ち込め、辺りは夜になったように暗くなっていく。
こうなったら、あれしか……。


オレはペルセポネと正面切って対峙する。彼女の目は虚ろで、オレのことなんか見えていないようだ。
「“地上のあらゆる生命を焼き尽くす業火を”……んんっ?!」
唇を塞ぐことで、オレはペルセポネの詠唱を無理やりに止める。
すると、雲が晴れて、元のように青空が戻った。
「目、覚めたか?」
「……ごめんなさい」
しょんぼりするペルセポネの頭を撫でてやる。
「でも、あいつが悪いんです。だから、殺してもいいですよね?」
と、蘭の方を指差した。
「殺すのはダメだ。前にも言っただろ?」
「じゃあ、せめて……」
ペルセポネはあの鎌を取り出し、詠唱を始める。
「“冥府魔道の女王の名において命じる。人ならざる力を得し人の子よ、裁きの力をもって、我が鎌がその力を失わしめたり”」
そう唱えて鎌をふりかざすが、蘭には傷一つつかなかった。
「え、あれ……?」
「何をしたんだ?」
「内緒です♪」

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