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冥界の王が転生してヤンデレ嫁から逃げ…られなかった件。

エルトベーレ

十三話 冥王の憂鬱

オレがペルセポネに構ってばっかりだから、学校の友達との付き合いは悪くなり、なぜか彼女ができたという噂が立っていた。
「おい、どうなんだよ」
「白状しちゃえよ」
そんなんだから、オレは格好のネタにされていた。
唯一事情を知っている蘭に救いを求めて視線を送るも、見事に無視されてしまった。


「ん? もしかして、笠戸さんか?」
「ちげーよ。それだけは違う」
「強く否定するところが怪しいな~」
「オレに彼女はいない」
間違ってはいないよな。ペルセポネは妻だし。
「とにかく、この話はもうやめだ、やめ」
「ちぇっ、つまんねーの」
まったく……。


ペルセポネはいつまでうちにいるつもりなんだろうか。
そういえば、冥府に下った際、冬の間は冥府に縛られるとか言ってたな。
『決まりでな。あいつは一年のうちの三分の一は冥府で過ごさないといけないのだ。本来は私も一年中冥府で過ごさなければいけないのだが、転生という抜け道を使って上手くかわしている』
法の抜け穴ってやつか。神様もよくやるねぇ。
『ペルセポネも法の穴を掻い潜って死者を限定的に甦らせたりしている。私は知らないと思っているようだがな』
ペルセポネ様は慈悲深い女王なんだな。
『そうだろう? あいつも根は心優しい子なんだ。だがどうしてこう、女性に厳しいのか……』
ハデス様にも色々悩みがあるらしい。
とか他人事じゃないのが今のオレなんだけど。


「スーマ様、世に女性はわたしだけでいいとは思われませんか?」
家に帰ると早速これである。
「どういうこと?」
「わたし以外の女性はいらないですよね? 邪魔ですよね? 冥府に送りましょうよ」
浮気相手になりえる女性は皆殺しにしよう。そう言いたいらしい。
その理屈でいくと、実はオレ、男が好きなんだとか言うと、じゃあ男性も皆殺しにしましょう、とか言い出しかねない。
「そんなことしたら冥府がまた大忙しになるだろうが」
「わたし、不安なんですよぉ……。わたしのこと、本当に好きですか? 愛してくれていますか? わたしはアフロディーテほど魅力もありませんし、アテナほど知恵もありません。わたしは冥王の妻にふさわしくないと、いつか捨てられてしまうのではないかって……」
そうか……。自分に自信がないんだな。ハデス様は拐ってまでペルセポネがほしいと思ったというのに。
「だから、目移りなさらないように、世の女は全て殺しましょう?」
あれぇー? そこがおかしいんだよなー。
「まずは落ち着け……」

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