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冥界の王が転生してヤンデレ嫁から逃げ…られなかった件。

エルトベーレ

八話 花の乙女

「わたしのスーマ様に手を出そうなんて……殺しちゃうんだからっ♪」
ペルセポネは手にした鎌を蘭に振りかざす。それを、蘭もアポロンの加護を使って防いでいる。
契約の直後で胸元をはだけさせたままなのが目に毒だ。直視できない。


「やっぱりアポロンの加護……。でももう陽は落ちたし、いつまで持ち堪えられるかしら?」
ペルセポネの言葉通り、蘭の方が徐々に押し負けていっていた。
そしてついには、彼女を守っていたアポロンの加護が破られてしまった。


「……あははっ、あははははっ♪ さようなら」
ペルセポネの鎌が、蘭の首筋に触れる。が、刃は届かない。
「あ……これ……は……」
この結界が誰によるものなのか、彼女にはわかったらしい。
「どうして……んっ……」
振り返った彼女の唇を無理やりに塞ぐ。瑞々しくて、とろけそうなほど柔らかい。
「思い出してくれ。オレが好きだったのは、可憐に花を愛でるお前だった。だが、今のお前は何だ? そんなの、闇の女神だなんて言われても仕方ないじゃないか。思い出してくれ、コレー」
彼女は手にした鎌を取り落として、今度は彼女の方から唇を重ねてきた。


「ごめんなさい……。わたし……」
「わかってくれればいいよ」
オレは彼女の頭を優しく撫でてやる。と、彼女はオレにぎゅっと抱きついてきた。それが愛らしくて、オレも彼女を抱きしめる。


自分でも、なぜこんなことをしたのかわからない。
もしかしたら、以前からハデス様がオレに見せてきた夢が、ペルセポネとの思い出が、オレを駆り立てたのかもしれない。


「蘭、気持ちは嬉しいけど、オレは大丈夫だから。ペルセポネは悪い女神じゃないし、オレも誑かされてるわけじゃない。でも、ありがとうな」
呆然としていた蘭は、オレの言葉で我に返ったようで、はだけた胸元を慌てて隠した。
「……今度、ちゃんと説明してよ?」
「ああ、もちろん」


「それから……私の胸、見たでしょ? ……責任、取ってほしい」
今それを言うかよ……。
「……スーマ様、あいつ殺していいですか?」
「落ち着け、ペルセポネ」

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