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冥界の王が転生してヤンデレ嫁から逃げ…られなかった件。

エルトベーレ

七話 契約

「人間のくせに……邪魔をするなっ!」
ペルセポネが突き出した右の掌から、黒い影のようなものが勢いよく飛び出し、笠戸さんに向かって一直線に伸びる。
「危ない、笠戸さん! ペルセポネもやめろ!」
しかし、それは彼女に触れる手前で、なにかに阻まれるように霧散してしまった。
「なっ?! お前、いったい……」
ペルセポネも驚きを隠せずにいる。一体どういうことなのだろう。
「崇馬から離れなさい、邪悪な女神め!」
「なんですって……!」
笠戸さんが何かをこっちに向けると、目が眩むような、体が焼けるようなまぶしい光が差し込み、ペルセポネに隙ができた。
「この光……まさか、アポロンの……?」
笠戸さんは、その隙を逃さなかった。
オレは部屋に飛び込んできた笠戸さんに連れ出され、彼女の家に連れ込まれたのだった。



「崇馬、大丈夫? 何かされなかった?」
どうやら何か誤解しているらしい。ついでに言うと、ペルセポネが女神であることはなぜか知っていたみたいだけど、オレがハデスであることは知らないようだ。
「笠戸さん……何者なんだ?」
「私は太陽神であるアポロンの寵愛を受けているの。だから、あれくらいのことはできるわ」
あれくらいのこととか言われても……。
さっきまで学校で会っていたはずなのに、別の人のような感じだ。確かに今の彼女は、ペルセポネに近い何かを感じる。


『この女の言っていることは多分本当だ。ただ、我々と違い、普通の人間。つまり、不死ではない』
ということは、ペルセポネの気分次第では殺されるかもしれない、と。
『正体を明かし、主従の契約を結べば、あるいは助けてやれるかもしれない』
主従の契約……どうやって?
『それはな……』


「崇馬、どうかした?」
ハデス様と交信してるときはぼーっとしている状態になるから、笠戸さんに心配されてしまった。
「あ、いや……名前で呼ばれたの、久しぶりだなって」
「あ……つい。私のことも、昔みたいに名前で呼んでよ」
「……らん。君は、ペルセポネをどうするつもり?」
笠戸さんはいつになく真剣な顔つきになる。
「崇馬をたぶらかす邪悪な女神は、私が冥界に送り返してみせる。だから、崇馬は心配しないで」
そっか……。どちらとも、危険な目には遭わせられない。やはり、これをやるしか……。


「“なんじの大切なものを我に預けよ。さすれば汝に加護を与えん”」
ハデス様に教わった通り、蘭に強制的に働きかけ、主従の契約を結ばせる。
「私の大切なもの……」
彼女はいつも固く閉ざしているブラウスをはだけさせ、その下に眠るピンクのブラで覆われた果実を露わにした。
オレはそれを押し上げて、彼女の胸元へと手を伸ばす。
「んぅ……あっ……」
オレの肘から先は、二つの大きな果実の間をすり抜けて、彼女の中へと入っていく。そして、彼女の大切な何かを掴み、引き抜いた。
それを今度は自分の中にしまい込む。
『これで契約は完了した』
何を預かったんだ?
『それは調べてみないとわからない』


するとそこへ、彼女が現れる。大きく禍々しい鎌を手にした目が虚ろな少女。
「あはっ、みーつけたぁ♪」

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コメント

  • ノベルバユーザー325817

    これってハデスってばれたらどないするんやろ…

    1
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