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冥界の王が転生してヤンデレ嫁から逃げ…られなかった件。

エルトベーレ

六話 笠戸さん

昼休み。いつものことながら、オレは笠戸さんと向かい合って弁当を食べていた。
周りから見れば特別な関係に見えるかもしれないが、そんなことはない。これがオレと笠戸さんの普通の距離感なのだ。


「羽出くん。今度また勉強会、お願いしてもいい?」
「え? あー……」
笠戸さんは理系科目は得意でも、文系科目は苦手だった。対してオレは、理系科目が苦手で文系科目が得意。足して割ればちょうどいいね。ということで、オレと笠戸さんのテスト前の恒例行事となっていた。
しかしながらその勉強会も、迂闊に実施するのは今のオレには文字通り死活問題でもある。というか、笠戸さんの安全を保障できない。
「たまには笠戸さんの家で、どうかな?」
「えー、どうして? 何か見られてマズいものでもあるのー?」
見られてマズくは……あるね。ペルセポネのあの甘えっぷりを見られたら、オレは社会的に死ぬ。あ、でも記憶操作してもらえばいいのか。
「冗談だよ。別にいいよ、うちでも。変なことしないなら」
「かえってしてほしいみたいだぞ?」
「もう、羽出くんのバカ」
そのいじけた姿は、いつもなら可愛らしいと思えるはずが、今のオレにはなんとも思わなかった。


「ただいま」
いつもは誰もいない家も、今日からは出迎えてくれる存在がある。
「おかえりなさい、スーマ様」
見れば、彼女は昨日と違い、現代人が着るような白いひらひらしたワンピースを身に纏っていた。
「その服どこで見繕ったの?」
「その辺はお気になさらず」
神の御業というやつなのだろうか。そんなことに使っちゃっていいのか?


玄関まで出迎えてくれたペルセポネと一緒に二階の部屋まで上がると、彼女はオレの腕を引いて、ベッドに押し倒した。
「わたしを置いて、どこに行っていらしたんですか? わたし、すっごく寂しかったんですよ?」
「ごめん。でも学校行かないといけないからさ。明日も昼間はいないんだ」
「どうして学校に行かなくてはいけないのですか?」
どうしてって……考えたことなかったな。
「その学校というものをなくしてしまえば、ずっとわたしと一緒にいられますね」
笑顔でなんてこと言ってんだ。そりゃあまぁ、神様にとってみれば、学校の一つや二つ、大したものじゃないかもしれないけどさ。


すると、開いていた窓から一筋の光が差し込んできた。
「危ないですっ!」
ペルセポネがオレを庇うようにして抱きかかえた。と、その身体が崩れる。
見ると、背に光の矢が刺さっていた。
「あ、おい、ペルセポネ! 大丈夫か?」
オレが矢を引き抜くと、ペルセポネの身体を黒い靄のようなものが包み、傷口が塞がった。
「人間風情が……っ」
彼女が言い放つ先に見えたのは……笠戸さんの姿だった。

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