8つ子の最後の一年

MINON

Story7.性別

私は、8つ子の中で唯一女に生まれた。小学校低学年あたりまでは、そのことに納得できなかった。
「おれも兄さんたちと行きたい!」いじめられっ子の光也兄さんや、体の弱い桃也兄さんがボコボコにされて帰ってきて、他の兄さんたちが報復しに行くとき、いつも私はこう言っていた。一人だけ女であることに納得できないから、一人称は「おれ」だった。しかし、兄さんにはこう返される。
「お前は女なんだから無理すんな」
こう言われて、渋々引き下がる。しかし、昔の私はこれで懲りることはなかった。
髪の毛を伸ばさなかったり、スカートを履きたがらなかったりと男である兄さんたちと一緒であろうとした。
我ながらしぶといなぁ。
しかし、一緒で"いられなくなった"。思春期がきた。もう兄さんたちと同じことは出来ない。そう思うと、悔しかった。
そんなとき。
光也兄さんが、思わぬ一言を言ってきた。「俺は、今の紫音の方が好きかな」光也兄さん曰く、分かりやすいということだ。それを聞いて、今。
"私"は、ありのままの姿でいる。

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