異世界召喚に巻き込まれたんだが、勇者がかなり弱くて人生詰んだ。

ノベルバユーザー210019

番外編 もう一人の幼馴染と猿 01

「俺の昨日の夕飯当ててみ?」「……チキン南蛮」
 「じゃ一昨日は?」「焼き鮭と肉じゃが」
「おっほほっーやるねぇ君。……さてはタクト・ソムリエだな?」
「ぶん殴ってやろうか」
俺のベッドの上で踏ん反り返っているタコ野郎こと峰岸託斗をふんだんに睨みつけてやる。
こいつの両親が今絶賛出張中で4日ほど前から俺んちに入り浸ってやがる。同じもん食ってんだから答えられるのは当たり前だろうが。
「ジョークだろジョーク。因みに今日は焼きそばらしいぞ」
「おいまて、なんでお前が知ってて俺が知らんのだ!」
「みぃちゃんとメル友じゃけーのぉ。」
非常に不愉快である。
みぃちゃんとはウチの母のあだ名なんだが、まぁ小せぇ頃からの付き合いだからそういう事もあるさ。
俺は恥ずかしいからタクトの親はどちらも下の名前をさん付けで呼んでるんだが、タクトはそういう所気にしねぇから未だにみぃちゃん、たぁくんとか言ってる。
そもそも自炊くらい自分でできるんだから勝手にやらせときゃ良いものをうちの親ときたら「タクちゃんならウチが面倒見とくから大丈夫よーっ」なんてバカな事いって泊まらせんだよ。
ーー勿論俺の部屋に。
お陰様で、俺の大切な大切なパーソナルスペースこと自室で一人まったりと過ごす大切な時間がもう4日も失われているんだ、こちとらストレスマッハだよ。
「そいやさ、あれ聞いた?あれ」
「御都合主義じゃねーんだぞ、しっかり喋れや」
聞いてねーの?うちの学校で超ホットなあの話題を知らねーの?なんていうこのバカ、腹立つ事この上ない。あれで会話が成り立つなんてそんなの夢物語だっつの。俺だったら食卓でアレって言われたら問答無用で墨汁渡してやるね、目玉焼きにかけて食べるといい。
「通報があったから駆けつけたらヤンキー100人がボッコボコにされてたってやつ」
「なんだその非現実的な御話」
「しかも相手一人だぜ、一人」
ヤンキー100人って、んなアホな。最近じゃ10人みつけんのだって難しいだろ……
「なんかスゲェ奴が飛んで跳ねて駆け回って、木の棒で一人ずつぶっ倒していったらしい」
「あるあ…ねーよ」
「でも信憑性のある話なんだなぁこれが。なんてったって通報者はあの委員長だぜ?」
「あの委員長か?」「あの委員長だ」
そりゃあ……信じるほかないわなぁ……。少しだけ興味がわいた。
「暇だしな、ちと出張るか。」「おん」
ーーーーー
『はい、もしもし』
「おー委員長、今から家行ってもいい?」
『……電話する時はしっかり名乗りましょうね賢治』
「通じてんだからいいじゃねーか。あ、着いたわ」
『もうっ……少し待ってて、今二階だから』
ツー…ツー……
「委員長の家、何気久しぶりじゃね?」
「あー言われてみればそんな気がしてきたわ。いつ以来だ?高校入ってから行ってないよな」
ーガチャン
「お待たせ…やっぱり託斗もいるのね」
心外な、別に運命共同体なんかじゃねぇんだからそんな当たり前みたいな反応するんじゃないよ
「こいつの親今出張なんだって」
「ああ、そういう事ね。立ち話もなんだから上がって頂戴、リビングの位置はわかるでしょ?私はお茶汲んでくるから。」
「至れり尽くせりでござんす。」「わりぃな」
委員長こと、宮藤くどう愛梨あいり
まぁ一応こいつも幼馴染みたいなもんだわな。流石に、高校に上がると性別の壁ってのは大きいもんでガキの頃みたいに集まって遊んだりすることもなくなっちまったんだけれど、別に仲が悪いわけじゃない。
『お邪魔しまーす』
この時間なら親御さんは仕事に行ってるはずだし、家には愛梨しかいないことくらい知ってるが礼儀はつくさんといかんだろう。
「うほー懐いなぁ、見てみろよ賢治」
「うわっこれ身長測った線か!」
当時10歳だったろうか、俺たち3人で背比べをよくやっていたもんだ。愛梨は昔から小柄だった為、常に最下位だったもんだが意地っ張りで俺たちが来るたびに負け戦を挑んできたんだよなぁ
「おーい、委員長!後で身長測ろうぜっ!」
『いーやーっ!』
「はは、怒ってら。」
流石にもう挑みには来ないか、あいつも成長したもんだ。
「まぁ、取り敢えず座っとくか。」
リビングとダイニングが一体となっているタイプの広い部屋に俺達は入ると迷わずに四人用テーブルの座椅子に腰掛ける?昔から壁側に託斗、向かいに俺が座ってその隣に愛梨が座ってた。
「お待たせ、お茶切れてたからオレンジジュースにしたけど別にいいでしょう?」
「一向に構わんよ」「寧ろ好きだわなぁ」
「それで、わざわざ休日にどうしたの?」
「ん、そりゃまぁ……アレだろアレ」
「そうそう、アレだよアレ」
「貴方達、身体だけは大きくなった癖に本当そういう所だけは変わらないわね……」
失敬な、託斗と一緒にしないでほしいね。



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