異世界召喚に巻き込まれたんだが、勇者がかなり弱くて人生詰んだ。

ノベルバユーザー210019

011 大体の父親は娘が命とかいうあれ

やばい、完全に雰囲気に飲まれてら。みたところタクトも完全に足がすくんでやがる。仕方がないっちゃ仕方がないよな。背負ってるものが違うんだぜ、俺たちは自分の命支えるだけで精一杯なのにあちらさんとくれば数千数万人の命を背負ってやがるんだぜ、そりゃあ足だってすくむだろう、普通。
でもこのまんまじゃやべーな、頭で理解してはいるがどうしても口が動かない。
そっか、動かないなら頭の中で言えばいいじゃん。
エクスプロージョン!
バガァンッ!「びーふすとろがのふぁっ!?」
『!?!?!?』
突然の勇者の自爆に驚愕を隠せていない面々、これには王様も驚かざるをえなかったようだぬ。
「タクト殿は大丈夫なのか…?」「あ、はい。体質なんですよ、そういう」「そんなわけないでしょうっ!?」
あ、やかましい馬鹿たれがでてきやがったなぁ。とりあえず、とんでもない威圧感が消えたから俺も自由に動けるようになったな。
ありがとうタクト、お前の事は忘れないから。
「まぁまぁ、落ち着けよ馬、ステラ」「い、いま馬鹿って言おうとしましたっ!」「鹿いってねーからノーカンだろ」「そんな屁理屈が通じるわけないでしょうっ」「じゃあねじ込むしかねーな、ちょっとイタイぞ?」「ど、どこにねじ込む気ですか…?」
はい、もうシカトしましょうね。
「ふ、ふふ。ははははっ!」「お父様っ!?」「いや、すまん。そこまで生き生きしたお前を見るのは実に久しい事だったのでな。なぁ、アイリス。」「えぇ。ステラ?貴方とっても楽しそうよ?」「んなっ!お母様までそんなっ!?」
あ、これ空気読むやつやんね。とりあえず目が覚めそうなタクトの事ふんどこ。結構踏み心地いいな、こいつ。お、動いた。ふんっ!
「んごっ!?」
危ない危ない、久しぶりの家族団欒を邪魔しちゃあいかんよね、それに踏むの楽しいしもうちょっと踏みたい。
ーーーーー
「あーっと、そろそろいい?」 軽く20分くらい経っているし、もういいだろ…踏むのも飽きたし。
「む、すまない…久しく体調が良かったものでな。つい話し込んでしまったようだ、話を戻そうか」「うん、とりあえず俺らが返事からしようか、おいっタクト起きやがれ」「んあっ!?お、おうどういう状況?」「ほら返事すっぞ、もう決まってんだろ?」「あったりめーよ」
『その頼み、引き受けたぜっ!』
まぁ、もうここまできたらやるしかねーっしょ?せいぜい働こうじゃないの、 さっさとこのクソ話を終わらせるために。
ーーーーー
「そんじゃステラの姉貴は別の国に嫁いでるんだ?」「そうなるな。なんとしてでもさせまいと私自ら動いたのだが、やはり運命には逆らえなかったようだ。」「あんた結構親バカなんだな」「ははっそういうな。私とて結局は父なのだ」
エレオノーラの国王ことガイン・グレンデール・エレオノーラ。最初に受けた印象とは打って変わって、とても喋りやすい人物であった。病に倒れるまでは他国から《絶対王者》とまで呼ばれ恐れられる存在であったそうだ、先ほどその片鱗を味わったのだ、その異名も頷けるというものだ。
「それやったらあと二人は?」 
嫁いだステラの姉の地位を繰り越してステラは第三王女になった筈だ、ならあと二人兄もしくはあねがいるはすだろう。
「あぁ…まぁ、そのだな。私が倒れた時に父上を助ける方法を探してまいります!などと言って次男は出て行ったんだが、長男の方は数年前に勝手に放浪の旅に出て行ったっきり帰ってこない」「…大変だなガインさん。俺も身勝手なケンジにいっつも付き合わされるからよくわかるわ…」「おう、お前がいうかそれ。お前がいうのか」「ああ、すっかり忘れていました。そういえば今朝方ジェイスから文が届いたそうですよ、貴方。」「おお、そうか。文だけは届けるジェイスの方がフェルディより幾分とマシだな。」
第二王子がジェイスで第一王子がフェルディのようだ。
「フェル兄様は身勝手すぎますっ!あの人、失踪する前日に《俺は、世界が見たいんだ。》とか言ってたんですよっ!もうっほんと訳わかんないですよっ」
なんというか、とっても自由な人のようだ。物凄く既視感があるな。
「ははっ、なんか俺その人と仲良くなれそうだ」
そうだよ既視感の正体はまぎれもないお前だよ!
「それで、アイリス。文にはなんと?」「近々王都へ戻る、と。何やら我が妹君の危機を感じだだのなんだの書いてありますね、ステラ、心あたりは?」「んーっ…あっケンジさまでは?」「なんでだよ、俺のどこに危険性があんだってんだ」「だ、だってすぐに馬鹿馬鹿いうからっ」「危機の規模小せえなおい」
そんな事でいちいち里帰りする奴がいるかよ
「まぁ見ている限りケンジ殿で間違いはないな。」「えぇ、あの子ステラ命ですものね」「ねぇ、どうして俺こんなに除け者なの?どうして?」「タクト殿は、まぁなんだろうな…」
あっは、フラグがしゅごいなぁ、詰んだかも。
ーーーーー
ガインさんアイリスさんは朝食をとった後、検査のためそのまま俺たちとは別れた。
「なぁタクト」「あぁケンジ」
『アイリスさんやばかったなぁ』
アイリスの規格外な胸囲に反応しないオトコがいれば是非とも連れて来ていただきたい。
「すっごく不潔な感じがしますっ!」「まぁそうかっかすんなよ。あれ見りゃわかる。おまえもドンドン成長するのは間違いないんだぜ、やったな」「〜〜っ!もぅっやめてくださいっ!」
睨むのは一向に構わんが、両手で体を庇いながら涙目で睨んだところで大概の男には逆効果だからやめな?
「これはこれでアリだな……」
ほらこんな奴もいるしさ。
バシンッ「へぶらぁっ!?」
ストラァアアイクッバッタァアウトォッ!



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