創造神で破壊神な俺がケモミミを救う

てん

第51話

大地がペンタゴンを作成し周辺の住人の保護をしている時、東側の中央領地ミッテでは隣の領地デールに集結している兵への対応について東側の領主が会談を行われていた。

東側の領地は西側と同じで五つに分かれており、ミッテの北にあるシャマール。南にあるユーク。そして帝国のスパイであるバセルダとゼルターが治めているクンプトとオステンとなっている。

西側の領主達の動きを察した彼ら領主達は既にミッテとデールの境に東トーム連合軍なるものを作ってその軍を配置しており、現在はデールとミッテでのにらみ合いの状態が続いていた。

「さてどうしたものかの・・・」

一番奥に座るミッテ領主は頭を両手で押さえながら現在の状況を悩ましそうにしている。

そんな領主の姿を見たクンプト領主バセルダは頭を掻きむしりながら、弱気になっているミッテ領主に荒々しい口調で喝を入れ出した。

「おいおい。中央領主ともあろうお方が何を弱気になっているんだ? たかが西側の領主が集まったところで何も出来る訳はないだろ。あなたがしっかりしていないと他の領主が不安になるだけだぜ。」

「そうですよ。あと少しで帝国の兵も東側トームの援護に来ます。帝国兵が密林に陣形を敷き次第ミッテの兵と帝国の兵でデールに集まった西側の領主の兵をつぶせば良いだけです。」

バセルダに呼応したかのようにゼルターがミッテ領主に声をかける。

ミッテ領主も両領主から励まされたことで不安が解消されたようで、冷静な様子に戻ると今後の方針について話し合いを進め出した。

「バセルダ殿、とりあえず今は戦線を維持していれば良いというのはわかりましたが、帝国の兵はいつ頃来てくれるのでしょうか?」

「う~ん。そうだな・・・多分だが準備もあるし二、三週間ってとこだと思うぜ。」

「それまで持つでしょうか? あちらは全ての兵をデールに集結させています。それに引き換えこちらは半分程の兵しかミッテに集めていません。もしあちらが痺れを切らして攻めてきた場合どうすれば・・・」

「まぁそうなった時は俺とゼルターも戦場に出てやるから安心してくれ。」

「そうですか。それならば安心出来ます。」

バセルダの言葉にミッテ領主以外の領主達も安堵の表情を浮かべる。

ゼルターはバセルダの言葉一つで表情をコロコロと変える領主達を見ながら、欲のみに生きている人間のもろさというものを痛感していた。

その後もバセルダ主導で会談は進み、帝国が来るまで戦線の維持をすること、もし西側が仕掛けてきた場合は徹底抗戦を行うことの二つを共通の認識としたところで会談を終えた。

会議を終えたバセルダとゼルターはミッテ領主から借りている客間に戻った。

客間に入るやいなやバセルダは目の前のソファに踏ん反り返り、気怠そうに口を開く。

「あぁ~めんどくせぇな。アーヴの兵なんか待たなくても俺達だけでやっちまえばいいだけだろうに。開始を伝える密偵はまだかよ。」

「陛下にも考えがあるのですよ。それに宮廷魔法師第十位のメリアがあちらについているらしいですし、シリウスが仕留め損ねた創造神と呼ばれる存在もいます。万全を期してかかれということなのでしょう。」

ゼルターはミキからの封書を見せながら、逸るバセルダを抑える。

「どうせシリウスがしくじっただけだろ? つーかなんであいつが第六位なんだよ。直接戦って俺は負けたことねーぞ。こんな長期的な作戦に参加さえしなけりゃあんな奴に階位で抜かれることもなかったのによ。」

「でも今回の作戦を成功させれば私もあなたも階位は間違いなくあがるでしょうね。アーヴはボレアスでの失態がある。それに比べ私達は完璧に東側の領主を掌握しコントロールしているのですから。」

「まぁ確かにな。それに方法は知らねえがシリウスに深手を負わせたその創造神に裏切者のメリアも仕留めれば・・・」

「上位の階位に上がることも可能ですね。」

バセルダはゼルターの返答を聞くと、込み上げてくる愉快な気持ちを我慢出来ず、小さく押し殺すように笑い声を上げる。

宮廷魔法師でもあるバセルダとゼルターはアーヴとは違い任務のみを忠実にこなしていた。

当時のクンプトとオステンの領主の弱みを握り、会談の場で自身を養子として推薦させることで領主となった二人は、その後も帝国の力を有効に活用しながら、自身の領地の力を高め、今では中央領地ミッテですら口を出すことが出来ないトームで最も力を持つ領主になっていた。

しかし戦う事が好きな戦闘狂のバセルダは裏でこそこそ動くような事しか出来ない退屈な日々に辟易していた。

そんな中、同じ宮廷魔法師であるザレウスとシリウスを破った者と同じ宮廷魔法師のメリアが敵として西側にいるとミキからの封書で知る。

自身を奮い立たせる強敵がすぐ近くいると知ったバセルダは、今にも西側に単身で突撃してしまいそうな気持ちを我慢するのに必死な状況になっていた。

ゼルターはそんな興奮状態のバセルダを見て、やれやれと首を振りながら呆れた様子を見せる。

ゼルターはバセルダとは真逆の理性の塊のような存在である。

銀髪の長髪を後ろで留めた髪型をしており、整った顔立ちも相まって初見では女性と勘違いしてしまうほどの美青年である。

実は東側の攻略作戦の立案、実行から帝国との連絡の取り合いなど、主要な事は全てゼルターがやっていた。

バセルダは戦う事にしか興味がなく、策略や謀略等とは無縁の人間である。その為ゼルターがそういった事を全て引き受けていた。

普通なら何もしないバセルダに怒りなり嫌悪なりの感情を覚えるだろう。

しかしゼルターはバセルダに対してそういった感情を向けたことは一度もなかった。

それどころかバセルダに対して強い感情を覚えたことすらないだろう。

それはゼルターの行動原理の全てがゼフィル陛下への深い忠誠心からきているものであり、彼自身それ以外に興味を示すことが出来ない人間だからである。

ゼフィル陛下の命令遂行を至上命題としているゼルターもバセルダに劣らず、創造神と裏切り者の始末することが第一だと考えていた。

ミキの封書を全て呼んだバセルダはこれから遊園地に行く子供のような感覚でターゲットを誰にするかゼルターに問う。

「おいゼルターお前は誰を殺るんだ?」

「個人的には裏切り者の始末を優先したいですね。」

「そうか。じゃあ俺は創造神と殺り合うか。どうせアーヴは獣と同化するっていう不思議な能力をもつ奴に復讐しにいくだろうしな。」

「獣と同化といえばあなたの能力も似たようなものでしょうに。」

「はぁ俺の魔法とそいつの魔法を一緒にするな。一々魔獣なんかと仲良くならないと使えない能力なんざ効率悪いだけじゃねえか。」

「まぁそれは実際に戦って見ないことにはわかりませんがね。」

ゼルターの挑発に思わず額に青筋を浮かべるバセルダであったが、この先の戦争でいくらでも気分を晴らすことが出来ると考え、溜飲を下げる。

間もなくして客間に使用人のなりで入ってきたアーヴの密偵から封書を受け取ったバセルダとゼルター。

その後封書の内容を見たバセルダは歓喜の声を挙げ、ゼルターも小さく笑みを浮かべた。

封書には短い文で、二週間後に作戦決行と書かれていた。


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