創造神で破壊神な俺がケモミミを救う

てん

第33話

マルタの街の手前で車をデリートする大地。

デュセオ領地はボレアス領地と接していることもあり、車を爆走させることでどうにか日没前に着くことが出来ていた。

辿りついたデュセオ領地の都市マルタは中央都市と呼ぶにはいささか貧相な街であった。

宿屋と酒場は数件しかなく、街全体を見ても活気がない。

街を歩いている時にルルとメリアをガラの悪い冒険者が値踏みをするように見ていたことから治安もあまり良くないことが見てとれた。

田舎にある唯一の街といった感じの場所だ。

大地達は中央通りに面したマルタにある宿屋の中でも綺麗な宿屋でルル達に部屋を取ってもらうと、食事がてらにスパイに関する情報を集める為に宿屋から一番近い酒場に入った。

中央通りに面しているだけあって、ここの酒場も外装、内装共に整っていた。席に着くと店員が注文をとりに来る。

「いらっしゃいませ!注文はお決まりですか?」

「あぁ適当におすすめを頼む。」

「わかりました! お客さんここらじゃ見ない顔ですね! マルタは初めてですか?」

「そうだな。初めて来た。」

「ならマルタの南側にある冒険者街には近づかない方がいいですよ。

元々柄の悪い人達が多くてトラブルばかり起きてる場所なんですけど、最近では喧嘩ばかりしていた冒険者たちが何故か手を組んだみたいになってまして。

なんだか盗賊みたいな集団になってるので、他所から来た人は特に気を付けた方が良いですよ。」

「そんな状況になっているのに、冒険者ギルドや領主は何か手を打ってないのか?」

「それが・・・デュセオ領主のガルム様は元々デュセオ領地の事には無関心な様子で。

冒険者ギルドも大多数の冒険者を相手にするだけの力もないようで傍観に徹しているみたいです・・・」

「この町も大変だな。そういえば何故喧嘩ばかりしていた冒険者が急に手を組むようになったんだ?」

「あはは・・・理由は良く分かってないんですが、噂では水魔法を扱う冒険者が街に来てから冒険者の人達に妙なまとまりのようなものが出来たと・・・」

「そうか。わざわざ時間を取らせて悪かった。ありがとう。」

大地は店員にお礼を述べると、店員の手を握る。

店員は一瞬驚いた様子を見せたが、手の中の金属の感触に気付くと笑顔で「こちらこそ」と小さくつぶやくと厨房へと注文を伝えにいった。

「大地さん・・・わざわざ手を握る必要なんてないと思うんですが? 確かに店員さんは美人さんでしたが・・・」

「特に深い意味はないぞ。周りに他の客がいる前でおおっぴらに金銭を渡すのもあれだろ?」

「そういえばお金なら領主から必要以上にもらったって言ってたわね。

あんな田舎の領主でありながら大金を用意出来るところを見ると、そのサイラスって領主は随分と金策に秀でているんでしょうね。」

ミッテへの諜報活動をするにあたって、大地はサイラスより活動資金をもらっていた。

その資金額はメリアが言うには諜報活動の資金としてはあまりにも多額らしく、メリアが帝国から一年間のトームの諜報活動を命じられた際に与えられた活動資金とほぼ同額らしい。

そんな訳で潤沢な資金がある大地達はその事がバレた場合、他の冒険者からしたら恰好の餌食になってしまう可能性が高い。

そのため手まで握ってカモフラージュしたのだが、ルルにはその思惑が伝わっていないようだ。

店員さんはチップをもらったおかげか、大地達に誠心誠意の接客を行ってくれた。

心なしか料理のグレードや量も、他の客に比べ二、三割増しになっている気がする。

大地達は店員さんのおかげで和やかな雰囲気の中、料理を堪能していた。

しかしルルの言う通り美人の店員さんには言うまでもなく狙っている男達が存在していた。

そんな男達の前で店員さんが特別扱いする客が現れてしまった場合、男達にどんな感情が芽生えるだろう。

しかも相手は両サイドに美少女を侍らせた二十代の見知らぬガキ。

しかもここは治安のあまり良いとは言えないマルタ。

当然トラブルの元になってしまう訳で・・・





「おい小僧。随分と羽振りがいいじゃねえか! お金積んで姉ちゃんでも抱こうって腹か? 俺達にも少し恵んでくれよ!」

「嬢ちゃん達もあんなガキ相手じゃ満足できねぇだろ! 良かったら俺達が相手をしてやってもいいぜ?」

柄の悪い大柄な二人の男が大地とルル達に詰め寄る。

他の客や店員さんも不快感を露わにしているが、止めに入る様子はない。

どうやらさっき聞いた冒険者の一味なんだろう。

この町で自分達に敵う者がまるでいないといった態度で高圧的な物言いを繰り返す。

「おい! 聞いてんのか! それともびびっちまって何も言えなくなったか!?」

「そりゃ無理もねぇよ! この街で俺らに逆らう奴なんていねぇんだからな!」

二人の男達は意地汚い笑みを浮かべながら、ルルとメリアの全身を嘗め回すように眺める。

そして男の一人がルルの肩に手を置こうとした時、その男の表情が変わった。

カチヤ・・・

「何してんだ・・・・!?」

男の額に当てられたのはルル専用に大地が作った銃剣。

男の額に無機質で冷たい感触が伝わると、男の顔から余裕の表情が消える。

「大地さん。どうしたら良いですか?」

「とりあえず、情報を集めるのが先だ。一人は生かしとけ。」

「わかりました。」

パンッ・・・

ルルは大地からの指示を受けると、額に当てた銃剣の引き金を引く。

乾いた音が酒場に響き渡ると、銃剣の弾丸を受けた男はエビ反りになってそのまま仰向けに倒れそのまま動かなくなった。

何が起きたのかわからない様子のもう一人の男に銃口を向けるルル。

「おっおい・・・いったい何をしたんだ・・・待ってくれよ・・・ちょっとした冗談だろうが・・・」

男は相方の亡骸を見ながら向けられた銃口の脅威を理解すると、さっきまでの意地汚い笑顔はなりをひそめ、随分とおとなしい表情に変わった。

大地は戦々恐々となっている男に近づくと耳元に顔を寄せる。

「ここじゃ店の人に迷惑がかかる。一回外に出るぞ。」

「わっわかった!」

背筋をピンっとさせて返事をする男。

大地はそんな男の様子には目もくれず、死体となり果てたもう一人の男とその周辺にプログラミングを行いキレイにすると、その男を担ぎ上げる。

「騒がせてしまって悪かったな。これは詫びだ受け取ってくれ。」

「あっはい!・・・・金貨!」

大地は唖然とする店員にお詫びの金貨を一枚渡すと店を出て行った。

店を出た大地達は人目に着かない路地裏へと場所を移すと、男に対して尋問にも似た質問を始める。

「おい。お前は南の冒険者街の奴らの一人か?」

「そうだが・・・」

「最近お前ら調子が良いって聞いたんだが、それは何故だ?」

「もしかして兄さん達も俺らの噂を聞いて仲間になりに来たのか!? それならそうと――――」

カチヤ・・・

「おい? こっちの質問にだけ答えろ。」

「おっおう! わかった! 全部話す。だからその鉄の武器を下ろしてくれ!」

男は大地達が自分達の仲間になりたいのだと勘違いして、一瞬余裕の表情を浮かべるが、ルルに銃口を向けられると、途端に従順な様子に戻っていった。

ルルに銃口を下ろす様に大地が指示を出すと、男がその理由を話し出す。

「実は半年ぐらい前にケンプフって奴がこの街に来たんだよ。

ここら辺の冒険者はよそ者は認めないって奴が多くて、そいつに突っかかっていく奴も多かったんだが、全員そいつに返りうちにあっちまってな。

今ではケンプフをリーダーに冒険者が集まって南側はもう別の国みたいになってる状態だ。」

「そのケンプフって奴の身体の何処かにタトゥーは入ってなかったか?」

「タトゥー? そういえば両腕に黒い模様みたいなものは見えたような・・・」

「そうか。お前らのリーダーにどうしたら会える?」

「あぁ・・・それは・・・」

「どうした? 言えない理由でもあるのか?」

「いや知らないんだよ。ケンプフは最近では幹部と呼ばれる奴ら以外に姿を現さないんだ。」

「それならその幹部と呼ばれる奴らの居場所は?」

「それならギルドの隣にある冒険者達の溜まり場になっている酒場にいるはずだ。」

「そうか。わかった。素直に話してくれて助かったよ。」

「もういいのか?」

「あぁ俺達について口外しないと約束するなら、お前は開放してやるよ。」

「ありがてぇ! お前らに関わると命がいくつあっても足りなそうだからな!今後お前らの事は誰にも言わねぇよ!」

「じゃあもういいぞ。」

大地が許可を出すと、男は凄い勢いで走っていき、あっという間に姿を消していった。

「あれ逃がしても大丈夫だったの?」

「まぁあいつが幹部に知らせてくれれば、あっちから来てくれるだろうし手間が省けるってもんだろ?」

「まぁあんたがそう言うならいいけど・・・」

「とりあえず日も暮れそうだし、宿屋に戻るか。」

大地達は男の遺体を火葬して灰にすると、後日情報にあった酒場を探すことにして宿屋へと戻った。

宿屋に戻り部屋の鍵を受け取った大地だが、受付の中年の女性から生暖かい視線を感じた。

何故かわからないまま鍵を受け取った大地は鍵に書かれた番号の部屋の扉を開けた。

「なんだこの部屋・・・」

扉を開けるとそこにはキングサイズのベッドが一つのみ置かれた部屋の光景が広がっていた。

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