創造神で破壊神な俺がケモミミを救う

てん

第32話

出発の準備をある程度済ませた大地はルルとメリアの部屋の前に来ていた。

実は昨日来たメリアには居住用クーポラのワンルームを用意したのだが、思った以上にメリアを気に入ってしまったルルが、中央クーポラの自分の部屋を大地に無理やり改造させ、メリアをそこに住まわせてしまった。

その時のメリアは拒否をする様子もなく、なんだかこそばゆい顔をしていたので、ルルとの二人部屋が嫌な訳ではないのだろう。

むしろそこまで自分と一緒に居たいと思っているルルに好意的な印象を持っているように見えた。

そんな訳で現在ルルとメリアの部屋に来ているのだが・・・・










「扉を開けるならノックぐらいして下さいよ!」

「デリカシーの無さも規格外なのね!」

大地がルルの部屋の扉を開けた時、丁度着替え中だったらしい。

下着姿の二人は扉の前でじっと自分達を見つめる大地に怒号を浴びせる。

「あぁ・・まぁなんだ・・・ご馳走さまです。」

「「いいから早く出てけ!!」」

大地は二人の怒号に押し出されるように部屋から追い出されると、二人が着替えるまで扉の前で待つ。

準備が出来たルルが不機嫌な表情のまま大地を部屋に招く。

「見せるならもっと可愛いのを着けたのに」と聞こえた気がしたが気のせいだろう。

部屋に入るとメリアは隠す様子もなく大地を睨みつけていた。

二人の様子を眺めながら案内された席に着いた大地は深いため息をつく。

「なぁ悪かったよ。許してくれ。」

「本当に反省してますか?」

「反省してるよ。だから許してくれ。」

「乙女の肌を見た罪は重いんですからね。」

「こっちは本当に反省してるんだかな。でも許してくれないなら、ルルは駄目か。」

「ん?どういう事ですか?」

大地が含みを持たせた発言に食いつくルル。

メリアは相変わらず殺しにかかってくるんじゃないかと思う程の怒気を身体から発している。

「ここに来たのはルルをミッテへの諜報に連れていってやるって話をしようと思ったからだったんだが。」

「え!? 本当ですか!」

「あぁ本当だ。でもルルは今俺と一緒にいるのは嫌そうだしな・・・他の奴に――――」

「行きます行きます!私はもう許してますよ!何勘違いしてるんですか大地さん!」

それまで素っ気ない素振りを見せていたルルだったが、大地からまさかのミッテ行き決定の知らせを聞くと、手の平を返したように大地に擦り寄りだす。

ほとんど諦めていただけあってルルは歓喜の声をあげていた。

「ミッテ行きって何よ?」

「メリアはそういえば知らなかったな。ここの領主からミッテに諜報活動に行くように依頼されてな。近い内に出発する予定だ。」

「えっ! あたしはどうなるのよ! 知り合いなんて犬斗しかいなくなるじゃない!」

「人の話を最後まで聞け! そういうとこルルにそっくりだぞ。俺とルルとメリアで行くつもりだ。」

「そうだったのね。早とちりしたわ、ごめんなさい。」

メリアは自分も一緒に行くのだと知り、安堵の表情を浮かべる。

後ろでルルが何やら抗議していたが、それを無視して大地はミッテ行きの理由などの説明をメリアに行う。

説明を終えると大地はルル達に出発の準備を整えるように伝え、自分の自室の隣にある専用の研究室へと向かった。

この研究室は大地がアウトプットやプログラミングで作成した武器などの実用実験等を行う場所だ。

大地は急にボレアス領地へと侵入してきた帝国兵、そんな中決まったミッテへの諜報依頼に対して、漠然とした不安を抱えていた。

そんな不安から戦力強化の為に以前から試作していた物を出発までに完成させようと思い、この研究室に来ていた。

実は、以前コピー体で戦ったシリウスが風魔法を身に纏うことで自身の防具と化していた事を見て以来、大地は魔法を応用して防具や武器に活用出来ないかと試作を繰りかえしていた。

現在ガランやマヒア等の密林メンバーにはディシント鋼で作成した武器や防具を装備してもらっている。

しかしディシント鋼は物理攻撃と火魔法には強い耐性を持つが、風、水、土等の魔法攻撃にはあまり耐性を持っていない事が分かった。

その為他の魔法の耐性を持つ魔法防具なる物の試作をしていたのだが、これまで成功した事が無かった。

最初は適当に作成してプログラミングで書き換えれば良いと思っていたのだが、アウトプットと違い、プログラミングには明確なイメージというものが必要らしく、全ての属性の魔法を弾くイメージを固める事が出来ていなかった大地は、火は防げても水が弱点になってしまったり、土は完全に防げても風には簡単に切られてしまうなど、作成したものは全て失敗に終わっていた。

そんな中、先の戦闘で再び出会ったメリアのスキル「魔力吸収」に気付いた大地の頭の中には新しいアイデアが浮かんでいた。

ちなみにメリアの「魔力吸収」のスキル説明では「触れた相手の魔力を自身の魔力として変換し吸収するスキル」とある。

つまりこれまで魔法を防ぐという考えから魔法を弾く、効果を打ち消す等のイメージを持ってプログラミングを行っていたが、相手の魔法を吸収するという考えは持っておらず、試していなかった。

大地はミッテに出発する前にこの防具を完成させるため、その後クーポラを考えた時のように何日も自室に引き籠ることになった。

大地が自室から無事出てきたのは、閉じこもって一週間経ってからだった。









とある日の早朝、防衛用クーポラの出入り口には出発の準備を進める大地の姿があった。

大地が無事自室から出てきた日、心配するルル達の声を差しおいて、大地は満足そうな顔をしたまま翌朝出発する事を宣言していた。

もちろんその後ルルから強烈な説教をもらったことは言うまでもない。

そして翌朝を迎えた大地はこうして旅支度をしていた。

見送りには犬斗、ガラン、マヒアが来ていた。

ゼーレとフィアも来たがっていたが、出発の日が作物の収穫日と被ってしまった為、どうしても来れなかったらしい。

実際は出発前日に主要メンバーには挨拶を済ませてあるので、無理して見送りに来ようとしなくていいのだが・・・

「犬斗。俺がいない間ここの守りは任せたぞ。」

「大丈夫ですよ! 魔獣に囲まれたこの場所に挑んでくるような奴はいないですよ!」

「フラグが立つからそういう発言はやめろ。ガランとマヒアも犬斗のサポート頼む。こいつだけだと少し不安だがお前らが居れば安心できる。」

「おう! 任せとけ!」

「大地殿こそお気をつけて。」

「ちょっちょっと待って下さいよ! 大地さん相変わらず酷いな・・・」

和やかな雰囲気が漂うなか、遅れてルルとメリアがやってきた。

出入り口に来た早々ルルはマヒアとしばしの別れの挨拶を始め、メリアは犬斗から剣山を抜けるまでの移動で使うロマの乗り方について念入りに確認を始める。

「ガラン。多分俺の心配のしすぎだとは思うが、例の装備は全員にまわしておいてくれよ。」

「わかってるよ。他の奴らには秘密にしてだろ?」

「あぁ。面倒くさい事を任せるが、頼んだ。」

「おう! なんかあればすぐに知らせる。」

大地は和やかに話しているルル達を見ながら、ガランに一週間かけて作成した新型装備について託した。

ガランと秘密のやり取りを終える頃、ちょうどルルとメリアの準備も整った。

大地は漠然とした不安をいまだ抱えながら、犬斗達に挨拶を済ませると、ロマに乗ってボレアスの林の繁みの中へと駆けていった。







ロマに乗ってボレアス領地を勢いよく下っていく大地達。

大地はロマで走りながらメリアとルルに今後の行動について説明を始める。

「じゃあ移動しながら今後の動きを説明するぞ。とりあえずだがメリア。お前とルルの姿を人間に変えてくれ。」

「まぁそうなるわよね。わかったわ。」

「えっ! メリアちゃんそんな事出来るんですか?」

メリアは手慣れた様子で変成魔法を発動させるとルルとメアリの猫耳や猫尻尾が無くなっていく。

「何これ! 凄い! 本当に人間みたいになったよぉ!」

「これでいいかしら?」

「魔法の扱いは長く生きているだけあってさすがだな。」

「殺すわよ。」

メリアは感激するルルを尻目に年齢に触れてきた大地に殺意の込めた瞳を向ける。

大地はメリアの殺意に気圧されるように「冗談だよ」と背中越しのメリアに謝罪する。

やはりメリアに年齢の話をするのはタブーのようだ。

その後、数時間の間メリアからの濃密な殺意を背中に感じながら林の中を駆けていき、ようやくボレアス領地の剣山を抜けた大地はルルとメリアに目的地の変更を伝える。

「よし!じゃあまずはデュセオ領地に向かうぞ!」

「え? ミッテ領地に行くんじゃなかったんですか?」

「いやちょっと気になる事があってな。デュセオ領地のマルタってとこに行く予定だ。」

「マルタなら場所知ってるわよ。トームに来た時最初に立ち寄った場所だから。デュセオ領主がいるデュセオ領地の中央都市の事ね。」

「ちょうど良いな。案内を頼む。」

大地はメリアが場所を知っていることを確認すると、アウトプットで普通車の再現を行った。

目の前に現れた得体の知れない金属の塊に驚くメリア。

「これは何よ!」

「これは移動用の乗り物だ。とりあえず早く乗れ。日が暮れるぞ。」

既に日が傾きかけているのを見ながら大地は助手席に騒ぐメリアを座らせると車を出発させる。

後部座席の座るルルが顔を膨らましながら何か言いたげな様子でこちら見ていた為、移動中のお供におやつとジュースを再現して渡す。

その後デュセオ領地の都市マルタまで車で爆走を続けながら走り抜けていった大地達。

しかし、爆走する大地達の車を見た人々が、新たな魔獣がデュセオ領地に現れたと勘違いし、最終的には衛兵が乗り出す事態になるまでの問題になっていたことを大地達は知らなかった。

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