創造神で破壊神な俺がケモミミを救う

てん

第10話

ほのぼのタイムを満喫した大地はゴーレムの試運転が問題ないことを確認した後、パーキ達と別れ住宅地に向かっていた。

途中マヒアが部下の魔法師隊に呼ばれ、そこで別れたため、ルルと二人きりになったのだが、二人きりになってからルルの様子がおかしい。

さっきから目線を合わせてくれないし、緊張しているようにも見える。

大地はルルの様子がおかしいことに気付いてはいたが、一刻も早く作りたい物があった為理由について確認することもなく、足早に住宅地に向かう。

住宅地に着き、丁度良い空き地を見つけると大地は早速アウトプットを開始する。

あっという間に出来たのは、大きな平屋の建物で、入口には「湯」と書かれた暖簾がかかっていた。


そう大地が一刻も早く作りたかったものは銭湯だったのであった。

この獣人の村に来てから大地は唯一の不満を持っていた。

それは入浴という習慣がないことだ。ログハウスを作った時に同時に室内にシャワー室も作っていたのだが、どうプログラミングしても使えなかったのである。

多分住む用途としてログハウスを再現したことで、その室内にあるシャワー室も住む用途ということになってしまった為だと考えられる。

住む用途として作られている限り、生活の場を水でビチャビチャにしてしまうようなプログラムは存在価値に反すると判断されたのだろう。

そんな訳で大地はこの世界に来てから川で流す程度しかできておらず。お風呂に一度も入れていないのである。

大地は念願の銭湯が出来たの見ると、すぐに使えるか試し始める。

浴室に入ると大きな浴槽があり浴槽の隅に大きな蛇口備えられている。

この蛇口には熱晶石と水晶石を埋め込んであり、丁度良い温度のお湯が出るように調整してある。

シャワーも同様の仕組みだ。大きな浴槽には風晶石を利用したジェット風呂も用意した。

全ての動きを確認し正常に作動する事を確認した大地は思わず歓喜の雄叫びをあげる。

入浴の習慣のないルルは不思議そうな顔をしながら大地にこれは何か聞く。

「大地さんこれは何ですか?」

「これは何かだって・・? これは我ら日本の誇るべき文化!! 最高の癒し!! そうお風呂だ!!」

数日間お風呂に入っていなかった大地は、よほどお風呂に入りたかったのだろう。興奮気味にルルにお風呂の魅力について語る。

しかし元々入浴の習慣がないルルには入浴の魅力がいまいち伝わっておらず。

「川で流すんじゃダメなんですか?洗うだけなら一緒な気がするんですが。」

「・・一緒?・・・・今お風呂と川が一緒って言ったのか?」

不用意にした発言が大地の逆鱗に触れてしまう。

大地は怖い笑顔でルルにゆっくりと近寄り、ルルの肩に手をかける。

ルルはビクビクしながら大地の様子を窺う。

「そこまで言うなら・・そうだ一緒に入ろうじゃないか!」

「え!!・・大地さんと入るんですか!?」

「決まっているだろう。口で言ってもわからないなら身体に教えるしかないじゃないか。」

「身体にって・・・そんな・・そういう事はもう少しお互いを知ってからじゃないと・・・」

盛大な勘違いをしながら、桃色のオーラを出しながら真っ赤な顔を両手で隠すルル。

大地は興奮が最高潮に達しており冷静さを欠いていた。

そんなカオスな状況にある二人に待ったをかける人物が現れた。

「ルルと大地殿何をしているのですか?」

二人に声を掛けたのは部下に呼び出されていたマヒアだった。後ろには神妙な顔付きをしたガランもいた。

二人の状況を見たマヒアは不思議そうに首をかしげるが、すぐに用件を思い出すと、焦ったようにルルに至急会議場に来てほしいと伝える。

ルルもいつもの様子と違うマヒアとガランの様子を見て、桃色オーラを排除し二人ついて会議場に向かった。

残された大地はそれまでの行動を振り返り頭を抱えることになった。

歳で言えば高校生と同じルルに一緒に風呂に入ろうなど・・・

日本でいえば罪に問われても仕方ないことを仕出かす寸前だった事に気付いた大地はマヒアに感謝しながら静かにお風呂を楽しんだ。









会議場に入ると神妙な顔つきのレイ達が待っていた。

「ルル。急かすように来てもらってすまんのう。」

「いえそれは大丈夫ですがお爺様何かあったのですか?」

「うむ。それについてはマヒア頼む。」

「はい。実は大地殿と別れた後、部下から密林の様子がおかしいと報告を受け、私自ら確認に向かったのですが、密林に帝国兵が来ていました。旗の絵柄して師団規模、数にして一万の軍勢がこの村に真っ直ぐ向かっています。距離と進行具合を考えると五日後の正午あたりにはここにたどり着く計算になります。」

「一万!? なんでそんな数の帝国兵が来てるの?」

「多分現ガドール帝国王の掲げた人間至上主義が原因でしょう。特に獣人への執着心は昔から強いものがありましたから。ここ最近帝国の密偵とみられる者をよく見かけましたし、こちらが気付かないところでここの場所を見つけられたのだと思います。」

「そんな・・・・大地さんにも相談しましょう。」

ルルが不安そうな顔をしながら、マヒアに大地に相談するように打診すると、マヒアは困ったような苦い顔をして言葉につまる。

すかさずレイがマヒアに代わりにルルに答える。

「ルルよ。大地さんを呼ばなかったのは、村の恩人である大地さんには迷惑をかけたくないと思ったからじゃ。二日後に大地さんにはこの村を出て密林も抜けてもらう。幸いにも大地さんは情報収集の為に一度人間の国に行きたいと言われておってのう。密林を抜ける地図を作製していたところじゃったんじゃ。」

「ちょっと待って! そしたらみんなはどうなるの!」

「みな覚悟の上じゃ。一秒でも長く生きたいなら素直に捕まるのも一つの方法じゃろう。しかし帝国での獣人の扱いはもはや虫以下じゃ。待っているのは意味のない拷問、危険な人体実験の被験者、獣人同士の殺し合いの強制。そんな事をされるぐらいなら、最後まで獣人として誇りをもって戦おうと決めたのじゃ。」

ルルは言葉を失っていた。大地が来て村の状況が好転して喜んでいた分、ショックも大きかったのだ。

「ルル。これは私達のただの自己満足です。だからルルは無理して付き合わなくても大丈夫ですよ。今なら大地殿に付いていくという選択肢もありますから。」

ルルはマヒアに言われまわりを見渡すと、レイ達もルルの身を案じた表情をしていた。

ルルは何も言うことが出来ず、ゼーレに付き添われながら家に帰った。

その日の夜、久々の入浴を済ませた大地はさっぱりした表情でベッドに横になっていた。

本来ならそのまま寝てしまうとこなのだが、家に入る前に見たルルの表情が気になり、眠れなかった。すると扉のノック音が聞こえてきた為、入室を許可するとルルが笑顔で入ってきた。

『なんだ。さっきのは気のせいか。』

自分の心配が杞憂に終わったのだと安心する大地。ルルは思い出したような芝居をして話を進める。

「あっ!お爺様から言伝をもらってて。地図が出来たそうなので明日取りに来てほしいとのことです。」

「おっレイさん仕事が早いな!!思ったよりも早く出発出来そうだな!」

ルルは嬉しそうに話す大地に複雑そうな表情を一瞬してしまうが、すぐに笑顔に切り替え話を続ける。

「お爺様は出発は明後日が良いだろうと言ってました。密林は日々成長しているらしく、地図が出来上がってから、出来るだけ早く出発した方が間違いがないらしいです。」

「そうか・・・ずいぶん焦って出るようになるな。まぁ情報を集めたらまた戻ってくる予定だしいいか。」

大地は急かすように出発に日時を決めてきたルルに怪訝そうな顔を見せたが、急かす理由も納得できるものだった為、深くは考えずルルの提案を受け入れる。

大地が提案を受け入れたことでルルは緊張の糸が切れたようにふうっと椅子に座る。大地が心配していたようだが耳には入っていなかった。

その後大地に心配されながらも何度も大丈夫と答えながら退室したルルは、そのままレイの部屋へ行き真剣な顔つきで帝国との戦いに参戦する意志を伝える。

レイは複雑そうな表情を見せたが、確固たる意志を瞳に秘めたルルを見て承諾した。

翌日大地はレイから地図をもらい出発の段取りを進めていた。出発は予定通り明日になった為、大地はその日のうちに準備を進めていた。

準備といっても出発する為の準備ではなかった。

ルルの昨日の様子になんとなく大きな不安を抱えた大地は、念のため武器の作成を行っていた。

作成したのはロケランと手りゅう弾に内部に火の魔法を再現した魔法弾薬である。ガランとマヒアに試してもらい安全性、威力の確認を行う。

「大地。俺たちにとって強力な武器があるのはありがたいが急にどうした。」

「いや。杞憂ならいいんだけど、嫌な予感がしてな。」

大地の嫌な予感という言葉を聞いて、ガランもマヒアもさすがと内心感心していたが表情に出すことなく気のせいだと返す。

「まぁ使う必要がないならそれに越したことはないからな。俺が安心したくてやってるだけだから気にするな。」

そう言いながら魔法弾薬を作っていく大地。念のため程度の量では無いほどの量を作ってやっと満足した大地は出発の準備を始めた。

翌日、村の入口には大地とルルがいた。大地はレイやガランなどには予め挨拶を済ませていた。

「ルルここ最近元気なかったが大丈夫か?」

「えっ!?そんな元気なように見えましたか?」

「いやどう見ても元気なかっただろ。」

「そうかな、えへへ・・・」

ルルは大地が自分のことをよく見ていることに嬉しくなり顔が綻んでいた。大地はルルの頭に手を当て優しく撫でると。

「じゃあ行ってくる。まぁトーム連合共和国で少し情報を得たらすぐに帰ってくるから待っとけ。」

深く頷くと大地はオフロードの中型バイクを再現しそれに乗り込むとあっという間に走り去っていった。

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