復讐者と最後の聖戦
第8話〜学園生活その5〜
俺は開始時間までに適当な場所を探そうと森を歩いていた。しかし、さっきから、いや朝からずっと俺に視線を向けている奴が居る事に気づいていた。
「どうして付けてくるんだ?」
俺は木の陰に隠れているであろう銀髪の少女に向けて言葉を発する。
「やはり気付いていた……。どうして気付いたの? 私は隠密を使っていたのに」
姿を現したジェンナは俺を背後から睨め付けてくる。
「あれだけ見られたら嫌でも気付く。で、どうして付いて来るんだ?」
「君、強いから」
とんだ戦闘狂に目を付けられたものだ。このままだとバッチをジェンナに奪われる、もしくは終了時間まで粘って成績下位者で地獄行きだ。どちらにせよ逃げなければならない。しかし、相手は Aランク保持者。こちらがステータスで優っているのは敏捷力だけだ。しかしそれも微々たるもの。
「私はあなたに決闘を申し込む」
この学園に『決闘』という制度は無いが、ニュアンスから一対一を望んでいる事が分かる。だからこそ、俺の答えも決まっているわけで。
「嫌だと言ったら?」
俺がジェンナに向き合うと同時に開始のホイッスルが鳴る。
「力尽くでもっ!」
それが合図だった。ジェンナが追いかけ、アレクが全力で逃げる。アレクは木々を盾にしながら逃げるも、遂に追いつかれてしまう。刃が首に迫る。回避不能と判断し受け止める。
「うっ、重い!」
ジェンナの刀を一閃受けただけで、腕を根こそぎ持って行かれるようなビリビリとした感覚が襲う。受け止める事は不可能と判断した俺は受け流す事に意識を切り替えると同時にアビリティの『身体強化』を行う。体が軽くなる感じがし、速度が上がる。しかし、俺が『身体強化』をしたタイミングでジェンナの動きのキレが増す。
「ちっ」
まぁ、『身体強化』を行うのは基本的な事だがジェンナの行ったそれは一年生では異常な程アビリティレベルが高い。アビリティレベルは1〜10まであり、レベルが上がる程アビリティの効果が上がる。そして、一年生が習得している『身体強化』の平均的なアビリティレベルは2くらいだ。しかし、ジェンナの使用したそれは少なくともレベル5は超えている。この事からもジェンナが異常な事が分かる。
また、戦闘のセンスもずば抜けている。 流れる様に剣戟の乱舞が繰り出され、その一つ一つに必勝の威力が込められている。 アレクは双剣の手数で攻めるもジェンナの攻撃が重いため、逆に押される形になってしまう。
一旦アレクは距離を取り、燕が地上すれすれを飛行するかのようなフォームで距離を詰め下から切り上げる。しかし、ジェンナには躱されてしまう。流れるように八の字に袈裟斬りするも弾かれ、隙だらけの胴に刀が伸びる。 アレクはそれを身体を捻って躱し、その遠心力を生かしてジェンナの手の甲を蹴り刀を取り落とさせようとする。だが、ジェンナは刀を落とすことなく、体勢を崩すだけに留まる。アレクはそこを狙い双剣を振り下ろすも紙一重で受け止められ、鍔迫り合いとなる。
「本当に、何でお前みたいな奴が居るんだよ!」
「それを言うならあなたも。私は本気でやってる。どうしてあなたは本気……、でやってるみたい? 弱くなった?」
「本気でやってるし、弱くなんかなっていない」
「嘘を言わないで」
ジェンナに双剣を弾かれ、アレクは距離を取らされる。
「朝、私はあなたを全力で蹴った。でも、あなたにはいとも容易く避けられた。あれはAランク以上でなければ出来ない動き。あなたは……」
アレクはジェンナが言葉を発する前に思い切り後ろに跳躍する。
『爆撃』
アレクの足下を高圧力の魔力の塊が飛んで行く。
「くっ」
閃光と爆煙がジェンナを呑みこむ。
「ふん、中々の威力であろ?」
爆裂魔法を放った張本人であるレーガンが誇らしげに胸を張る。
「ああ、助かった」
授業開始前
「レーガン、少し頼みたい事があるんだが」「おお、アレクとかいうやつだな。何用じゃ?」「ジェンナにひと泡吹かさないか?」「ほうほう」
アレクとレーガンはあらかじめ手を組んでいたのだ。
「だが」「そうよのう、お主中々しぶといのう。まるであの黒い生命体並みの生命力よのう」
煙りが晴れるとそこには苦しみながらも両足で立っているジェンナの姿があった。 咄嗟に魔法障壁を展開し防いだようだが、直撃したためにそれなりにダメージを受けたようだ。
「調子に、乗らないで」
ジェンナが鋭くこちらを睨みつける。
「そう強がるでない、まぁ、もう一撃くれてやる」「さっきのはアレクが隙を作ってくれたからに過ぎない。次はくらわない」「ほう、言うてくれるでわないか」
ジェンナが納刀し抜刀の構えをとり、レーガンが両手杖をジェンナに向ける。 逃げるなら今しかないな。アレクはこの場をレーガンに押し付け逃げようとする。
「させません!」『トリプルショット』
三本の魔力の矢がアレクとレーガンの動きを制限するように鼻先を飛んで行く。
「アレク、何やってんよ。ミーシャも何でアレクにも放ったの?」『ヒール』
回復魔法を受け体が軽くなるのを感じる。 ミーシャとレナが一緒にやって来たようだ。
「あの、ジェンナちゃん一人に二人掛かりは良くないと思います」
いつものおどおどした感じと違い、目に力がこもっている。
「ミーシャはジェンナの味方ってわけね。なら、私はアレクを掩護するわ」
レナがミーシャに勝ち誇る。何を誇っているかはアレクにはよく分からないが。
「あっ、ずるいです。でも、やっぱり私はジェンナちゃんの味方です! アレクくん、覚悟するです。」
ミーシャがアレクを指差し、高らかに宣言する。
「ミーシャって、ジェンナのことになるとキャラ崩壊するわね」
「のう、そろそろ御託はよかろう」
レーガンの言葉で空気が再びピリつく。ジェンナが、アレクが、レーガンが、ミーシャがそれぞれ構え、レナはアレクの後ろに隠れる。
『羅刹』『グランドクロス』『プロミネンス』『チャージショットLV.3』『プロテクション』
ジェンナが神速で抜刀しアレクがそれに応戦するように濃密な魔力の刃を飛ばす。レーガンが巨大な炎の塊をミーシャが限界まで威力を高めた魔力の矢を放ち、レナは自分に防御魔法をかける。 それぞれの力が中央で交錯……する前に目の前に炎を吐く何かが落下する。
『フレイムバースト』
そして、アレク達の放ったスキルその威力を発揮することなく上空から割り込んできた何者かによって相殺された!
「どうして付けてくるんだ?」
俺は木の陰に隠れているであろう銀髪の少女に向けて言葉を発する。
「やはり気付いていた……。どうして気付いたの? 私は隠密を使っていたのに」
姿を現したジェンナは俺を背後から睨め付けてくる。
「あれだけ見られたら嫌でも気付く。で、どうして付いて来るんだ?」
「君、強いから」
とんだ戦闘狂に目を付けられたものだ。このままだとバッチをジェンナに奪われる、もしくは終了時間まで粘って成績下位者で地獄行きだ。どちらにせよ逃げなければならない。しかし、相手は Aランク保持者。こちらがステータスで優っているのは敏捷力だけだ。しかしそれも微々たるもの。
「私はあなたに決闘を申し込む」
この学園に『決闘』という制度は無いが、ニュアンスから一対一を望んでいる事が分かる。だからこそ、俺の答えも決まっているわけで。
「嫌だと言ったら?」
俺がジェンナに向き合うと同時に開始のホイッスルが鳴る。
「力尽くでもっ!」
それが合図だった。ジェンナが追いかけ、アレクが全力で逃げる。アレクは木々を盾にしながら逃げるも、遂に追いつかれてしまう。刃が首に迫る。回避不能と判断し受け止める。
「うっ、重い!」
ジェンナの刀を一閃受けただけで、腕を根こそぎ持って行かれるようなビリビリとした感覚が襲う。受け止める事は不可能と判断した俺は受け流す事に意識を切り替えると同時にアビリティの『身体強化』を行う。体が軽くなる感じがし、速度が上がる。しかし、俺が『身体強化』をしたタイミングでジェンナの動きのキレが増す。
「ちっ」
まぁ、『身体強化』を行うのは基本的な事だがジェンナの行ったそれは一年生では異常な程アビリティレベルが高い。アビリティレベルは1〜10まであり、レベルが上がる程アビリティの効果が上がる。そして、一年生が習得している『身体強化』の平均的なアビリティレベルは2くらいだ。しかし、ジェンナの使用したそれは少なくともレベル5は超えている。この事からもジェンナが異常な事が分かる。
また、戦闘のセンスもずば抜けている。 流れる様に剣戟の乱舞が繰り出され、その一つ一つに必勝の威力が込められている。 アレクは双剣の手数で攻めるもジェンナの攻撃が重いため、逆に押される形になってしまう。
一旦アレクは距離を取り、燕が地上すれすれを飛行するかのようなフォームで距離を詰め下から切り上げる。しかし、ジェンナには躱されてしまう。流れるように八の字に袈裟斬りするも弾かれ、隙だらけの胴に刀が伸びる。 アレクはそれを身体を捻って躱し、その遠心力を生かしてジェンナの手の甲を蹴り刀を取り落とさせようとする。だが、ジェンナは刀を落とすことなく、体勢を崩すだけに留まる。アレクはそこを狙い双剣を振り下ろすも紙一重で受け止められ、鍔迫り合いとなる。
「本当に、何でお前みたいな奴が居るんだよ!」
「それを言うならあなたも。私は本気でやってる。どうしてあなたは本気……、でやってるみたい? 弱くなった?」
「本気でやってるし、弱くなんかなっていない」
「嘘を言わないで」
ジェンナに双剣を弾かれ、アレクは距離を取らされる。
「朝、私はあなたを全力で蹴った。でも、あなたにはいとも容易く避けられた。あれはAランク以上でなければ出来ない動き。あなたは……」
アレクはジェンナが言葉を発する前に思い切り後ろに跳躍する。
『爆撃』
アレクの足下を高圧力の魔力の塊が飛んで行く。
「くっ」
閃光と爆煙がジェンナを呑みこむ。
「ふん、中々の威力であろ?」
爆裂魔法を放った張本人であるレーガンが誇らしげに胸を張る。
「ああ、助かった」
授業開始前
「レーガン、少し頼みたい事があるんだが」「おお、アレクとかいうやつだな。何用じゃ?」「ジェンナにひと泡吹かさないか?」「ほうほう」
アレクとレーガンはあらかじめ手を組んでいたのだ。
「だが」「そうよのう、お主中々しぶといのう。まるであの黒い生命体並みの生命力よのう」
煙りが晴れるとそこには苦しみながらも両足で立っているジェンナの姿があった。 咄嗟に魔法障壁を展開し防いだようだが、直撃したためにそれなりにダメージを受けたようだ。
「調子に、乗らないで」
ジェンナが鋭くこちらを睨みつける。
「そう強がるでない、まぁ、もう一撃くれてやる」「さっきのはアレクが隙を作ってくれたからに過ぎない。次はくらわない」「ほう、言うてくれるでわないか」
ジェンナが納刀し抜刀の構えをとり、レーガンが両手杖をジェンナに向ける。 逃げるなら今しかないな。アレクはこの場をレーガンに押し付け逃げようとする。
「させません!」『トリプルショット』
三本の魔力の矢がアレクとレーガンの動きを制限するように鼻先を飛んで行く。
「アレク、何やってんよ。ミーシャも何でアレクにも放ったの?」『ヒール』
回復魔法を受け体が軽くなるのを感じる。 ミーシャとレナが一緒にやって来たようだ。
「あの、ジェンナちゃん一人に二人掛かりは良くないと思います」
いつものおどおどした感じと違い、目に力がこもっている。
「ミーシャはジェンナの味方ってわけね。なら、私はアレクを掩護するわ」
レナがミーシャに勝ち誇る。何を誇っているかはアレクにはよく分からないが。
「あっ、ずるいです。でも、やっぱり私はジェンナちゃんの味方です! アレクくん、覚悟するです。」
ミーシャがアレクを指差し、高らかに宣言する。
「ミーシャって、ジェンナのことになるとキャラ崩壊するわね」
「のう、そろそろ御託はよかろう」
レーガンの言葉で空気が再びピリつく。ジェンナが、アレクが、レーガンが、ミーシャがそれぞれ構え、レナはアレクの後ろに隠れる。
『羅刹』『グランドクロス』『プロミネンス』『チャージショットLV.3』『プロテクション』
ジェンナが神速で抜刀しアレクがそれに応戦するように濃密な魔力の刃を飛ばす。レーガンが巨大な炎の塊をミーシャが限界まで威力を高めた魔力の矢を放ち、レナは自分に防御魔法をかける。 それぞれの力が中央で交錯……する前に目の前に炎を吐く何かが落下する。
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