復讐者と最後の聖戦
第6話〜学園生活その3〜
「食堂のパン美味しかったね〜」
「あの大きさで銅貨一枚だなんて安いです」
「まあ、普通なら二枚はするだろう」
「美味しかった」
午前の座学の授業が終わり、食堂で食事を取った俺たちは血液検査を受けるために校舎の東側に位置する医療棟にいた。
なぜ血液検査を行うかというと、血液を調べる事でその者の魔力系統と身体能力を調べる事が出来るのだ。 魔力系統によりその者の職業が決まる。
魔力系統には大きく分けて二つある。遠距離型と近接型だ。そして、そこから細かく分岐する。
遠距離型には、魔力を凝縮し弓を媒介として攻撃する《弓使い》、 銃に魔力を込めて攻撃する《銃使い》、攻撃魔法特化の《魔術師》、魔力で物質を変化させ攻撃・支援を行う《錬金術師》、回復・支援魔法に特化した《神官》と言った遠距離で力を発揮する職業がある。
近接型には、攻撃力に優れた《剣士》、防御力に優れた《騎士》、攻撃力と防御力が高い《侍》、敏捷力に優れた《暗殺者》と言った魔力で身体を強化し、近距離で力を発揮する職業がある。
しかし、例外も存在する。それが上位職と呼ばれる希少職業だ。あらゆる全ての魔術を使用する《魔法使い》、攻撃魔法と剣術による手数で圧倒する《魔剣士》、回復・支援魔法を使用し圧倒的な防御力で味方を守る《聖騎士》、空中戦が出来る唯一の《竜騎士》が知られているがその他にもあるという噂もある。
普通、職業は遺伝するのだがこれらの上位職は遺伝せず、突然変異によってしか生まれない。そのため上位職保持者は即、《聖騎士団》に所属する事になる。だが、ここ数年は上位職保持者は見つかっていない。
「はい、皆んな集まりましたね。では魔力測定を行います。担当はバーロウ先生です」
眼鏡をかけた茶髪で白髪混じりの男性がこちらに軽く手を振る。
「名前を呼ばれた生徒から椅子に座って下さい」
血を抜き分析機にかけるのだ。分析機は400年前に滅びた《機会文明》の技術が使用されているらしい。
「アレク・アンドレア」
名前を呼ばれ椅子に座り左腕を出す。注射器で血液を抜かれる。
「ん? よし、採取出来た」
血液が分析機にかけられる。
「はい、これが君の身体能力だ。敏捷力は素晴らしいものを持っているがまあ、平均的だな」
そう言うと、バーロウ先生は俺に金属のプレートを渡す。
―――――――――――――――――――――――― アレク・アンドレア 職業:暗殺者 HP    985 MP    88    INT   35 ATK  142 DFE  45 AGI   472 ランク B ―――――――――――――――――――――――― スキル ・閃剣・双龍剣・グランドクロス アビリティ ・隠蔽LV.2・抗呪LV.2・身体強化LV.2 ・ バーストLV.1
――――――――――――――――――――――――
そこには、俺の身体能力が記述されていた。 身体能力は生命力の数値を表すHP、魔力量を表すMP、魔法の効果に関わる賢さであるINT、攻撃力を表すATK、防御力を表すDFE、敏捷力を表すAGIからなる。 スキルとアビリティの欄は取得したものを申請する事でプレートに書かれる。
次々と測定が終わりクラスメイトは互いの身体能力を見せ合って、「俺の方がMPが多い」とか「攻撃力が少し低いなぁ〜」と、騒ぎ合っている。
レナとミーシャも測定が終わりこちらに来る。レナは《神官》で、ミーシャは《弓使い》であり、二人ともBランクだった。 Bランクは2、3年生になってたどり着ける領域であり、一年生でそれは凄いことだ。 俺もBランクだと告げるとレナとミーシャには不思議そうな顔をされたが特に何も言ってこなかった。
「ジェンナ・ローズブレード」
「あっ、ジェンナちゃんです」
ジェンナが椅子に座り、測定を受ける。
「あいつ、ルチアーナ先生に喧嘩ふっかけたやつだ」
「ローズブレード、何処かで聞いた事がある気がするぞ」
「そりゃそうさ、ローズブレード家といえば有名な武器屋だぜ」
ローズブレードの武器はこの国の8割ものシェアを誇っており、また、ローズブレード家はこの国で最も力のある商家でもある。
「つまりいいとこのお嬢様ってわけね。どうせ大した事ないんでしょ」
「すぐに根を上げて学園を去って行くだろうぜ」
クラスメイトの何人かがひそひそと陰口を囁いている。
「むっ、ジェンナちゃんは凄いんです。今に吠え面書かせてあげます」
なんとなく、ミーシャはジェンナの事となると少しおかしくなるようだ。
「なんと! 凄い。Aランクとわ」
バーロウ先生は嬉しそうに声を上げる。
「おい、嘘だろ⁉︎」
「Aランク? 聖騎士団に入れるほどの実力だぞ⁉︎」
「なんでそんなやつが学園に来てんだよ!」
クラスメイト達が騒ぎ出す。
「ほら見ろです」
ミーシャはその様子を見て嬉しげにしている。
「はーい、皆んな静かにして下さい」
ルチアーナ先生の声掛けでたちまち静かになる。
「凄いじゃないですか、ジェンナさん」
ルチアーナ先生に褒められるがジェンナの表情は優れない。まあ、もともと余り表情が無いのだがさらに拍車がかかった感じだ。
「どうして私の時だけそんなに騒ぐのかがわからない。Aランクならもう一人いたはず」
「いえ、今のところ貴方だけですよ」
「そう」
ジェンナは俺を見て首を傾げる。そして俺の近くに来るとじっと見つめてくる。
「なんだ」
「別に」
そう言うとジェンナは分析機の方を向く。
「レーガン・ヘルキャット」
そう呼ばれ一人の少女が出てくる。深碧の髪が肩まだ伸びており、癖っ毛が強い。また、背はミーシャよりも低く同い年だとはとても思えない。
「ちびっ子、だれ?」
ジェンナは何気なく言っただけなのだが、それが致命的だった。本人が一番気にしている事を的確に突いてしまったのだ。
「今、私の名前が呼ばれただろうが! 聞いていなかったのか。後、ちびっ子はやめろ! このぺったんこ」
切れたレーガンがジェンナの容姿を馬鹿にする。相当頭にきたのだろう、語尾が強い。
「むっ」
ジェンナとレーガンの間に火花が散る。 すると、レナが何か気づいたようで俺とミーシャに耳打ちする。
「よく見て、あの子オッドアイだ」
「レナも気付いたか」
「本当ですね、可愛い」
確かに赤縁眼鏡から覗かれるレーガンの右目は碧で左は金色である。オッドアイの保持者は生まれつき魔力量が多い。
「座りなさい」
睨み合っていたレーガンだが、バーロウ先生に急かされ椅子に座り血液検査を受ける。
「なんと! 魔力量が1000を超えている」
やはり、破格の魔力量を保持していた。俺の10倍以上ある。
「おいまじかよ⁉︎」
「凄い、あの子」
再び騒ぎ出すクラスメイト達。
「うむ、だが他の身体能力は魔力量に比べて劣っているな。残念だがBランクだ、これから頑張りなさい。」
「……。はい」
レーガンは悔しそうに拳を握りしめる。
「うん、まあそうだよな。流石にAランク保持者が二人も出るはずないよな」
「そうだよね、でもBランクも十分凄いって」
レーガンがBランクだと知り興味を失ったようだ。
「はい、皆んな検査が終わったみたいね。次は、更衣棟で戦闘服に着替えてグラウンドに集合して下さい」
先生の指示に従って俺達は更衣棟へと向かった。
「あの大きさで銅貨一枚だなんて安いです」
「まあ、普通なら二枚はするだろう」
「美味しかった」
午前の座学の授業が終わり、食堂で食事を取った俺たちは血液検査を受けるために校舎の東側に位置する医療棟にいた。
なぜ血液検査を行うかというと、血液を調べる事でその者の魔力系統と身体能力を調べる事が出来るのだ。 魔力系統によりその者の職業が決まる。
魔力系統には大きく分けて二つある。遠距離型と近接型だ。そして、そこから細かく分岐する。
遠距離型には、魔力を凝縮し弓を媒介として攻撃する《弓使い》、 銃に魔力を込めて攻撃する《銃使い》、攻撃魔法特化の《魔術師》、魔力で物質を変化させ攻撃・支援を行う《錬金術師》、回復・支援魔法に特化した《神官》と言った遠距離で力を発揮する職業がある。
近接型には、攻撃力に優れた《剣士》、防御力に優れた《騎士》、攻撃力と防御力が高い《侍》、敏捷力に優れた《暗殺者》と言った魔力で身体を強化し、近距離で力を発揮する職業がある。
しかし、例外も存在する。それが上位職と呼ばれる希少職業だ。あらゆる全ての魔術を使用する《魔法使い》、攻撃魔法と剣術による手数で圧倒する《魔剣士》、回復・支援魔法を使用し圧倒的な防御力で味方を守る《聖騎士》、空中戦が出来る唯一の《竜騎士》が知られているがその他にもあるという噂もある。
普通、職業は遺伝するのだがこれらの上位職は遺伝せず、突然変異によってしか生まれない。そのため上位職保持者は即、《聖騎士団》に所属する事になる。だが、ここ数年は上位職保持者は見つかっていない。
「はい、皆んな集まりましたね。では魔力測定を行います。担当はバーロウ先生です」
眼鏡をかけた茶髪で白髪混じりの男性がこちらに軽く手を振る。
「名前を呼ばれた生徒から椅子に座って下さい」
血を抜き分析機にかけるのだ。分析機は400年前に滅びた《機会文明》の技術が使用されているらしい。
「アレク・アンドレア」
名前を呼ばれ椅子に座り左腕を出す。注射器で血液を抜かれる。
「ん? よし、採取出来た」
血液が分析機にかけられる。
「はい、これが君の身体能力だ。敏捷力は素晴らしいものを持っているがまあ、平均的だな」
そう言うと、バーロウ先生は俺に金属のプレートを渡す。
―――――――――――――――――――――――― アレク・アンドレア 職業:暗殺者 HP    985 MP    88    INT   35 ATK  142 DFE  45 AGI   472 ランク B ―――――――――――――――――――――――― スキル ・閃剣・双龍剣・グランドクロス アビリティ ・隠蔽LV.2・抗呪LV.2・身体強化LV.2 ・ バーストLV.1
――――――――――――――――――――――――
そこには、俺の身体能力が記述されていた。 身体能力は生命力の数値を表すHP、魔力量を表すMP、魔法の効果に関わる賢さであるINT、攻撃力を表すATK、防御力を表すDFE、敏捷力を表すAGIからなる。 スキルとアビリティの欄は取得したものを申請する事でプレートに書かれる。
次々と測定が終わりクラスメイトは互いの身体能力を見せ合って、「俺の方がMPが多い」とか「攻撃力が少し低いなぁ〜」と、騒ぎ合っている。
レナとミーシャも測定が終わりこちらに来る。レナは《神官》で、ミーシャは《弓使い》であり、二人ともBランクだった。 Bランクは2、3年生になってたどり着ける領域であり、一年生でそれは凄いことだ。 俺もBランクだと告げるとレナとミーシャには不思議そうな顔をされたが特に何も言ってこなかった。
「ジェンナ・ローズブレード」
「あっ、ジェンナちゃんです」
ジェンナが椅子に座り、測定を受ける。
「あいつ、ルチアーナ先生に喧嘩ふっかけたやつだ」
「ローズブレード、何処かで聞いた事がある気がするぞ」
「そりゃそうさ、ローズブレード家といえば有名な武器屋だぜ」
ローズブレードの武器はこの国の8割ものシェアを誇っており、また、ローズブレード家はこの国で最も力のある商家でもある。
「つまりいいとこのお嬢様ってわけね。どうせ大した事ないんでしょ」
「すぐに根を上げて学園を去って行くだろうぜ」
クラスメイトの何人かがひそひそと陰口を囁いている。
「むっ、ジェンナちゃんは凄いんです。今に吠え面書かせてあげます」
なんとなく、ミーシャはジェンナの事となると少しおかしくなるようだ。
「なんと! 凄い。Aランクとわ」
バーロウ先生は嬉しそうに声を上げる。
「おい、嘘だろ⁉︎」
「Aランク? 聖騎士団に入れるほどの実力だぞ⁉︎」
「なんでそんなやつが学園に来てんだよ!」
クラスメイト達が騒ぎ出す。
「ほら見ろです」
ミーシャはその様子を見て嬉しげにしている。
「はーい、皆んな静かにして下さい」
ルチアーナ先生の声掛けでたちまち静かになる。
「凄いじゃないですか、ジェンナさん」
ルチアーナ先生に褒められるがジェンナの表情は優れない。まあ、もともと余り表情が無いのだがさらに拍車がかかった感じだ。
「どうして私の時だけそんなに騒ぐのかがわからない。Aランクならもう一人いたはず」
「いえ、今のところ貴方だけですよ」
「そう」
ジェンナは俺を見て首を傾げる。そして俺の近くに来るとじっと見つめてくる。
「なんだ」
「別に」
そう言うとジェンナは分析機の方を向く。
「レーガン・ヘルキャット」
そう呼ばれ一人の少女が出てくる。深碧の髪が肩まだ伸びており、癖っ毛が強い。また、背はミーシャよりも低く同い年だとはとても思えない。
「ちびっ子、だれ?」
ジェンナは何気なく言っただけなのだが、それが致命的だった。本人が一番気にしている事を的確に突いてしまったのだ。
「今、私の名前が呼ばれただろうが! 聞いていなかったのか。後、ちびっ子はやめろ! このぺったんこ」
切れたレーガンがジェンナの容姿を馬鹿にする。相当頭にきたのだろう、語尾が強い。
「むっ」
ジェンナとレーガンの間に火花が散る。 すると、レナが何か気づいたようで俺とミーシャに耳打ちする。
「よく見て、あの子オッドアイだ」
「レナも気付いたか」
「本当ですね、可愛い」
確かに赤縁眼鏡から覗かれるレーガンの右目は碧で左は金色である。オッドアイの保持者は生まれつき魔力量が多い。
「座りなさい」
睨み合っていたレーガンだが、バーロウ先生に急かされ椅子に座り血液検査を受ける。
「なんと! 魔力量が1000を超えている」
やはり、破格の魔力量を保持していた。俺の10倍以上ある。
「おいまじかよ⁉︎」
「凄い、あの子」
再び騒ぎ出すクラスメイト達。
「うむ、だが他の身体能力は魔力量に比べて劣っているな。残念だがBランクだ、これから頑張りなさい。」
「……。はい」
レーガンは悔しそうに拳を握りしめる。
「うん、まあそうだよな。流石にAランク保持者が二人も出るはずないよな」
「そうだよね、でもBランクも十分凄いって」
レーガンがBランクだと知り興味を失ったようだ。
「はい、皆んな検査が終わったみたいね。次は、更衣棟で戦闘服に着替えてグラウンドに集合して下さい」
先生の指示に従って俺達は更衣棟へと向かった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
29
-
-
1168
-
-
93
-
-
35
-
-
2
-
-
63
-
-
104
-
-
969
-
-
439
コメント