復讐者と最後の聖戦

ノベルバユーザー209516

第3話〜入学式その2〜

 講堂に着くとそこには多くの生徒がいた。スラヴァ学園には15〜18歳のこの国の全ての魔力保持者が集まっており、ざっと3000人いるだろう。事前に配られた入学資料に書かれていた座席へと向かう。するとミーシャも同じ様に付いて来る。
「えっと、アレクさんてもしかして8組ですか?」「ん、ミーシャも?」「はい!」
 ミーシャは目をキラキラさせながら席に座る。俺もその隣に座る。
「よかったです、アレクさんみたいな方がいて。知り合いがいなくて不安だったんです」
 入学式までにはまだ時間があり周りはわいわいとしゃべっている。寝て待っていようかと考えていると、
「あっ、アレク遅いよ。何してたの?」
 よく聞き慣れた声がしたので振り返るとやはり、5年来の付き合いになるレナ・フランクールだった。
「いや、お前が早いだけだ」
「むー、そんなことよりその隣の子誰?」
「ひっ、ミーシャ・ロドニナです」
 レナがものすごい形相で威圧したためにミーシャが怯えてしまっている。何が気に入らないのかよく分からない。
「落ち着け、ミーシャが怖がってるだろ」「ふーん、この私を放っておいて朝からデートですか。ふーん」「デート……」
 レナが不機嫌そうにデートなどと大きな声で言うものだから周りの視線を集めてしまっている。大体なんでレナは不機嫌なんだ? 「えっなになに、修羅場?」と、野次を飛ばしてくるやつもいる。周りから注目されているせいかミーシャの顔も赤い。大体なんでレナは不機嫌なんだ? 俺のことが好きならば嫉妬しているということもありえるがそんな事はあるはずが無い。
「はあ」
 極力目立ちたくないのにどうしてこうなるんだ? と、悩んでいると救いの手が差し伸べられる。
「皆様、お静かにお願いします。これより、入学式を開始致します」
 そう、入学式が始まったのだ。それに伴い静けさが伝染して行く。
「まず、学園長からお話があります。ヴェロニカ学園お願いします」
 すると、10代後半の様な女性が現れる。とても威厳ある立場の学園長とは思えない。新入生である一年生が少しざわつく。上級生はその様子を感じ取り少し苦笑している。
「皆さん、こんにちは。ご紹介にあずかりました、ヴェロニカ・サフィーナです。入学式の挨拶をさせていただきます」
 そう前置きすると学園長はゆっくりと話し始めた。
「400年前《魔物》と呼ばれる生物がこの大陸に現れ殺戮の限りを尽くし、人類は滅びるかと思われました。
 しかし、我々は滅びてはいません! 《魔物》に対抗する力、魔力マナを手に入れたのです。以来、我々人類は国を築き上げ対抗してきました。
 皆さんがこの国、いえ、人類の希望となることを祈っております。それは、大変厳しいものでしょう。皆様はご存知でしょうが近年《魔物》の行動が活発になっています。五年前の聖暦412年には世界最大の国であったスヴィエート王国が陥落しました。
 ですが、これ以上負ける訳には参りません。皆様の今後の活躍に期待して居ます」
 ヴェロニカ学園長はそう言うと礼をして壇上から下りる。その時、目が合ったような気がするが気のせいだろう。
「続きまして、ブライム・アンティガ生徒会長より挨拶があります」
 一人の好青年が壇上へと上がる。
「皆さんこんにちは、生徒会長のブライムです。皆さんにはこの学園で3年間学んでいただきます。この3年間の成績で入ることのできる騎士団ギルドが決まるので精進するように。では、この学園の伝統について簡単に説明しようと思う。まず……」
 長くなると感じた俺は寝ることにした。


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