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VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい

夏月太陽

49.ホラーイベント5


「早速だけど、みきさん、どのくらい料理できる?」

 そう僕が聞いた。これは、とても大切なことだ。料理ができるか否かで、僕の手伝う質が変わる。

「そ、それがな……。ウチ、あまり料理したことないねん。家庭科の授業ではそれなりにできてたんやけどな」
「それなりと言うと?」
「成績が、1から5の5段階評価のうちの4やった」

 成績が4でも、実力があまり無い場合、関心・意欲・態度やテストなんかで補填できたりするから、成績通りの実力なのかは実際に見てみないとわからない。

「そっか。じゃあまずは、僕がこの鰤を捌くから、みきさんは捌いた鰤を食べやすい大きさに切ってね」
「あ、うん、わかった」
「はい、じゃあ切ってみようか」

 そう言いながらを渡した。

「いや、えっ? いつの間に捌いたん? どこぞの三分クッキングじゃあるまいし、元々捌いてあったなんてことはないよな?」
「今さっき捌いたんだけど?」
「はぁ!? 速すぎやろ!! マジックか! 手先が器用にも程があるやろ!」

 関西人のツッコミを疑似体験しているようでおもしろい。けどまあ、上手くツッコミができないっていう関西人さんが居るのは百も承知だ。

 人にはそれぞれ得意不得意があるのに、ツッコミと言えば関西人みたいな先入観があるため、関西人全員がツッコミが上手いという思い込みをしている。

 みきさんのツッコミは、個人的にはおもしろいと思う。特に「マジックか!」というところが。

「お兄さん? なに嬉しそうな顔してんの?」
「ん? あぁ、こっちの話」

 などの会話をしつつ、僕とみきさんは料理を進めていった。

 そして、遂に完成したアヒージョ風ニラ鰤ソテーを見て、みきさんは驚きを隠せない様子だった。

 因みに、みきさんの料理の腕前は本当にそれなりだった。可もなく不可もなくといった感じ。

「ホンマにおおきに、お兄さん! これなら彼氏の墓に供えても大丈夫や! はいこれ、お礼」

 そう言ってみきさんが差し出してきたのは、どこかの鍵だった。

「えっ、鍵?」
「それがないとスタンプ取られへんよ? いいから取っとき。あと、もう一つお礼」

 そう言いながら今度は、僕の頬にキスした。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 叫んだのはモモだ。僕はというと、いきなりそんなことをされたので、一瞬だけ思考停止していた。

「えへへ、モモちゃんには悪いなぁ思たけど、しとかないと後悔するな思てしてしもた。ごめんな」

 方目を瞑って手を合わせて謝るみきさん。

 モモは、こちらを指差しながらあまりの出来事に言葉がでないのか、鯉のように口をパクパクさせていた。

 みうちゃんといい、みきさんといい、なんで僕の頬にキスしたんだ? 二人ともゲーム用語で言えばNPCなのに。

「じゃあな、お兄さんにモモちゃん。おおきに」

 そう言ってみきさんは作った料理を持って去っていった。

 そのすぐ後、モモが怒った顔で近づいてきた。

 やめてください、怖いです。

「リュウさん?」
「はい、なんでしょうか?」
「2回です」
「あ、はい。キス2回ですね。わかりました」
「違います。夜伽(よとぎ)2回です」

 ……ん? 気のせいかな? 夜伽って聞こえた気がするんだけど?

「夜伽2回じゃないと許しません! リュウさんは私のリュウさん、私はリュウさんの私です! 他の女はDon't tach get away ですぅ!」
「えっと、モモさん?」

 なんか訳わからんこと言い始めた!? いや、理解できなくはないけど……。というか、英語の発音上手すぎ。

「モモさんや、知っているかい。夜伽は、添い寝という意味なんだよ?」
「ええ、もちろん知ってますとも。ですから、夜伽2回で許しますと言ってるんですよ?」

 満面の笑みで言っているけど、どこか何か企んでいるような気がするのは、僕の気のせいだろうか……。

 その後、結局僕は夜伽2回を了承し、鍵に書かれていた理科準備室へ向かった。

 理科準備室にみきさんから貰った鍵で開けて入ると、人体模型やら骸骨模型やらいつ見ても不気味なものばかり置いてあった。

 部屋は思っていたよりも綺麗で、汚れている箇所は無さそうだった。

 そんなことを思った次の瞬間、人体模型と骸骨模型が動き出した。

 骸骨模型はカタカタと音を立てながら、人体模型はなぜかフラスコを両手に持ちながら迫ってきた。

「……邪魔しないでください」

 そう言ったのはモモだった。

「早く終わらせて添い寝するんです! 邪魔しないでください!」

 物凄い剣幕だ。

 そのせいか、人体模型と骸骨模型が両サイドに別れて道を開けた。しかも、頭を下げながら。

 完全に「お疲れさまです! 姉御!」みたいな感じなんだけど……。

 その光景を見て若干顔を青ざめつつそんなことを考えていると、モモが満面の笑みでスタンプを見せてきた。

「リュウさん、リュウさん。スタンプありましたよ!」
「あ、あぁ、うん」

 モモが持ってきたスタンプを押し終えると、急に転送された。

 転送された場所は、なぜか異様にプレイヤーの団結力が高まる、イベント開始カウントダウンが行われた場所だった。

 そこには、他のプレイヤー達も居た。

『やっほ~プレイヤーの皆さん! いきなり転送されて驚いてるでしょ? なぜ転送されたかって? それは、スタンプを揃えた人が居るからで~す! そして、そのプレイヤーは~?』

 そう音声が言うと、なぜか周りが暗くなり、ドルルルルルルッという音が鳴り始め、スポットライトが複数点き一人一人プレイヤーを縦横無尽に動いて照らし始めた。

 これ、普通にドキドキするやつだ。

 僕とモモが揃えたけど、他に揃えた人は居るのかな?

 そんなことを考えていると、ババンッという音と共に僕とモモが照らされた。

『プレイヤー、リュウさんとモモさんで~す! おめでとう! という訳で、二人にはオリハルコンの防具一式を進呈しま~す! これにてイベント終了お疲れちゃん! バイバ~イ』

 最後によくわからない挨拶をした音声が終わると、周りのプレイヤー達からはまたお前かと言いたげな視線を向けられた。


「あのですね、違うんです。今回は目立たないようにしようと思ってたんですよ? 連れがホラー苦手だから、ゆっくり回ろうと思ってゆっくり回ってたんです。そしたら、いつの間にかスタンプが集まってたんです。……えっ? どうせ嘘なんだろ? アハハ、嘘な訳ないじゃないですか。イベントが始まってからどのくらい経ったと思ってるんですか? 2時間ですよ、2時間。僕がやる気だったらもっと早く集めますよ。えっ、なに? それは嫌味か? やだなぁ、嫌味な訳ないじゃないですか。ともかく、違うんです。じゃあ、そういうことで。さようなら」


 長く喋ってお別れを言った僕は、モモを連れてギルドホームへと逃げるようにその場を去った。


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