VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい
35.必要クエスト消化
吸血鬼三世さんを無視して一旦ダンジョンを出た僕達は、直ぐ様クエスト受注場所へ向かった。
クエスト受注場所に着き、一応必要になるかもしれないので浄化魔法が使えるようになるクエストを受注した。
内容は『大賢者の家を掃除せよ』という、簡単そうなものだった。
しかし、大賢者の家に行くとその考えは間違いだったことがわかった。なぜなら、大賢者の家が思ってたよりも大豪邸だったからだ。
「えっ、ここを掃除するの?」
「そうですよ。早く終わったら簡単じゃないですか」
「やり概がありそうだな」
「これだとありすぎて、逆にやる気なくすわよ……」
「リュウさんが居れば、なんとかなりますよ!」
僕がなんでもできる人みたいに言わないで!? まぁ、掃除はできるけど……。こまめに自分の部屋掃除してるし、ばあちゃんに掃除に関する知恵袋を伝授してもらったから、ばっちりできる。
大豪邸の門で呼び鈴を押すと、中から如何にも賢者な格好をしたおじいさんが出てきた。
「掃除の依頼を受けて来たんですけど」
「そうかいそうかい、よろしく頼むよ。さあ、入っておくれ」
中々に気さくな大賢者おじいさんがそう言いながら家に向かったので、僕達はおじいさんに付いていった。
家の中に入ると、大賢者おじいさんが掃除道具を出してきて掃除場所を割り当てながら渡してきた。
「君は廊下すべて、君はあの部屋とあの部屋、お嬢さん方は二人であの部屋とあの部屋を頼む」
ハヤト達には割り当てられたけど、僕だけまだ決まってないのでどこをやるのか聞いてみた。
「えっと、僕はどこですか?」
「あぁ、お前さんはワシと一緒に来てくれ」
大賢者おじいさんがそう言うと、手招きしながら奥へ入っていったので付いていった。
付いていくと、客間と思われるところに着いた。
「紅茶とコーヒー、どちらがいいかね?」
「コーヒーでお願いします」
普通に答えてしまったけど、どう考えてもこの部屋を掃除する訳じゃなさそうだよね。
「一緒に来てもらったのは他でもない。お前さんに、ワシの話し相手になってもらおうと思ってな」
「というと?」
「ほら、ワシこの通り一人じゃろ? 掃除しに来る人ぐらいしか話し相手が居らんのじゃよ。今回は来てくれた人数が多かったから一番話が合いそうなお前さんを選んだんじゃよ」
要するに、寂しいってことですね、わかります。
コーヒーを淹れ終えた大賢者おじいさんが、対面式のソファーの間に置かれた机の上に置き、僕に座るように促してきた。
僕がそれに従ってソファーに座り、淹れてもらったコーヒーを飲んでみた。……あれ? ブラックかと思ったらミルクと砂糖が入ってる……。
しかも、ちゃんと僕好みの割合で入ってる……?
僕が不思議に思っていると、大賢者おじいさんが、こう言ってきた。
「お前さんの好みは、コーヒー7に対してミルク3、砂糖はスティックのやつを1本、じゃろ?」
「なんで知ってるんですか?」
「相手の好みを知る魔法があるんじゃよ。それを使っただけじゃ」
まぁたぶん、僕の思考をVR機器が読み取っただけだと思うけど、ここはゲーム内で、目の前に居るのは大賢者なので、魔法でわかったということにしよう。
それから僕と大賢者おじいさんはコーヒーを飲みながら他愛もない話をしたり、魔法に関する大賢者おじいさんの熱弁なんかを聞いたりした。
◆
――その頃、ハヤト達は
・ハヤト
廊下を任されたハヤトは、現在絶賛長い廊下を端から端まで雑巾がけ中だった。
「廊下長すぎでしょう……。これは、設定ミスりましたね……」
そんなことをブツブツ言いながらも、廊下の雑巾がけをした。
その後は、乾拭きやモップをかけてピッカピカにして、終わった達成感と綺麗になった満足感に浸るのだった――。
・フウキ
二部屋任されたフウキは、一つ目の部屋を掃除していた。
フウキは、こういう時は上から掃除するのが良いと知っていたため、はたきで本棚の上の方からはたいた。
それから順に下をはたいていき、最後は床をホウキで掃いて雑巾をかけて乾拭きをしてやっとひと部屋終えた。
「もうひと部屋あるんだよなぁ。面倒くさっ」
文句を言いつつも、ハヤトと同様にちゃんと次の部屋の掃除へ向かうフウキであった――。
・モモ&ヒカリ
――ドサドサッ
「あっ、またやっちゃった……」
「またなの? いいからモモは隅でおとなしくしてなさいよ。私一人でやるから」
この二人も、フウキ同様二部屋任されたのだが、モモが絶賛足手まとい中であった。
ことあるごとに、本棚の本を落としたり、その落とした本につまづいて転んだりと、ヒカリに迷惑を掛けっぱなしだった。
「つ、次は大丈夫だから……!」
「いや、それ何回言ったと思ってるのよ……。いいから隅でおとなしくしてて。こんなとこ、リュウさんが見てたら、なんて言うかしら」
「うっ、それは……。はい、おとなしくしてます……」
「わかればよろしい」
結局、二部屋ともヒカリがモモの失敗があったことがわからないくらい完璧に綺麗に掃除し、二部屋の掃除を終えた。
ハヤト達は自分に割り当てられた場所の掃除を終えると、合流してリュウを探した。
探していると、客間から話し声が聞こえてきたので、ハヤト達が覗いてみると……
「という使い方もあるんじゃよ!」
「へぇ、それは便利そうですね」
と、楽しげに話している大賢者とリュウの姿が目に入った。
「えっ、これって、リュウさん、僕達が掃除している間、ずっとお喋りしてたってことですか?」
「たぶん、あのじいさんが話し相手になってほしかったんだろ。ひとりぼっちだし」
「私達じゃ話し相手にならないものね」
「そりゃそうだよ。リュウさん、おじいさんとおばあさんと一緒に暮らしてるんだから、話が合うに決まってるよ」
「「「確かにッ!」」」
モモの言葉に、三人が一斉に同意した。
◆
僕が大賢者おじいさんとの話に花を咲かせていると、ドアの方から話し声が聞こえてきた。
「掃除、終わった見たいですよ」
「お、そうかい。ちっとばかし早い気はするが、お前さんとの話に夢中になっておったんじゃろう」
「そうですね。楽しかったです」
本当に楽しかった。口調は違うけど、家のじいちゃんと話してるみたいだった。
その後、大賢者おじいさんがハヤト達が掃除した場所をチェックし、合格したのでクエストクリアとなり、ハヤトに浄化魔法が贈呈された。
ただ、大賢者おじいさんが言うには「掃除ができてなくても、お前さんとの話が楽しかったから、どっちでもよかった」だそうだ。
そこまで言ってくれると、話し相手になってよかったと思えるし、嬉しい。
それから大賢者おじいさんと別れた僕達は、杭が貰えるクエストを受けるため、再びクエスト受注場所へ向かった。
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