VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい
01.初めてのログイン
現在時刻は8時、今僕は自分の部屋でゲームの準備をしている。何でそんなに早いのかと言うと、こういう機械を触るのは初めてで悪戦苦闘を強いられるから早めに準備をしないと間に合わなくなるからだ。
そして、やっと準備を終了したので早速バイクのヘルメットのような物を被り電源を入れてベッドに横になって目を瞑り、『ログイン』と言うと目の前が明るくなり気づくと他に誰も居ない空間に居た。
《ようこそTogether Partners Onlineへ》
「うわっ、ビックリした!」
急に音声が流れたので、思わず驚いてしまった。
《キャラクター名を付けてください》
という音声が流れた後、手元に入力画面が出てきた。
(う~ん。どうしようかな? ここは無難に、リュウで良いかな)
安直ではあるが、速人君が分かるようにという言い訳の下、本名をカタカナにしただけにした名前になった。
《次にキャラメイクを行ってください》
という音声が流れた後、手元に僕の全体像と隣に設定が載った画面が出てきた。
(ベースは本人なのか。面倒だからこのままでも良い気がするけど、確かリアルばれっていうのが有るからダメなんだよな。となると、髪の色は変えた方が良いよな)
そんな感じで色々悩んだあげく、髪の色を黒から青に変えただけで、他は特に変えなかった。
《次に種族を選択してください》
という音声が流れた後、目の前に等身大の僕が種族毎の格好で並んだのと、手元に操作画面が出てきた。
―――――――――――――――――――――――
【ヒューマン】
◆おすすめ職業
・マジシャン:魔法使い。様々な攻撃魔法を覚える。プリーストと同様に必要な経験値が若干多い。
【ビーストマン】
◆おすすめ職業
・ウォリアー:斧や槌、素手など力を使う武器や肉体を使う職業。それらに補正がかかる。
【ドラゴニュート】
◆おすすめ職業
・ソードマン:主に片手剣や両手剣を使う職業。剣を使った攻撃や、スキルに補正がかかる。
【ドワーフ】
◆おすすめ職業
・アルケミスト:生産職。〈消費アイテム精製〉などのスキルで、アイテムや装飾品が作れるようになる。
【エルフ】
◆おすすめ職業
・レンジャー:地形に左右されずすばやい動きができ、ナイフや弓が使える。森などの地形で身体補正がかかる。
【フェアリー】
◆おすすめ職業
・プリースト:回復役。わずかだが光の魔法も覚える。他の一次職に比べて魔法職はLVUPに必要な経験値が若干多い。
―――――――――――――――――――――――
の6種有った。
下の方に注意書で、
[これは、最初からこの職業をやりたいと思っている方に対してのおすすめです。どの種族でもやりたい職業になれるのでご安心ください。]
と書かれていた。
(う~ん。どうしようかな? やっぱり名前が龍だしドラゴニュートにするか? 剣道やってるからそこそこ出来るだろうし、髪の色とマッチしてるし……うん、そうしよう!)
そんな感じで、ほぼ即決してドラゴニュートを選択した。
《最後に職業を選択してください。後から変更は可能ですが、条件をクリアしなければ変更出来ませんのでご注意ください》
という音声が流れた後、手元にさっきおすすめに出ていた職業が出てきたので、僕は迷わずソードマンを選択した。
《設定お疲れ様でした。それではゲームの説明をします》
まだ有るのか……。
説明を纏めると、
・このゲームはPVP推奨ではあるがクエストやイベントも有ってどちらでも楽しめる。
・このゲームでは、始めたら必ずどこかのギルドに入らなければならないが、入った後はソロでのプレイも可。
・死亡時は、30秒その場に倒れた状態になる。もちろんその間に誰かに蘇生してもらえるが、30秒蘇生されない場合は所持金ゼロになり【始まりの広場】へ送還される。
・PVP以外で故意に誰かをキルした場合、二人目までは名前の表示色が黄色になり3日キルしなければ元の緑色に戻るが、三人目からは名前の表示色が赤色になり、向こう1週間ログインは出来るが何も出来ない状態になるので注意。
・スキルは元々全て揃っているが、割り当てるポイントが存在し、任意のスキルのレベルをアップさせることが出来る。ポイントは、レベルアップで獲得するか、モンスターとの戦闘で獲得するかの二つの方法が有る。
・PVPは、レベル差関係なくHPの残り表示色が黄色になるまで戦うものである。
という感じ。
結構ペナルティーが厳しいよな……。だって1週間ログイン出来るけど何も出来ないって、それもうゲームプレイ出来ないのと同じだし、死ぬと所持金ゼロになるとか、頑張って貯めたのが水の泡になるってことだからね。
お金は持って歩かないようにした方が良さそうだ……。
説明が終わると、音声で《それではゲームを開始します》と流れ、僕は光に包まれた。
◆◇◆◇◆
光がおさまると、そこは大きな広場だった。
「ここが【始まりの広場】か。結構広いな」
辺りを見渡すと様々な洋風の建物が建ち並んでいて、外国にでも来たのかという感じがした。
そして、広場の中央には巨大な噴水があり、その周りにベンチが有った。
ちょうど良いので、そのベンチに座って自分のステータスでも見てみよう。
ベンチに座った僕はステータス画面を開き、確認するとこんな感じになっていた。
―――――――――――――――――――――――
◆プレイヤー名:リュウ Lv1 職業:ソードマン
HP:1000/1000
STR(攻撃力):120
VIT(防御力):100
AGI(回避力):100
INT(賢さ):100
MND(精神力):100
LUK(運):2(※Max:10)
◆スキル(※Max:Lv10)
【気配察知】:Lv1
【鍛治】:Lv1
【生産】:Lv1
【テイム】:Lv1
【料理】:Lv1
【調合】:Lv1
【挑発】:Lv1
【隠密】:Lv1
◆所持スキルポイント:10
※1ポイントで1レベルアップ
◆称号
・なし
―――――――――――――――――――――――
HPが結構高い? いや、他の種族のステータスを知らないから何とも言えないけど、1つ言える事は、攻撃力が高いということだ。
それからステータス画面を閉じ、視界の右上に表示されている現実の時間を見ると、現在8時30分だった。
速人君が来るまであと30分有るのか……。仕方ない、ここで30分ボーッとしてよう。
そう思ってボーッとし始めたところへ、見知らぬビーストマンの男の人が話し掛けてきた。
「君、このゲーム初めて?」
「あ、はい。そうですが?」
「なら、うちのギルドに入らないか?」
「すみません。現実の方で誘われてこのゲームを始めたので、お誘いは嬉しいんですけど無理なんです。本当にすみません」
「そっか、残念」
「あ、でも確か、クエストに行くときは誰とでも組めるんでしたよね? その時ならご一緒出来ますけど」
「本当か!? じゃあフレンド登録して良いか?」
「あ、はい。良いですよ」
僕が了承しフレンド登録し終えると、その人は笑顔で「俺の名前はソーキだ。よろしくな、リュウ。クエスト行くときはチャットで呼んでくれよ!」と言って手を振ってどこかへ立ち去っていった。
なんか、嵐のようなそうでないような人だったな……。まあ、知り合いが一人増えたと思えば嬉しいことだし、悪い人では無さそうだったから良いか。
そしてまた暇になった僕は、またボーッとし始めた。するとそこへ、また知らない今度は僕と同じドラゴニュートの男の人がやって来た。
「なあお前、このゲーム初めてか?」
「そうですけど、それが何か?」
「なら、PVPやろうぜ!」
そう見知らぬドラゴニュートの人がやけに大声で言ってきた。その言葉に周りの人達が振り向いて集まってきた。
さすがPVP推奨のゲームだ。皆見たくて堪らないんだな。仕方ない、体の動き具合が見たいし受けてみようかな。
「分かりました。その勝負承けます。でもその前に剣買ってきても良いですか? 持ってないので」
「買いにいかなくてもくれてやるよ。ほれ」
何か操作をしながら見知らぬドラゴニュートの人がそう言うと、こっちの画面に剣が贈られていた。
「それやるから、今すぐやるぞ」
「わかりました」
そう言ってから僕は、貰った剣を装備して出てきたPVPの申し出の画面の【YES】を選択した。というか、この人の名前、龍馬って……僕と少し被ってる! いや、そこはどうでも良い。
そして僕と龍馬さんは、噴水から数メートル離れた所へ移動した。
そして、龍馬さんと剣を構えて対峙すると、カウントダウンが始まった。
カウントが0になると同時に龍馬さんが突っ込んできて剣を僕の首辺りで横に一閃してきた。それを僕はしゃがんで避け、龍馬さんの後ろへ回り込んで背中を切りつけた。
結構速く動けるんだな。脳から直接信号が行くからか体の反応が速い。
「なんだあの初心者……!? 本当に初心者か!?」
「リアルで何かやってんのかな?」
「いや、それしかないだろ」
野次馬からそんな話が聞こえてきた。
そして、僕がふと龍馬さんのHPの残りを見るとレベル差が関係ないお陰か、一撃入れただけなのに既に半分くらい削れていた。
ということは、あと一撃入れたら勝てるってこと? それはさすがに早すぎなんじゃないかな? と、そんなことを考えていると、龍馬さんがまた突っ込んできて今度は連続攻撃をしてきた。
それを僕は、右へ左へ避けたり、しゃがんだりジャンプして避けたりと次々に繰り出される攻撃を避け続けた。
「あれって、避けれてんのか?」
「HP表示見てみろ、1ドットも減ってないだろ?」
「うわっ、本当じゃん!! 本当に初心者なのか疑うレベルだな」
「それな」
「というかあいつ、なんか義経みたいじゃね?」
「ああ、確かに。あんな軽々とした身のこなしは、義経と言っても過言じゃないよな」
「そうだ。俺、録画したからネットに流そうぜ! 『義経の如きみのこなしをする初心者ドラゴニュート』って題名でさ!」
「それは良いけど、俺的にはあだ名にするなら牛若丸の方があだ名っぽくて良いと思うけどな」
「それ良いな。それにしよう」
そんな話をされているとは、当然この時攻撃を避けることに集中していた僕は、これから自分のあだ名が牛若丸になることを知らなかった。
避け続けること数分、さすがに長いし速人君との待ち合わせに間に合わなくなると思った僕は、龍馬さんの次の攻撃を避けつつ一撃を入れた。
すると、龍馬さんのHP表示色が黄色になり『Winner リュウ』とドでかく空中に出てPVPが終わった。
「すみません、僕はこれで失礼します」
そう言って立ち去ろうとしたのだが、龍馬さんに呼び止められた。
「待て! お前、本当に初心者か?」
「さっき初心者って聞かれたときそうですって答えましたし、僕はほんの十数分前に始めたばかりのど素人ですよ?」
「じゃあ、リアルで何かやってんのか?」
「ええ、まあ。何をやってるかは言いません。リアルばれっていうのになるのは嫌なんで」
「まあ言いたくないなら詮索はしないが」
「じゃあ僕は知り合いと待ち合わせが有るので失礼します」
そう言ってから僕は野次馬の間を通って噴水の方へ戻ると、ちょうど誰かがログインしてきた。
一人かと思いきや、四人同時のログインだった。そのうちの一人が見たこと有るような顔をしていた。
歩いて近づいて行くと、やっぱり見たこと有る顔だったのでさらに近づくと、向こうがこちらに気づいて駆け寄ってきた。
「あの、人違いだったらすみません。もしかして龍さんですか?」
「じゃあやっぱり速人君?」
「はい、そうです。プレイヤー名はカタカナのハヤトです」
「こっちもカタカナにしただけだよ。ハヤト君に分かるようにする…のは建前で、本当は思いつかなかっただけなんだけどね」
「僕もそうなんです。そうだ、リュウさん」
「何?」
「リュウさんは歳上なんですから、これからは僕の事はハヤトと呼び捨てにしてください」
「えっ、あ、うん、わかった」
「それと、言ってなかったんですけど……」
「ああ、あそこに居る三人のこと? 良いよ気にしなくて。ハヤトにだって友達は居るだろうし、むしろ僕がお邪魔してるみたいな感じだし」
「全然、そんなことはないです! そ、それよりも、紹介するので付いて来てください」
焦ったようにハヤトにそう言われたので、ハヤトに付いて待っている三人の所へ向かった。
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