腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが
特別編② 「狼牙の時雨」第1話 白と黒
ちなみに設定を説明しておくと、2種類のオオカミくん達はレジェンド級の魔物なので普段は人の姿でも生活しています。戦いの際にオオカミフォームになります。そうしないと感情表現しにくいのでw
それではどうぞ!
ここは最果てのさらに最果て。
伝説と呼ばれた魔物たちが住む森。
そこにあった2つの対立していた狼王の里は1人の勇者の仲介によって、何とか協定を結び、里には2人の長が誕生した。
1人は男。
レジェンド級の魔物、ディアブロスウルフの男。
もう1人は女。
同じくレジェンド級の魔物、ホーリーウルフの女。
これは里を守らんとする2人の長の奮闘を描いた物語である。
「「はあ…」」
2人の長はため息を吐く。
「由希にはあんなに偉そうな事言ったけど…」
「実際はそんなに上手くいかねえよな…。」
「元は敵対してましたから…。」
「だよな…。」
ため息をこぼすのは黒狼の里の長コクビと白狼の里の長ハクビだ。
2人は一週間前にこの里を出ていった勇者と約束をしていた。
「2人の…」
「子オオカミ…」
2人は顔を合わせて赤くする。
「な、何を想像してるんですか!変態!」
「な!お前だってそ、その…想像しただろ!」
「わ、私は別に…!」
そこで2人は冷静になる。
「コ、コクちゃんは…欲しい…の?」
「は?」
「だ、だから…その…子オオカミ…。」
「そ、そそそ…それは…」
「コ、コクちゃん…。」
「ハ、ハクビ…。」
「コクビ様〜!」
そこにコクビの部下が現れる。
「どわっ!な、なんだよ?!」
「またハクビのやつと一緒にいるんですか…。」
部下はハクビを睨みつける。
「ま、俺はコクビ様が決めたなら従いますけど…ほかの連中はそうじゃないみたいですよ。」
「ああ…分かってる…。」
あの一件からハクビとコクビは2つの里を合併する宣言をした。
賛成の者もいたが、やはり反対の声は多かった。
それは今でもである。
「どうすればいいんでしょう…。」
「何とかするしかないだろ…。」
「簡単に言いますけどねぇ!」
「そのために…俺たちはここにいるんだろ?」
「コクちゃん…。」
「おい、里のみんなを集めてくれ。」
「は、はい…!」
ハクビも里のものを呼ぶ。
「みんなを広場にお願いします。」
「分かりました。」
「皆、集まってくれてありがとうございます。」
ハクビが代表して皆の前で話す。
「今隣には黒狼の里の者もいます。前の私達は互いにいがみ合い、傷つけ合い生きてきました…。互いに怯えながら。私は一週間前に1人の勇者…由希に合いました。」
ここでコクビが前に出る。
「俺は…その由希のおかげで目が覚めた。互いに傷つけ合っても…なんの意味もないって。今までやってきたことは許されないことだってのは…承知してる。それは俺は背負っていくつもりだ…。だから…これからは里どうし手を取り合ってやっていきたい…。頼む…ついてきてくれ。」
コクビは頭を下げる。
「私からも…お願いします。」
ハクビも一緒に頭を下げた。
「そ、そんな!ハクビ様が頭を下げる必要なんてありません!」
「そうだ!」
「頭を上げてください!」
「そうです!そんな野蛮な男を庇う必要ありませんよ!」
「戦争が終わったのなら私達はこれからも白狼の里で私達だけで暮らしていけばいいんです!別に…黒犬なんかと手を組まなくても…。」
「あぁ?!なんだとオラァ!」
黒狼の里の住人が反発する。
「こっちだっててめえらなんかと暮らすなんて論外だァ!」
「なんならまた戦争でもおっぱじめるかぁ?!あぁ!?」
「上等です!」
互いにに爪をむき出し臨戦態勢に入る。
「やめろ…。」
その声で黒狼の動きは止まる。
「コクビ様…。」
「あなたも…落ち着きなさい。」
「ハクビ様…。」
その一言で里は一気に静まる。
これが2人の里長が持つスキル、王者の一声。
「お前らの言いたいことは…最もだと思う。」
コクビは今度は白狼の里の住人に向けて話し始めた。
「俺は…わがままでお前らの里を襲った。これは償いきれることじゃない。だから…俺に出来る償いならなんでもする覚悟だ。」
「そ、そんなもの誰が信じ…」
「そして…もう1つ誓う。俺は…ハクビを含めたお前ら…全員を絶対に守るし裏切らない。本当に…すまなかった。」
コクビは白狼の里の住人に頭を下げる。
「コ、コクビ様!そんな連中に頭を下げるなんて…!」
「やめてくださいコクビ様!!」
「黙ってろ!!」
「っ…!」
その一言で黒狼の里の空気が震えた。
「コクちゃん…。」
「コクビ様!どうしてあんなことを!」
「あれだけのことをしたんだ…当然だろ…。」
「でも!」
「お前らの…言いたいことも分かる。それでもこれは俺が決めたことだ。勝手なことに付き合せて…本当にすまない。」
コクビは黒狼立ちにも頭を下げる。
「っ…。」
「俺は絶対に…互いに手を取り合って共存出来るそんな里を…!」
コクビの目には確かな闘志があった。
ギリギリ。
そう言えば特別編の方で優の部屋の紹介的なのを出しときました。ぜひ読んでみてください。
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かつあん
コクビかっけぇ...
言いたいことはそれだけです。