腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

65話 意味

「はは…ははは…なんなんだろうな…俺…。」
優は発狂している父親の前に座り込む。
「結局…俺には復讐しかないのかもな…」
「ユウ…。」
「!」
後ろから慣れた温もりを感じる。
「ミーシェ…。」
「お疲れ様…ユウ…。」
「…なんなんだろうな…本当に。結局…結局復讐じゃねえか…。俺の…生きる意味は…。」
「ユウ…。」
「復讐の化身…か。その通りだよ…。俺には…復讐しかない。そのために…生まれてきたんだろうな…。復讐が終わった俺には…もう…」
「ダメだよ…ユウ…。そんなこと言っちゃ。」
「!」
「ユウには私がいる。それにフランも。姉さんも!これは分からないけど陸くんや、由希ちゃん、お姉ちゃん達もいるでしょ?もう…生きる意味しかないよ。ユウ、私たちのために…ううん、自分のためにこれからも頑張ろ?」
「ミー…シェ…。」
「さ、目的も達成したことだし帰ろうよ。ユウ。」
「ミーシェ…!」
「わっ!…んっ!」
優はミーシェを抱き寄せ口付けをする。
「ぷは…ユウ?」
「ミーシェ…ありがとな。ここまで来れたのはお前のおかげだ。」
「ユウ…ううん、私は手伝いをしただけ。」
「それでも…ありがとう。」
「んっ!」
「ちょっと待っててくれ。最後に親父と話をな。」
「うん!」




「さて…。」
パチン…
優は指を鳴らし幻影魔法をとく。
「っ…」
「気分はどうだ?親父。」
「優…頼む…もう…もうやめてくれ…!」
「そうだな…それならまずは詫びろ。俺に…母さんに…姉さんに…!」
「っ…」
「…あんた…醜くなったな…。」
「!」
「本当は…許そうと思ってた。あんたのこと。どんな最低なヤツでも…あんたは俺の親父だ。」
「そ、それなら…!」
「だがそんな気も失せた。親父…俺を殴ってたあんたなら…俺に屈しなかった。しばらく会わない間に…あんた変わったな。良いふうに。前はもっと卑劣な男だった。何があんたを変えたんだ?」
「新しい…家族だ…。」
「そうだろうな。でも…新しい家族にあんたは仮面を被って暮らしてきたのか?それとも…それがあんたの素顔なのか?」
「俺は…」
「なあ…今までどんな気持ちで暮らしてきたよ?あんたは…どんな気持ちで今の娘に父親面してきたんだ?」
「あんな…女のこと忘れて…暮らしてきた…。」
「っ…だろうなぁ…!姉さんの事だって…俺のことだって…あんたは忘れることで罪から逃れた…。」
「…」
「それが…1番簡単だ。親父…あんた…もう死ねよ。」
「…は?」
「許せるわけないだろ?まあ…前までのあんたならまだ許せたよ。でもなぁ…一丁前に丸くなってんじゃねえよ!なんなんだよ!…あんた…!あれだけのことしておいて…!良くもまあ切り替えられたよなぁ!良く…忘れられたよな…!」
優は父親の胸ぐらをつかみながら訴える。
「あんたに…幸せに生きる資格はない。あんたは俺に…殺されるんだよ。社会的に。」
優は剣を抜く。
「安心しろ。死なねえよ。だが死ぬ。藤山茂としてのあんたはな…。」
ズブ…
「っ…ああ…ぎゃあああ!!」




「なんだ…なんにも…変わらないじゃないか…。」
茂はゆっくりと体を起こす。
「ははは…結局怖くなって逃げだしたのか…優の奴…。これで俺は…自由……へ?」
目の前に人の首が落ちていた。
「あ…ああ…」
それは紛れもない、妻のものだった。
「なんで…なんでこんな…優!なんで…なんで俺じゃなくて…くそ…!…は?」
周りには何人もの優がいたのだ。
「さあ…地獄の始まりだよ…親父。」
「これからあんたにはいくつもの…死を味わってもらう。撲殺、刺殺、銃殺、絞殺。バラバラにするのもいいかもなぁ?」
「や、やめろ…。」
「安心しろって。全部幻覚だから。あ、でも…親父には本当の死か幻覚か…区別がつかないかもなぁ?」
「よせ…!」
「さてと…まずは…どうやって殺そうか?」
「い、嫌だぁぁぁぁぁぁ!ぎええええええぇぇぇぇぇ!!」
「ハハハ…ハハハハハハハッ!」
茂の中で優は不気味に笑っていた。




「もういいの?」
「ああ、この魔法は解けない。親父が普通にこの社会で暮らしていくのは無理だ。精神病棟にでも入れられるだろ。文字通り社会的に殺したんだよ。」
「そう…。」
「帰るか…フランも待ってるしな。」
「うんっ。」



「ただいまぁ〜!フラン〜!」
優は真っ先にフランの元に向かう。
「あぁーう…。」
「寂しかったよな〜、ごめんよぉ…。」
「ふふふ…ユウったら…デレデレなんだから。」
「む…愛娘だぞ?当たり前だろ。」
「ふふふ…そうだねぇ…ただいま、フラン。」
「まーうぅ…。」
「今…ママって言った?!」
「ば、馬鹿言え!パパって言ったんだ!」
「ぜ、絶対ママだよ!」
「いーや、これだけは譲らないね!パパって言った!」
「むぅ…私だって譲らないもん!ママって言った!」
「パパ!」
「ママ!」
「帰って来てそうそうに何してるのよ…。」
「お姉ちゃん…。」
「姉さん…。」
ベルが部屋にやってきた。
「おかえり。復讐は?上手くいったの?」
「ああ。」
「そう。で?これからどうするの?」
「もちろん。」
「うん!」
「「3人で暮らせる家が欲しいっ…!あとマシュマロも!」」
「わん!」
「…いいけど…フランは置いてってね?」
「え?」
「は?」
「だ、だってフランと離れたくないんだもん…!なんなのよ!可愛すぎるでしょ…!」
「お姉ちゃん…。」
「マジか…。あのベル姉さんが赤ちゃんにメロメロだなんて…。」
「し、仕方ないじゃない。初めての姪よ?というわけで…置いてってね?」
「馬鹿言え、置いてくわけないだろ?」
「えぇ〜!!なら私も行くぅ!」
「そうしたらこの城どうすんだよ!?」
「知らないわよ!適当に任しとけばいいでしょ?!」
「とにかく!フランは置いてって貰うからっ!」
「おいおい…」




…まさかのラスボス姉さんかよ…。




間に合いませんでした…。
1周回って早めの投稿どうぞ!
次回…最終回です。
色々描きたいことあるので長くなります。
お楽しみに。
人気キャラ投票あと1話です。是非参加してください〜!
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コメント

  • るーるる

    うおーー最終回かー

    1
  • ばけねこ

    ベルの発言は草

    1
  • ノベルバユーザー333651

    もう終わっちゃうのか〜

    1
  • KIA

    最終回はどうなるのか楽しみにしてます!
    がんばってください。
    あとフランちゃん可愛い....

    1
  • かつあん

    前回もエグかったけど、今回も相当エグいですねwそして次回で最終回ですか...ずっと応援してきたので悲しいっちゃ悲しいけど、ハッピーエンドになりそうで嬉しいです!

    1
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