腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

60話 花

世界の命運をかけた戦いから1年。




「ユウ、気持ちは分かるけど落ち着きなさい。」
「…わ、悪い…。」
ベルに窘められ、椅子に腰を下ろす。
「…」
しかしまたすぐに部屋をウロウロし始める。
「…たく…。」
すると隣の部屋から赤子の泣き声…いや、産声が聞こえ始めた。
「!」
優はすぐさま部屋に入る。


「ミーシェ!」
「はぁ…はぁ…ユウ…。」
「生まれましたよ。元気な女の子です。」
城の助産師が優に告げた。
「そうか…そうか…!ミーシェ…お前が先に抱いてやれ。」
「う、うん…。」
ミーシェは助産師から産まれたばかりの命を抱く。
「ちっちゃい…。」
「そりゃ赤ちゃんだからな…。」
「ふふふ…っ…」
ミーシェの目から涙が零れる。
「ミーシェ…。」
「えへへ…ごめんね?なんか…何となく。」
「ミーシェ…!」
「わ…ちょ…ユウ…?」
優は新たな命とミーシェを包み込むように抱きしめる。
「頑張ったな…ミーシェ…。…お前もな。」
優は赤子の頭を撫でる。
するとそれに呼応するかのように泣き出す。
「ふふふ…よしよーし、ママだよ〜?」
「分かるか?パパだぞ。」
「お疲れ様…ミーシェ…。」
ベルがそっとミーシェに話しかける。
「あ!ベルちゃん!」
「たく…産んだばかりなんだから安静にしてなきゃダメでしょ?」
「えへへ…ごめんなさい…。赤ちゃん可愛くって…。」
「そうね…。私の…姪になるのね…。」
「ふふ…ベルちゃんも抱く?」
「わ、私は別に…」
「いいから。はいっ!」
「あ、もう…。」
女の子はベルの指を掴む。




きゅん…
「か、可愛…い。」
「でしょ?」
「う、うん。それで?名前はどうするの?」
「「あ…」」
「まさか考えてなかった訳じゃないでしょうね?」
「そ、それは…サ、サラお姉ちゃんにも相談しようと思って!」
「たく…」

「考えてなかったのね…。」

「「「!」」」
ドアを開けて入ってきたのはサラだった。
「お姉ちゃん!」
「姉さん…!」
ベルはサラのに抱きつく。
「ふふ…あなたは相変わらず私には甘えん坊なんだから…。」
「ふふふ…。」
「姉貴…なんでここに?」
「妹の大事な時に仕事なんてやってられないわよ。バトラーもいるしね。」
「お姉ちゃん…。」
「おめでとう…ミーシェ。よく…頑張ったわね…。」
「…うん。」
「さーて、この子に早く名前をつけてあげなきゃね。」
「あ、そだね。」
「うーん…。俺はネーミングセンスねえからな…。」
「そうだね。ユウが考えた名前じゃ可哀想。」
「ホントのことだからあれだが…ムカつくな…。」
「うーん…女の子だから…。」
「うーん…」
そのまま1時間程悩み続けた。


「そうだわ。この子はエトくんの世界樹の花のおかげで助かったミーシェが授かってた子供じゃない。」
「?…そうだけど…」
「ならそれから取って…




…ってのはどう?」
「いい…。可愛い!それにしよう!ユウ!」
「ああ…。元々ネーミングセンスないからな。なんの文句もねえよ。姉貴のつけた名前なら全然いいよ。」
「ふふ…可愛い名前じゃない。さすが姉さん。」
「でしょ?」


「ふふふ…。」
ミーシェは気持ちよさそうに眠るわが子の頬を撫でる。
「これから私たちは3人家族だよ?よろしくね…




──フラン。」


フランはそれに反応するようにミーシェの胸に顔をうずめた。




短めです。すいません。
あと少しで完結です…。

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コメント

  • ノベルバユーザー349637

    フラン···あ、あのト⚪ホウの吸血鬼の黄髪を思い出してしまった

    1
  • るーるる

    あれ?私フランと聞いた瞬間に何故かとある幻想郷吸血鬼を、思い出してしまったごめんな

    1
  • はにほへほたろう

    初めて授かった子で女の子だと、
    その旦那さんは何がはわらないけど、優しいっていうよね
    本当かどうかわからないけど、

    優しいの解釈に色々あるけど、
    優がとてといい優しい旦那さんであるように

    初心者な回答、
    失礼しました。

    ちゃっかり、投票

    ミーシェ

    1
  • かつあん

    ユウみたいに強くて、ミーシェみたいに優しい人になって欲しいな。

    ...それにしてもけん玉マスターさんのネーミングセンスが神すぎる〜。

    1
  • しらす(。∀゜)

    かんけつしてほしくないよー

    1
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