腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

38話 VS剣神①

優がアレスと死闘を繰り広げている中、陸は世界樹の奥まで進んでいた。
「ふぅ…この辺りは魔物も出るのか…。」
そう言いながら魔物を切り伏せる陸。
──リク…この奥から物凄いオーラを感じる。
「レイ…分かった。警戒していこう…。」
ゆっくりと歩き出す陸。
しばらく歩くと祭壇のような部屋に出た。
「ここは…」
「待ちわびたぞ…小宮陸。」
「!」
大きな椅子に腰をかける一人の男。
「君は…」
「我は剣神オーデン。エト様の命により貴公らの足止めをすることになった。」
「レイ…。」
陸は聖剣を構える。
「ふ…剣神である我に剣で挑むつもりか?愚かな…。だが我はここから動くつもりはない。」
「なんだと?」
パチン…
「!」
オーデンが指を鳴らすと祭壇上に魔法陣が展開される。
そこから剣を持った骸骨剣士が現れた。
「ネクロソルジャー。討伐ランクS級の魔物だ。」
魔法陣からは何十体ものネクロソルジャーが召喚される。
「さて…貴公の器…確かめさせてもらうぞ?」
「…」
ネクロソルジャーが一斉に陸に襲いかかる。
「…舐められたものだな…。…レイ…。」
陸は聖剣を一振り。
それだけで聖なるオーラが部屋を覆う。
「…セイント・レイ。」
ネクロソルジャー達は浄化されていく。
「ほう…。流石は聖剣に認められた真の勇者と言ったところか…。」
「…勇者?そんなものは関係ない。僕はピルーク王国騎士団団長、小宮陸だ。」
「ふ…いいだろう。ならばこれならどうかな?」
パチン!
「!」
今度は魔方陣から巨大な甲冑を着た剣士が現れる。
「…」
「レジェンド級のブレイバーだ。貴公に倒せるかな?」
「ピルーク王国流剣術…」
「!」
陸は一瞬で距離をつめ、ブレイバーの首元、甲冑の隙間に剣を立てる。
「…龘山とうざん。」
「ごはっ…!」
ブレイバーはその場に膝をつく。
「…」
オーデンはその様子を黙って見ていた。
「ホーリースラッシュ。」
そしてそのまま首を斬り飛ばした。
「さて…そろそろ立ったらどうだ?君の可愛い手駒達をいくら出そうとも無駄だ。レジェンド級に手こずるほど僕は弱くない。」
「ふ…ふはは…そうか…。いいだろう。」
オーデンは剣を持ち立ち上がる。
「貴公の器…我自身で見極めさせてもらおう。」


ギンギンギンギンッ!!
剣と剣がぶつかり合う。
「っ…!」
「どうした?小宮陸…防戦一方だぞ?」
「くっ…」
オーデンの猛攻に陸は攻めあぐねていた。
(なんて重い一撃だ…。)
「ピルーク王国流剣術…狂い仇花…!」
「なかなかに洗練された剣だな…。だが剣神である我にとっては恐るるに足りん。」
陸の連撃を全て捌く。
「ちっ…」
「我からも行かせてもらうぞ?はあっ!」
「っ…」
オーデンの重い一撃をなんとか受け切る陸。
「五月雨切り!」
陸はすぐさま反撃を入れる。
「甘い。」
ギンッ!
「っあ…」
剣を振り払うオーデン。
「隙を見せたな?」
「しまっ…」
ザシュッ!
陸はなんとか体を反らせるが、肩に一撃を食らう。
「っ…」
ボタタッ…
血が滴る。
「よく避けたな…。流石は聖剣使いの勇者だ。だが…貴公はまだ青い。聖剣に使われている。」
「…」
「聖剣を使わなくては我には勝てんぞ?」
「!」
オーデンは手を上に掲げると、魔法陣から身の丈程ある大剣を取り出す。
「ふんっ!」
「っ…くそ…」
ギンッ!
「がっ!」
オーデンは大剣を陸に向かって薙ぎ払う。なんとか受け止める陸だったが、あまりの勢いに吹き飛ばされてしまった。
「ははは…重いなんてもんじゃないな…。っ…」
陸は腕を抑えて立ち上がる。
「命知らずだな…。死ね。」
「っおおお!!」
ギン…!
「ぐうっ!」
またしても吹き飛ばされる陸。
「はぁ…はぁ…」
──リク、そろそろ私を解放しろ。
「!…もつのか?」
──心配要らない。君は僕をしっかりと使っている。君の魔力があれば大丈夫だ。
「…分かった。」
「何をブツブツと話している?」
「別に…流石は神だな…。僕の手には負えそうにない。」
「ふ…負けを認めるのか?」
「まさか。僕は負けないよ。」
「戯言を…。終わらせてやる。」
オーデンは大剣を構える。
「…行くよ…レイ。」
──…ああ。
「死ね…!」

ギィン…!

オーデンの大剣が振り下ろされる。
「っ…何っ?!」
しかし大剣は受け止められていた。
陸ともう1人。
銀髪の少女の剣によって。
「…何者だ?」
「ふふふ…リクに使われているものだよ。さて…布石はリクが打ってくれた。」
「ああ。」
「「反撃開始だ。」」
「布石だと?」
「ふ…僕がただ君の剣を受けて吹き飛ばされているだけだと思ったか?」
「なんだと?」
「レイ…あの一点だ。」
「…ああ。」
ヒュ…
レイは高速でオーデンとの距離を詰めた。
「!…不意打ちか…甘い…!」
「いや?」
レイは剣を突き立てて、オーデンではなく大剣目掛けて剣を突き出す。
「何?!」
バキン!
音を立てて大剣は折れる。
「…なるほど…小宮陸…。貴公は我の剣の同じ場所を何度も攻撃していたわけだな…。」
「敵を倒すにはまずは無力化だ。基本だろう?」
「ふはははは!面白い!いいだろう。」
「「!」」
オーデンの後ろに何本もの剣が現れる。
「少し本気を出してやる。」
「レイ…。」
「ああ…。」

「「来い…!」」




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コメント

  • ノベルバユーザー309511

    剣神よりセバスの方が強い説

    5
  • かつあん

    小宮様カッコイイ!凄い速さで振ってくる剣の一点だけに攻撃できるなんてすごい技術だ!

    1
  • KIA

    剣神VS陸
    すごいことになってきましたね!

    1
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