19話 共闘

タイアリア王国
「…」
何をするでもなく椅子に座り窓から外を眺めるミーシェ。
「ミーシェ様…如何致しましたか？」
「ローザさん…。今、ピルークで大きな戦争が始まったんでしょ？」
「そう聞き及んでおります。」
「そっか…。はぁ…何も出来ないのは…やっぱりやだな…。」
「ミーシェ様…」
「ねえ、ユウは大丈夫だと思う？」
「藤山優様はきっと大丈夫ですよ。」
「ローザさん…。」
「何せ国王陛下が一目も二目も置いているお方です。彼を信じましょう？」
「そうだよね…。ユウなら死なないよね…。」
「どうしますか？街にでも出かけて気晴らしでも致しますか？」
「ううん…。いい。」
「左様にございますか。では何かありましたらなんなりとお申し付けください。」
「あ、うん。ありがとう。ローザさん。」
「では失礼致します。」
ローザはミーシェの元を後にした。
「ユウ…。」
ミーシェはまたしてもぼんやりと窓の外を眺めた。


ピルーク王国
その上空で戦争は起きていた。
地面にはおびただしい魔物の死体と、兵士達の死体が転がっている。
ドンッ！ダンッ！
優は拳銃2丁を手に、次々に魔物を撃ち落としていく。
「テンペスト…！」
凄まじい竜巻が魔物や魔人を巻き込む。
サラは魔法を使い確実に魔物を仕留めていた。
「っ…ふぅ…どんだけいやがるんだよ…。」
「そうね…キリがないわ。近くに街がなければ魔法で吹き飛ばしているところだけどね…。」
「おいおい…俺らを巻き込むのだけはやめてくれよ？」
「そんな事しないわよ…。」
「姉さん！」
ベルが鎌を片手に2人の前に戻ってきた。
「ベル…どうしたの？」
「3人…この魔族たちの中に3人この場を仕切ってる魔族がいるのが確認できた。」
「3人…」
「この数を3人でまとめるのはなかなかだな。」
「恐らく魔族が固まっているあたりにいると思うわ。手分けしてかかりましょ。」
「そうだな。」


「…ソードサンクチュアリ！」
由希周りに現れた剣が魔物達を撃ち落としていく。
「…ふぅ…キリがないわね。」
「松山。」
そこに優が現れる。
「…藤山くん。」
「姉さんの推測によるとこの場を仕切っているのは3人の魔族だ。」
「…3人？」
「ああ。あそこに魔物が密集してる所があるだろ？おそらくそこに1人居る。協力してたたくぞ。」
「…分かったわ。ふふ…まさかあなたと共闘する日が来るなんてね。」
「こっちのセリフだよ。」
優はレーヴァテインを抜く。
「…私が援護する。藤山くんは…魔物の群れを切り開いて。」
「はいよ。少し飛ばすぞ？」
優の髪が白く染まる。
そしてレーヴァテインを黒い炎が覆った。
「獄・エビルスラッシュ…！」
獄炎で魔物達が黒焦げになり落ちていく。
開けた所をすかさず切り込んだ。
「…プロテクトサテライト！」
松山の精霊魔法で優の周りに三体の精霊が現れる。
「これは…」
「…盾よ。これで心置き無くやれるでしょ？」
「サンキュ。ならご要望どおり暴れてやるよ。」
さらに炎を強める優。
「…っ…ものすごい熱量ね…。アタックサテライト。」
優の周りにさらに三体の精霊が現れる。
「…その精霊達は攻撃魔力を模写できるの。好きにやっちゃって。」
「ああ…ブラックエンド。」
優が手を上に上げると三体の精霊からも巨大な闇の塊が現れる。
つまり優の上には計四つの闇の塊が現れた。
「おいおい…なんだよこのチート。敵が可哀想だろ？」
「…ふふ。」
そのまま闇の塊を落とした。
「これなら統率者の魔族も死んだんじゃねえの？」
「…どうかしらね…。」
「っ…なかなかやりますね…。」
「「！」」
煙の中から人影が現れた。
「あら、生きてんのね。」
「舐めないでいただきたい。」
煙が晴れるとそこにはシルクハットを被った紳士風の老人が立っていた。
「私は血の教団幹部の1人ワイズマン。その名の通り魔法には自信があるんですよ。」
「そうかよ。こっちは時間が惜しいんだ。とっとと死んでくれ。サンダーボルテックス。」
計四発の雷の光線がワイズマン目掛けて飛んでいく。
「ふんっ！」
「！」
ワイズマンが手を振るうと魔法は消えて失せた。
「何しやがった？」
「さて？なんのことやら…。こちらから行きますよ？」
ワイズマンはステッキを取り出す。
「ふぉふぉふぉ…ファイアーボール。」
「初級魔法…舐めてんのか？…相殺。」
「舐めてませんよ？はっ！」
ワイズマンがステッキを振るうとファイアーボールは数が増え、優の周りを囲んでいた。
「なっ…ちっ…」
「…サンクチュアリ！」
優の周りにできた聖域により、火の玉は防がれた。
「助かった。」
「…ええ。私もいるわ。協力して…倒しましょう。」
「ああ…。頼む。」

優＆由希ＶＳ血の教団幹部ワイズマン。

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本日2話目です。…ギリギリですけど。
明日も2話更新出来るかもです！
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