腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

16話 血染め

「ん?なんだあれ?」
ピルーク王国の城門で警備をする兵士のひとりが空を指さす。
「ん?あれは…」
空から城門めがけて飛んできたのは巨大な赤いドラゴンだった。
「!、敵襲だ!」
「ふふ…ざんねーん。もう遅いわよ?」
ドゴーンッ!
「ぎゃあああ!」
「くはぁ!!」
「ゲリスは地上から行こうとするから門すらくぐれないのよ。ほら、空から行けば簡単じゃない…。」
門の前に降り立った女は門をくぐり、ピルーク王国へと入っていった。


「状況は?」
「魔族の女が国内に侵入しました。門前兵は全滅です。」
「…そうか…。」
「…陸。」
「僕が出よう。」
「…私も行くわ。」
陸と由希が名乗りをあげる。
「この国で好き勝手させる訳には行かないからね。」
「…そうね。」
「そ、それならば俺も出る!」
ロキア帝国騎士団長コリンも名乗りを上げた。
「なら今回はあなた達3人に任せるわ。」
サラが席に座り紅茶を楽しみ始めた。


「別に僕達だけでもよかったんだぞ?」
陸がコリンに話す。
「ふん…もし仮に貴様らが仕損じた時の為だ。貴様らの尻拭いをしてやるよ。」
「…そう。それよりも魔族の女ってのはどこにいるのかしら?」
「俺は俺のやり方で探す。」
コリンは脇道に入っていった。
「身勝手なやつだな…。」
「…そうね…彼…大丈夫かしら?」
「まあ騎士団長を任されている訳だしそう簡単にはやられないだろう。」
「…そうね。…だといいけど。」


(あんな奴らいなくとも俺だけで魔族の女など打ち倒せる…!あんな奴がこの世界の命運をかけた戦いの指揮を執るだと?ふざけるな…!皆目が曇っている…!藤山優や魔神サラだって要らない…!邪神だって俺1人で…!)
街には血の教団の襲撃に備え国民は皆避難していた。
「魔族の女など直ぐに見つけだしてみせるさ…!」
カタ…
「!…誰だ?!」
「ひっ!ご、ごめんなさい!」
そこには子供を抱えた一人の女性がベンチの隅に隠れていた。
「何をやっているだ?!避難警告を出したはずだろう?」
「そ、その時私…街にいなくて…それで…子供を置いてきてしまっていたので…迎えに…」
「そ、そうか…怒鳴ってすまなかった。城に連れて行く。立てるか?」
「…ええ…ありがとう!」
「!」
女の手が刃物に変り、それをコリンに突き出した。
コリンは間一髪でそれを避けた。
「っ…何者だ?!」
「あら?完全に不意打ちだったのに…よく避けたわねぇ?」
女性の髪色が赤に変り、抱えていた赤子はゴブリンの姿に変わった。
「っ!…貴様が魔族の女か?」
「そうよ?私は血の教団幹部のキャシル。得意なことは殺しよ?…よろしくね!」
キャシルは懐からナイフを取り出し、コリンに斬りかかった。
「舐めるな!」
コリンは剣を抜き受け止める。
「うふふ…あなたみたいな若い男の子をいじめるのは大好きよぉ?お姉さんが相手になってあげる。ブラッドハント!」
キャシルは
ナイフで自分の手を傷つけた。
「何を…」
キャシルがナイフを振るとナイフについたキャシルの血がコリンの頬に飛び散る。
スパッ!
「!…くっ!」
コリンは急いで血を拭う。
「あら?惜しい〜。もう少し血の量が多ければ顔面ズタズタに出来てたわね〜?」
「っ…フレイムランス!」
コリンは炎の槍をキャシルに放つ。
「ブラッドドラゴン!」
キャシルはさらに自分の体にナイフを突き立てると、その血から巨大なドラゴンが生まれた。
「さあ!言ってちょうだい?私のかわいいかわいいドラゴンちゃん?」
「っ…ファイアフォース!」
コリンは剣に炎を纏わせる。
「舐めるなぁ!!」
コリンはドラゴンを真っ二つに切り裂いた。
「なかなかやるわねぇ?でも…そのドラゴンは文字通り私の生き血。私が死ぬまで生き血なのよ?」
「!」
ドゴッ!
「ぐはっ!」
ドラゴンがコリンに激突し、コリンは吹き飛ばされてしまう。
「くそ…!プロミネンスブレイズ!」
コリンはキャシルめがけて火属性魔法を放った。
「ブラッドウォール。」
炎は血の壁で消え失せた。
「くっ!」
「今度は私から行くわよ?キャハハッ!」
キャシルはさらに自分の体にナイフを突き立てた。
辺りにはキャシルの血が飛び散った。
「な、何を…」
「キャハハハハ!!…ふふ。…ブラッディフェスティバル。」
「!」
飛び散った血から刃や、槍、血でできた巨人などが姿を現す。
「っ…!プロミネンスブレイズ!」
「言ったでしょ?無駄よ。」
「くそ…!」
ドスッ!
「っ!…がぁぁ!!」
血の槍がコリンの足に突き刺さった。
「っ…!」
「あら?よそ見かしら?」
「!…がっ!」
血の巨人がコリンを殴りつけた。
「ぐふ…」
「まだまだ行くわよ?」
「!…がぁぁ!!」
血で出来た剣がコリンの肩を切り裂いた。
「く…そ…」


「…まだ死なないのかしら?」
「がふっ…はぁ…!はぁ…!」
血だらけで息を荒らげるコリン。
「…血の反逆。」
「!」
飛び散ったコリンの血がコリンめがけて飛んできた。
「!、がァああ!!」
「自分の血に襲われる感想はどう?」
「くそ…くそ…くそぉ!!」
「終わりよ…じゃあね?イケメンくん。」
キャシルは巨大な血の槍を作り出しコリンめがけて放った。
「…色魔法…黒。」
「「!」」
血の槍は消え失せた。
「…私の血を…消した?」
「やれやれ…僕の国を血で汚さないでくれるか?」
コリンのピンチを救ったのはピルーク王国騎士団長小宮陸だった。




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コメント

  • かつあん

    コリンくそ雑魚決定♪
    さすが小宮様!いい所で出てくるぅ!マジ小宮様神だ!色魔法なにかと便利だなー

    3
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