腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

66話 四重奏

「と、藤山…優…!」
ベリア・ピルークは王室に飾られていた甲冑の持つ槍を手に取り構える。
「まあ待て。小宮が言った通り俺は勇者以外に用はない。」
「黙れ…。貴様に用が無くとも私にはある。先代王女の仇、我らが勇者の仇…とらせてもらうぞ。」
「…俺の邪魔をする気か?」
優は目を細めベリアを睨みつけた。
「…っ…」
「藤山…やっぱり僕達を殺しに来たんだね…。」
小宮が問いかける。
「久しぶりだな…小宮。」
「…国王。君に勝てる相手じゃない。下がるんだ。」
「なんだと…?藤山優は私がこの手で…」
「ベリア・ピルーク…だったか…。フィリスの関係者か?」
「…だったらなんだ?」
「いや…別に。…よく見ると面影があるな…。思い出すよ。フィリスを殺した時のあいつの絶望的に歪んだ顔。」
「っ…!」
「どうやって殺したか教えてやろうか?」
「…れ。」
「まず拷問魔法を掛けてな、死ねなくするんだよ。そのあとは散々いたぶる。それであいつが殺してくれとすがってきてから殺すんだ。」
「黙れ…。」
「あの時は気分がよかった。殺す前に四肢をもいでな。そして地面に頭をこすりつけて…」
「黙れぇぇえ!!」
ベリアは槍を構え優に突き出した。
「よせ!」
「握りが甘いな…。セバスさんに教わらなかったのか?」
優は懐からナイフを取り出し手のひらで数回回しながら槍を切り裂く。
スパン!
「なっ!」
「もろい槍だな…。じゃあな。」
優のナイフがベリアの首に近づく。
「…サンクチュアリ!」
ギン!
「!」
「…藤山くん…あなたの目的は私たちでしょ?」
「松山…。ふーん…少しは強くなったんだな…。」
ベリアはその場に座り込む。
「下がれ。」
小宮が前に出る。
「ほお…俺に勝つつもりか?」
「どうだろうね。でも僕は君に勝てるように強くなった。君には絶対に殺されないさ。もちろん由希もね…。」
「…スピリットフォース!」
松山が精霊魔法で2人のステータスを倍にする。
「…なんだその魔法?俺には使えない…神級魔法か?」
「…どうかしらね。陸!」
「ダークフォース!」
小宮は剣に闇を纏わせた。
「…いくよ…レイ。」
「…レーヴァテイン。」
ギンッ…!
小宮の聖剣と優の魔剣が衝突し、凄まじい衝撃波が巻き起こる。
「っ…」
その様子を隠れて見ていた榊は目を瞑る。
「ははっ!そう来なくっちゃ面白くねぇ!エビルスラッシュ!」
「降神斬!」
2人の剣が再び衝突する。
しかし若干優の剣が小宮の剣を押した。
「っ…」
「…陸!」


「…ダメだよ…邪魔しちゃ。」
「!」
松山の前にミーシェが立ちはだかった。
「…ミーシャさん…。」
「ううん。私はミーシェだよ?由希ちゃん。」
「…どいて。あなたに用はない。」
「私にはあるけどな。ユウの手伝いをするって言うね。あ、もちろんあなたは殺さないよ?ユウのだもん。」
「…無理矢理でも…押し通る…!エレメントスピリット!」
「ディバインシールド。」
松山が作り出した4色の玉はミーシェの結界魔法に防がれる。
「さて…私から行こうかな。」
ミーシェの右目が赤く染まる。
そして手をかざすと大剣が現れた。
「…」
松山は剣を構え、攻撃に備える。
「…」
「!」
しかし次の瞬間視界からミーシェが消えた。
「どこ見てるの?」
声は後ろから。
「っ!」
松山は何とか振り返り剣で受け止める。
「…いつの間に…。」
「ふふ…まだまだいくよ?」
ミーシェの剣が黒い雷を帯びた。
ギンッ!ギンッ!
「っ…くっ…」
剣同士がぶつかり合う度に黒い雷が迸り、松山から仕掛けることが出来なかった。
「安心して?私にあなたは殺せないから。」
「…ふざけてるの?」
「ふざけてなんかないよ。あなたはユウのだから私には殺せない。だからね…あっちの戦いが終わるまで…遊びましょ?由希ちゃん?」
「…っ…陸…!」



「────油断するな、足元をすくわれる。────


…これは俺がミーシェに力を貰った時に最初に忠告されたことだ。
油断は良くない。力を得たからと言って自分はなんでも出来ると思い込む。油断は命取りになるからな…


お前をそう思わないか?…小宮。」

壁にもたれ掛かり倒れる小宮に優は問いかけた。
「…陸…!」
松山が駆けつけようとする。
「だーめ。あなたの相手は私でしょ?」
しかしミーシェに阻まれてしまう。
「…っ…どいて!」


「…はぁ…はぁ…。」
小宮は息を荒くして立ち上がる。
「強くなったからって俺に勝てると思ったか?」
「っ…。」
「グラタナス・ヘル。」
「くそ…!」
優の背中から巨大な口のついた触手が飛び出す。
剣で受け止める小宮。
ズドーン!!
しかしそのまま小宮を壁まで吹き飛ばしてしまう。
「がはっ!…はぁ…はぁ…サンシャイン!」
「…相殺。」
巨大な光の玉を生み出すが優は難なく相殺する。
「お前程度の魔法…手を使わなくとも相殺出来る。」
「はぁ…はぁ…くそ…。」
「まだやるか?小宮…。」
「っ…由希…。」
陸は松山の方に目をやる。


「…スピリット…エンブレム!」
「!、わわっ…すごい…何これ?」
ミーシェの足元に巨大な紋章が現れる。
「…ディバインシールド。」
ミーシェが地面に、結界魔法を放つと紋章は消えてしまう。
「!…どうして…どうして神級魔法の精霊魔法が結界魔法に防がれるのよ?!」
「さあ?何でかな?」
────由希…ダメだ。
ニキが松山に話しかける。
────魔力が桁違いすぎる。
「…魔力…?」
────うん。もはやあの結界魔法は僕のサンクチュアリよりも強力だよ。
「っ…どうすれば…」


「お前らは強くなったよ。少しは楽しめた。だが…ここまでだ。」
優は小宮に剣を向ける。
「っ…」
「じゃあな。」
次の瞬間小宮が微笑む。
「いや…まだだ…



…色魔法…!」



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コメント

  • にせまんじゅう

    反撃開始〜!

    0
  • らう

    作者さんも優も小宮たち全員頑張って欲しいです!(`・ω・´)

    2
  • ノベルバユーザー239382

    優さんに勝って欲しい!

    3
  • 異世界大好き先生

    色魔法どんな魔法なんだ?
    気になるわー

    1
  • かつあん

    おお!出た色魔法!果たしてどんなことになるのか!次の話が楽しみですねぇ

    3
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