腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

40話 小宮&松山side あてのない旅

「さて…これからどうしたものか…。」
地上に戻ってきた陸は場所も分からず、途方に暮れていた。
「強くなったとはいえ…こんな所来たことないからな…。」
辺りを見回してもただ暗いだけ。
「とりあえず進んでみるか…。」
陸は狭い道を歩き始めた。


由希は無事だろうか?
すぐに会いたい。
「僕は…一体どこまで落ちたんだ?」
途方もなく続く道。
出口も分からず右も左も分からない。
「これは…地獄よりもまずい状況なんじゃないか…?」
陸は辺りを見渡す。
「腹が減った…。」
陸はアイテムボックスから干し肉を取り出した。
何年ぶりの食事だろうか?
「…美味いな…。」
干し肉という粗末な食事だ。
しかし今の陸にとっては何よりもご馳走だった。
「…そうか…あんだけ地獄にいてもここでは数秒しかたっていないんだったな。」
すぐに腹が脹れた。
「…」
地上に戻ってきた。
地獄という試練を乗り越えて。
しかし何故だろう?
何かが足りなかった。
「ふん…何が足りないかなんて…分かりきっているじゃないか…。…由希…。」
地獄では500年の年月を体感してきた。
陸にとっては500年もの間、由希と会っていないのだ。
「…会いたい…今…すぐに…!」
そんな気持ちが陸の心を支配した。
「!」
周りを見渡す。
「…ちっ…なんでこんなに集まっているんだ…。さっきまでは大人しくしていたくせに…。」
陸の周りには数十匹の魔物が取り囲んでいた。
「グァァ…」
「キシシ…」
見るとしにがみの姿もある。
「皆A+級以上ってとこか…。さて…僕は今どこまでやれるか…。」
「グァァ!!」
インフェルノタイガーが陸に飛びかかった。
「光属性魔法を試してみるか…ライトフォース。」
陸の剣を眩い光が包んだ。
「おお…なかなかだな…。」
ヒュンッ!
陸は剣を横に薙ぎ払う。
「クギャッ!」
インフェルノタイガーの首が飛ぶ。
「これは…凄いな…」
「ヒァァ!!」
「クバァァ!」
魔物の群れは一斉に陸に襲いかかった。
陸は手を広げ前に出す。
「…灼熱。」
すると手のひらに魔法陣が構成され、獄炎を生み出した。
「っ!…物凄い威力だな…。これがブレス系の魔法か…!」
「ヒア…ア…」
魔物の殆どは灼熱に包まれ黒焦げとなった。
「最後は聖剣術…。ライトニングスラッシュ…!」
しかし陸の剣に異変はなかった。
「…あれ?」
何故か聖剣術が使えない。
しかしその理由はすぐにわかった。
「…そうか…これは聖剣じゃないからか。」
そう、陸の剣はピルークに居る鍛冶師が陸のために作ったもの。強力な武器ではあるが聖剣ではなかった。
「聖剣なんてざらにあるものじゃないからな…。」
そう言えば天城が持っていたものは直ぐに折れていた。
「聖剣…か。必要性が感じられないが…。みんなあんなに脆いものなのか?」
いや違うか…。
そうだ。聖剣は、間違いなく神聖かつ、強大な力を持つ武器だ。
「君が強いのか…。藤山…。」
補足をすると天城の聖剣があんなに折れていたのは優が強いからだけではない。
聖剣は持ち主を選ぶのだ。
「聖剣か…見つかればいいけどな…。」
「グァァン!」
「!…おっと…」
ハイグリズリーの巨大な爪が空を切る。
「危ない危ない…油断大敵だな…。」
「グァァ…!」
ハイグリズリーは爪から斬撃を飛ばしてきた。
「スキルか…。面倒だね…!」
陸は懐に潜りハイグリズリーの腕を切り落とした。
「グキャァ!!」
「ダークボール!」
小さな闇の塊が飛んでいく。
「Lv1じゃこんなものか…。フリーズ。」
ブレス系の魔法だ。
手から冷気が放たれる。
「ちっ…獣系の魔物に冷気はききづらいか。なら…ハリケーン!」
ブレスに風属性魔法を加えてみる。
「…合成魔法…タイフーン!」
「クギャルァ…」
冷気をまとった竜巻がハイグリズリーの体を襲う。
「冷気と風の刃だ。くらえ。」
「グ…ァァ…」
ハイグリズリーは次第に凍りつき始めた。
「ふぅ…合成魔法か…やってみれば出来るものだな。」
そのまま陸は全ての魔物を駆逐した。
「立ち止まっていても仕方がない。…信じているぞ…由希…。」
陸は行くあてもなく歩き始めた。



スフラン共和国近くの村。
「ありがとうございました。」
「はいよ。」
1人の少女が宿屋を出る。
「二人とも…無事かな…?」
少女江ノ島菜々は北の方を見て呟く。
「最果ての洞窟に行ってるんだよね…。」
江ノ島は歩き始める。
「私は…私のやるべき事をやらなきゃ…!」
優くん…。
私は…君が大好き。
君に命を狙われてることも分かってる。
でも…でも…
「やっぱり好きだよ…?優くん…。」
優くんに助けられた。
いじめられていた私を助けてくれた。
私に手を差し伸べてくれた。
君は…私を殺したいんだよね…?
だったら私の目的はひとつ。
江ノ島は目撃情報を頼りに国を転々とする旅を始める。
仲間なんていない、いや、いちゃいけない。
もし居たら悲しませてしまう。


「待っててね?優くん私は…君に…殺されに行くよ…。」



ユウside案がからっきしでして…。
2話じゃダメですかね?
特別編書くんで!
新作の方も書くんで!
おねしゃぁーす!!

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コメント

  • ノベルバユーザー359301

    まじで小宮とかいらん
    つまらん

    2
  • らう

    219214作者様が内容薄くなるという風にいっていたので仕方がない
    とても楽しく読ませていただいてます

    1
  • ノベルバユーザー30469

    ユウたちイチャイチャしすぎて目的忘れてない?

    1
  • ノベルバユーザー252836

    いい加減復讐すべて終わらせて次の段階進んで欲しいかなʬʬʬʬʬʬʬʬʬʬ

    3
  • かつあん

    天城の聖剣がすぐ折れたのは天城が認められてなかったのか...人間は誤魔化せても聖剣は誤魔化せないね!

    8
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