腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

6話 小宮&松山side 逃避行

「見つけたぞ!絶対に逃がすな!」
「くっ!由希、走れるか?」
「…ごめんなさい…足をくじいちゃって…。」
「くそ…仕方ない。」
小宮はしゃがみ手を後ろに回す。
「…陸?」
「何してる?乗れ。」
「…でも…。」
「時間が無い。急げ!」
「…う、うん。」


「…大丈夫?重くない?」
「重いよ。でも仕方ないだろ?」
「…」
「どうした?」
「…別に?」
「…どうした?」
「…乙女心ってのが分からないのね、陸は。」
「何を言ってるんだ?」
「…いいから走って!」
「?…ああ。」


「…どこまで逃げるの?」
「追っ手が来ないところまでだ。」
「…それって…どこまで?」
「さあね…。でも逃げるしかないだろ…。」
「…ふふ、そうね。頼んだわよ?陸。」
「ああ…。そっちこそ…離すなよ?」
「…うん…。」


「はぁ…はぁ…」
「逃がすな!」
「ちっ…しぶといね…。」
「…陸、大丈夫?」
「どうかな…。でも捕まったらもっと大変な目に遭うからね。由希、一度降りてくれるか?」
「…ええ。」
「追いついたぞ!囲め!」
「5対2か?それが騎士のやり方か?」
「ごちゃごちゃ言うな!とっととついてこい!」
「かかったね…。ダークミスト。」
当たりを黒い霧が覆った。
「くっ!幻影魔法か!惑わされるな!落ち着いて当たりをくまなく探せ!」
ガサガサ…
「あの陰だ!突っ込め!」
茂みに騎士団全員で突撃した。
が、そこには誰もいなかった。
「な?!誰もいない。」
「君たち騎士団に恨みはないが…眠っててもらうよ。」
パチン!
小宮が指を鳴らすと当たりを煙が覆った。
「これは…ゴホッゴホッ!」
「催涙ガスだ…吸い込むな!」
「さてと…スリープ。」
「くそ…」
ドサッ…
「ふぅ…なんとか片付いたな…。由希、大丈夫か?」
「…ええ。ありがとう、陸。」
「ふん…。」
「…くっ…」
「由希?」
「…ごめんなさい、足が痛くて…。」
「見てやる。靴を脱げ。」
「…いいわ。我慢出来る。」
「ダメだ。悪化すると治るものも治らなくなるぞ?」
「…でも…。」
「いいから。」
「…うん。ありがとう。優しいね。」
「べ、別に…僕は医者を目指していたから…こういう知識があるだけだ。ほら!見せてみろ。」
「…ええ。」
「紫色になってるじゃないか…。」
「…っ…」
「我慢しろ。今添え木と包帯で、固定してやるから。」
「…包帯なんてあるの?」
「待ってろ。」
ビリ…
小宮は自分の服の袖をちぎり始めた。
「…陸?」
「なければ代用すればいいのさ。…くそ…救急箱を忘れるとは…僕としたことが…迂闊だな。」
「…ふふ、やっぱり凄いね、陸は。」
「ほ、褒めても何も出んぞ?」
「…あら?人が褒めてるんだから素直に受け入れたらどうなの?」
「うるさい…ほら!じっとしてろ。」
「…うん…。」


「さて…これからどうしたものか…。追っ手は巻いたとしても行くあてもないからな…。」
「…そうね。ピルークでは私たちを探してるだろうし…。」
「別の国に着くまでは野宿するしかないな。でも由希の足のこともあるし…。どうするか…。」
ガサ…
「!…誰だ!?」
「わぁ!ストップストップ!私!江ノ島です!」
「…菜々!?」
「江ノ島か?君は…どっちだ?」
「大丈夫。私は2人の味方だから。」
「何しに来た?」
「少しでも2人の力になりたくて…これ、少しだけど…お金。」
「…菜々…。」
「悪いな。貰っておく。」
「足怪我してるの?由希ちゃん。」
「…ええ、くじいちゃって…。」
「待ってて…ハイヒール。」
「…菜々…ありがとう。」
「んーん。そろそろ戻らなきゃ…怪しまれちゃうから。」
「…菜々!」
「どうしたの?由希ちゃ…」
松山は江ノ島に抱きついた。
「由希ちゃん?」
「…本当にありがとう。置いていくのは…申し訳ないと思ってる。でも菜々を巻き込む訳にはいかないの。」
「由希ちゃん…いいの。私は私なりに頑張るから…だから!小宮くん!」
「な、なんだ?」
「由希ちゃん泣かせないでよ?」
「あ、ああ。肝に銘じておこう。」
「じゃあ…頑張ってね?二人とも。」
「江ノ島も…その…無理するなよ?」
「うん…。」
「…また絶対逢いに行くから。」
「うん。また会う時までに2人の仲を進展させること!」
「…ちょっ!菜々!」
「へへへ…またね!」
江ノ島は城の方へ走っていった。
「…もう、あの子は…。」
「だが助かった。必ず戻るぞ。由希。」
「…ええ、絶対。」

2人はどこへ向かうでもなく、強くなるための旅に出るのだった。



「すまない、フィリス。小宮を逃がしてしまった…。」
「そうですか…。まあいいです。小宮様については騎士団の方で探しますので心配なさらずに…。それよりも…。」
「そうだね…。がっかりだよ…。江ノ島さん。」
江ノ島は2人の兵士に捕えられていた。
「離して!」
「君が2人に加担したんだろう?」
「…2人は何もしてないわ!」
「ふん…地下牢にでも入れておけ。」
「離して!私は…!」
江ノ島の声は遠ざかり聞こえなくなった。
「天城さん。もう1つ情報です。」
「なんだい?」
「アギリシ王国のスコット商会が…ダークエルフを匿っているそうです。」
「それは本当か?」
「ええ、ダークエルフは悪の象徴です。早急に処刑した方がいいと思いますよ。」
「分かった。近いうちにアギリシ王国に行くよ。」
「それがいいと。」
「気になるのは藤山の行方だ…。全ての悪の元凶…。絶対にこの手で…。」
「そうですね…。」

ここはピルーク王国。
仮面の王女と、偽善の勇者に囚われた国である。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――
作者です。
100話記念でやることが決まりました!
何個か考えてますん。
1つ目は…作者の選ぶ、キャラ別好きなセリフランキングトップ3!
2つ目以降は明日以降発表ということで…

早速行きましょう!
ちなみにユウ、ミーシェ、小宮の3キャラです。
まずはユウから!

3位は…

1章83話、この素晴らしい日に祝福を! より、
「よがったな、ふだりども。」です。
ユウの優しさが溢れるセリフでした…。


2位は…

1章75話、あの時の代償  より、
「…俺は敵の敵だ。お前らが敵対するのなら…お前達の敵だ。」です!
自分で考えておきながらですが…かっこよくね?


そして1位は…

1章82話、黒い炎と共に より、
「…立派だな。だが間違いだ。その理想に…ミーシェを巻き込んだことがな。」です!!
選考理由はユウのミーシェを巻き込んだことへの怒りが表されているからです!
やっぱり主人公はこうでなきゃ!

さて、次回はミーシェです。
その前にこの話のコメント欄にユウの好きなセリフをひとつ載せてください。
いいのがあったら紹介したいと思います。
まだまだ考えてますのでお楽しみに!
これからも投稿頑張りますん!
そして遅くなりすいませーん!!
フォローorコメントよろしくお願いします!




コメント

  • ラテ

    勇者小宮様パーティ以外死ね!

    0
  • ヒカッチ

    はぁ、天城どこまでも愚かダメだこりゃ

    1
  • シオン♪

    糞王女と糞勇者さっさと死んどけ…と思った

    4
  • 12AI11

    江ノ島乙

    4
  • ノベルバユーザー206269

    小宮様が照れた!!!
    スコットさん災難w
    ユウの第3位のやつは良かったですね!

    2
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