腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが
1話 ユウ&ミーシェside 一寸先は闇
この国はアーメル王国を西に進んだところにある、アギリシ王国。
そこである噂が流れていた。
誰にも気づかれることなく、勘づかれることも無く。ただそのものが通り過ぎたところには賞金首の死体も残らず、おびただしい量の血だけが残ると。
噂であって真実では無いかもしれない。しかし、確かに目撃者はいるし、実際にその賞金首は殺されている。
目撃者の情報によればそのものは10代の少年で、フードを目深にかぶっていたと。使う武器は様々で、ナイフの時もあれば大剣で一息に命を奪うこともあるという。何より一番の特徴はそのものは殺した賞金首の心臓を喰らっていたという所だ。その姿からついた異名は「魂喰らい」。賞金首の魂を喰らう、死神だと―――。
「―――だって、魂喰らいさん?」
ミーシェはここ、アギリシ王国の宿屋で新聞を読みながら優に問いかけた。
「うるせえよ。俺だってそんな中二病みたいな名前は嫌なんだよ。」
「私はいいと思うけどな?魂喰らい。かっこいいじゃん。」
「うるせえ、元はと言うとお前のせいだからな?」
「そうだよ、」
「「マシュマロ!」」
「く、くぅん…」
「だめ!そんな顔されると…」
「許しちゃう!!」
「わん!」
「…はぁ…なんでこんなことに…。」
話は1ヶ月前に遡る。
魔神領を出た優とミーシェは特に行くあてもなくのんびりと、宝玉を求めて旅をする時と同じように旅をしていた。
だが、旅を始めて間もない頃、事件は唐突に起こった。
その日の夜。
「ユウ、マシュマロ、ご飯できたよ。」
「待ってました。」
「わん!へっへっへっ…」
最近マシュマロの中ではルシファーの大罪魔法を使いイタズラをすることが流行っており、何かとイタズラをしていた。
「マシュマロ!!また、俺が楽しみにしてたミノタウロスの干し肉食べただろ?!アイテムボックスに入れといたのに!」
「わん!」
「わんじゃ分かんねえんだよ、この野郎!」
「くぅん…。」
「はっ!すまないマシュマロ。落ち込まないでくれ。全部俺が悪かった。」
「わん!」
「…ユウ。」
「ん?どうした?うりうり…。」
「最近マシュマロを甘やかしすぎじゃない?」
「なんだ?お前もあごをうりうりされたいのか?ほれ。うりうり。」
「ちょっ…やめてよ…あ…ははははっ!くすぐったい!やめてぇ〜!」
「どうだ?」
「そう…じゃなくて…。マシュマロを甘やかしすぎって話。」
「何言ってんだ?俺は…」
「猫派でしょ?しょっちゅう聞いてるわよ。そしてその度にマシュマロが怒るのも。」
「わん!」
「ユウ、絶対犬派だよね?」
「…実は。」
「いくらなんでも甘やかしすぎだと思うんだよね…。」
「それはな、ミーシェ…」
「くぅん…。」
マシュマロはミーシェの方を落ち込んだ顔で見つめる。
「ち、違うの!いい事だよってこと!!」
「お前が言うな。」
「は、はははは…。」
「まあそのうちイタズラも止むさ。」
「そ、そうだよね…。」
だがそんなマシュマロのイタズラがあんな悲劇を生むことになるなんて。その時の俺達は想像もしていなかった。
ゴソゴソ…
「ん?何?この音…。マシュマロ?」
「…」
「何埋めてるの?」
「…」
「?…まあいいや。早めに寝るのよ?」
翌朝。
「さて、いくぞ、二人とも。」
「うん。」
「わん。」
「今から目指すのはアギリシ王国だ。」
「そこには何があるの?」
「調べたところ、チーズとか乳製品が有名みたいだ。」
「チーズ!楽しみ!」
「だろ?ソフトクリームも美味しいぞ。」
「マシュマロにも美味しいミルクを飲ませてあげられるよね。」
「わん!」
「1日歩けば着く。頑張ろうぜ。」
「うん。」
マシュマロの気合がよく1日も経たないうちに一行はアギリシ王国に到着した。
「疲れたよ〜、ユウ〜。」
「ああ…俺も喉乾いた…。」
「わん!」
「お前は元気だな…マシュマロ。」
「わん!」
「ちょっと飲み物買ってくるから待っとけ。」
「あ、ありがとう、私ソーダが飲みたいな。」
「はいよ。マシュマロはミルクでいいよな?」
「わん!」
「財布はと…ん?」
「どうしたの?」
「お前財布出したあとアイテムボックスの中に戻したか?」
「戻したよ?無いの?」
「おっかしいなぁ…昨日はこの辺りに…」
「私も探してみるね。」
「うーん…。無い。」
「まずくない?聖金貨あとどれぐらい入ってた?」
「5000枚くらい。」
「え?貰ったのは1億枚だよね?それしかないの?」
「…」
「え?何?」
「お前の飯代。どんだけかかってると思ってんだ?」
「へ?」
「焼肉屋では馬鹿みたいに高いお肉塊ごと注文しやがって。」
「そ、それは…」
「スフランでは高ーい高級チョコレート1ダース買ってたよな?」
「うっ…」
「アーメルでも海鮮料理の店片っ端から回るんだ!とかいって俺を連れ回してたな。」
「…」
「…あと、服代。メイド服いくらしたと思ってんだ!?聖金貨500枚だぞ?!バカだろ?!」
「うっ…て、それはユウでしょ?!」
「それだけじゃない!ケモ耳カチューシャは1000枚使った!」
「だからそれはユウ!!」
「はぁ…はぁ…」
「はぁ…はぁ…」
「「こんなことしてる場合じゃない!!」」
「まじで財布どこだよ?!」
「うわぁーん!ここまで来て…ここまで来て野宿だぁ!いーやーだー!」
「うるせえ!駄々こねてる間に探せ!」
1時間後
「ははは…」
「ふふふ…」
「「ない!!」」
「盗まれたとか?」
「アイテムボックスの中だぞ?アイテムボックスをいじれるのは俺とミーシェとマシュマロ…マシュマロ!!」
「マシュマロ、昨日アイテムボックスいじってたよね?!」
「…」
「おい、聞いてんのか?」
「…」
「マシュマロ?」
「…」
マシュマロの顔は見る見るうちに青くなっていった。
「まさかお前…出したのか?」
「…わん…」
「わんじゃ分かんねえんだよ!」
「あ…昨日なんか埋めてたの。もしかして…」
「てめえ…。」
「わはは…。」
「笑ってんじゃねえよ!そうだ!ちょっくら転移してくるわ。」
「それだ!頼んだ、ユウ!」
「わん!」
「行ってくる!」
ユウはその場から昨日の洞穴えと転移した。
しかし…
「なんだ兄ちゃん、ここの洞穴なら埋蔵金が見つかったとかで今は入れないよ。なんでも聖金貨5000枚だからね。」
「ははは…。」
「ふふふ…。」
「わはは…。」
((死んだ…。))
「魔法でなんとか出来ないの〜?ユウ〜?」
「何しろってんだ?盗みだせってか?それは俺の道徳的に…」
「クラスメイト殺してるくせに道徳なんてないでしょ?」
「うるせえ、人間性だよ、人間性。」
「人間じゃないでしょ?」
「うるせえ…。」
こうして2人は全財産全てを失ったのだった。
…わん!
「「わんじゃねえよ!」」
――――――――――――――――――――――――――――
ちょっと長くなるので次に続きます。
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誰にも気づかれることなく、勘づかれることも無く。ただそのものが通り過ぎたところには賞金首の死体も残らず、おびただしい量の血だけが残ると。
噂であって真実では無いかもしれない。しかし、確かに目撃者はいるし、実際にその賞金首は殺されている。
目撃者の情報によればそのものは10代の少年で、フードを目深にかぶっていたと。使う武器は様々で、ナイフの時もあれば大剣で一息に命を奪うこともあるという。何より一番の特徴はそのものは殺した賞金首の心臓を喰らっていたという所だ。その姿からついた異名は「魂喰らい」。賞金首の魂を喰らう、死神だと―――。
「―――だって、魂喰らいさん?」
ミーシェはここ、アギリシ王国の宿屋で新聞を読みながら優に問いかけた。
「うるせえよ。俺だってそんな中二病みたいな名前は嫌なんだよ。」
「私はいいと思うけどな?魂喰らい。かっこいいじゃん。」
「うるせえ、元はと言うとお前のせいだからな?」
「そうだよ、」
「「マシュマロ!」」
「く、くぅん…」
「だめ!そんな顔されると…」
「許しちゃう!!」
「わん!」
「…はぁ…なんでこんなことに…。」
話は1ヶ月前に遡る。
魔神領を出た優とミーシェは特に行くあてもなくのんびりと、宝玉を求めて旅をする時と同じように旅をしていた。
だが、旅を始めて間もない頃、事件は唐突に起こった。
その日の夜。
「ユウ、マシュマロ、ご飯できたよ。」
「待ってました。」
「わん!へっへっへっ…」
最近マシュマロの中ではルシファーの大罪魔法を使いイタズラをすることが流行っており、何かとイタズラをしていた。
「マシュマロ!!また、俺が楽しみにしてたミノタウロスの干し肉食べただろ?!アイテムボックスに入れといたのに!」
「わん!」
「わんじゃ分かんねえんだよ、この野郎!」
「くぅん…。」
「はっ!すまないマシュマロ。落ち込まないでくれ。全部俺が悪かった。」
「わん!」
「…ユウ。」
「ん?どうした?うりうり…。」
「最近マシュマロを甘やかしすぎじゃない?」
「なんだ?お前もあごをうりうりされたいのか?ほれ。うりうり。」
「ちょっ…やめてよ…あ…ははははっ!くすぐったい!やめてぇ〜!」
「どうだ?」
「そう…じゃなくて…。マシュマロを甘やかしすぎって話。」
「何言ってんだ?俺は…」
「猫派でしょ?しょっちゅう聞いてるわよ。そしてその度にマシュマロが怒るのも。」
「わん!」
「ユウ、絶対犬派だよね?」
「…実は。」
「いくらなんでも甘やかしすぎだと思うんだよね…。」
「それはな、ミーシェ…」
「くぅん…。」
マシュマロはミーシェの方を落ち込んだ顔で見つめる。
「ち、違うの!いい事だよってこと!!」
「お前が言うな。」
「は、はははは…。」
「まあそのうちイタズラも止むさ。」
「そ、そうだよね…。」
だがそんなマシュマロのイタズラがあんな悲劇を生むことになるなんて。その時の俺達は想像もしていなかった。
ゴソゴソ…
「ん?何?この音…。マシュマロ?」
「…」
「何埋めてるの?」
「…」
「?…まあいいや。早めに寝るのよ?」
翌朝。
「さて、いくぞ、二人とも。」
「うん。」
「わん。」
「今から目指すのはアギリシ王国だ。」
「そこには何があるの?」
「調べたところ、チーズとか乳製品が有名みたいだ。」
「チーズ!楽しみ!」
「だろ?ソフトクリームも美味しいぞ。」
「マシュマロにも美味しいミルクを飲ませてあげられるよね。」
「わん!」
「1日歩けば着く。頑張ろうぜ。」
「うん。」
マシュマロの気合がよく1日も経たないうちに一行はアギリシ王国に到着した。
「疲れたよ〜、ユウ〜。」
「ああ…俺も喉乾いた…。」
「わん!」
「お前は元気だな…マシュマロ。」
「わん!」
「ちょっと飲み物買ってくるから待っとけ。」
「あ、ありがとう、私ソーダが飲みたいな。」
「はいよ。マシュマロはミルクでいいよな?」
「わん!」
「財布はと…ん?」
「どうしたの?」
「お前財布出したあとアイテムボックスの中に戻したか?」
「戻したよ?無いの?」
「おっかしいなぁ…昨日はこの辺りに…」
「私も探してみるね。」
「うーん…。無い。」
「まずくない?聖金貨あとどれぐらい入ってた?」
「5000枚くらい。」
「え?貰ったのは1億枚だよね?それしかないの?」
「…」
「え?何?」
「お前の飯代。どんだけかかってると思ってんだ?」
「へ?」
「焼肉屋では馬鹿みたいに高いお肉塊ごと注文しやがって。」
「そ、それは…」
「スフランでは高ーい高級チョコレート1ダース買ってたよな?」
「うっ…」
「アーメルでも海鮮料理の店片っ端から回るんだ!とかいって俺を連れ回してたな。」
「…」
「…あと、服代。メイド服いくらしたと思ってんだ!?聖金貨500枚だぞ?!バカだろ?!」
「うっ…て、それはユウでしょ?!」
「それだけじゃない!ケモ耳カチューシャは1000枚使った!」
「だからそれはユウ!!」
「はぁ…はぁ…」
「はぁ…はぁ…」
「「こんなことしてる場合じゃない!!」」
「まじで財布どこだよ?!」
「うわぁーん!ここまで来て…ここまで来て野宿だぁ!いーやーだー!」
「うるせえ!駄々こねてる間に探せ!」
1時間後
「ははは…」
「ふふふ…」
「「ない!!」」
「盗まれたとか?」
「アイテムボックスの中だぞ?アイテムボックスをいじれるのは俺とミーシェとマシュマロ…マシュマロ!!」
「マシュマロ、昨日アイテムボックスいじってたよね?!」
「…」
「おい、聞いてんのか?」
「…」
「マシュマロ?」
「…」
マシュマロの顔は見る見るうちに青くなっていった。
「まさかお前…出したのか?」
「…わん…」
「わんじゃ分かんねえんだよ!」
「あ…昨日なんか埋めてたの。もしかして…」
「てめえ…。」
「わはは…。」
「笑ってんじゃねえよ!そうだ!ちょっくら転移してくるわ。」
「それだ!頼んだ、ユウ!」
「わん!」
「行ってくる!」
ユウはその場から昨日の洞穴えと転移した。
しかし…
「なんだ兄ちゃん、ここの洞穴なら埋蔵金が見つかったとかで今は入れないよ。なんでも聖金貨5000枚だからね。」
「ははは…。」
「ふふふ…。」
「わはは…。」
((死んだ…。))
「魔法でなんとか出来ないの〜?ユウ〜?」
「何しろってんだ?盗みだせってか?それは俺の道徳的に…」
「クラスメイト殺してるくせに道徳なんてないでしょ?」
「うるせえ、人間性だよ、人間性。」
「人間じゃないでしょ?」
「うるせえ…。」
こうして2人は全財産全てを失ったのだった。
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コメント
本大好き{デアラ}
やべぇ
はるしお
聖金貨の価値を考えて物を言ってください
ノベルバユーザー206269
マシュマロヤバすぎwww
勝長
なんてこった!見るの遅れた!すみません!
ここから感想
うわーまさかのマシュマロ金を埋めるなんてwww全財産を失ったけど...まあ........頑張って!(*^^*)
ノベルバユーザー170875
マシュマロわろた