腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

81話 満を持して堕天使ルシファー

優の前に立ちはだかったのは、7大魔王アスモデウスだった。
「いいのか?助けなくて。」
アスモデウスは横でマモンとサタンの猛攻撃を受けているミーシェと、ベルフェゴールに目をやり聞いた。
「ははは…心配してくれてどうもありがとう。でも2人は7大魔王なんかにやられるほど弱くないさ。…それよりも…俺はとっとと猿山の大将と手合わせ願いたいんだが?」
「残念だがそれは出来ん。お前はここで俺が潰す。」
「俺が?7大魔王らしくないな。どんな手段を使っても俺を止めるべきだろ?なんなら2対1でもいいんだぞ?」
「図に乗るなよ?小僧。お前程度にやられるほど俺は甘くないぞ?」
「そうか。」
「ふん、俺は7大魔王にしてオーガロード、オーガを束ねるオーガの王者!色欲のアスモデウスだ!お前は?」
「藤山優だ。よろしく。」
「ふん、早速だが食らうがいい!我が大罪魔法!ネバーエンドラスト!」
「…まあ初手は受けてやるか…。」
優の周りをピンク色の霧が包む。
「…どうだ?俺の動きが…ゆっくり見えるだろう?」
「!」
「お前の時間感覚を狂わせた。俺の攻撃は極端に遅くなったり速くなったりを繰り返しているはずだ。」
おいおい…大罪魔法ってのはどれも壊れてんな…
優はアスモデウスが振り下ろした斧を間一髪でかわしたが、頬に少し掠ってしまった。
「ほお?まぐれか?よく避けたなぁ?」
「見た目に合わない嫌な能力じゃねえか。だが能力をベラベラ喋るのは瞬殺される敵キャラあるあるだぞ?」
「俺を瞬殺?ほざけ!ネバーエンドラスト!」
優は魔我玉を取り出した。ピンク色の霧は全て魔我玉に吸い寄せられて行った。
「な?!お前…何をした?!」
「俺は何もしてないぞ?」
「嘘を言うな!ならば何故…何故俺の大罪魔法が消えたのだ!?」
「さあな〜?」
「…お前…まあ良い。大罪魔法などなくとも、俺の斧があればお前など…塵芥だ!」
パシッ…
「なん…だと?!」
優はその斧を片手でキャッチした。
「そんな…馬鹿な!?」
「お前の敗因は俺に能力をベラベラと話したことだ。そんなことしなければもっといい所まで行けたかもしれないな。」
「クソ!斧を離せぇ!」
ガシャァン!
優は指の力で斧を砕いた。
「馬鹿…な…」
「今までお疲れさん。」
優は首にナイフを押し当て横に払った。


「お疲れ、二人とも。勝てたみたいだな。」
「ええ…ギリギリ…だけどね。」
「ユウ、私…」
「使いこなせるようになったんだな…ミーシェ。」
「!…うん…!」

「さて…残るは大将、お前だけだぞ?ルシファー。」
「ふん、素直に驚いた。我が同胞をこうも容易く打ち倒すとは…」
「次はあんたの番だ。こっちは遠慮なく3対1で行く。と言いたいところだが…ベルフェゴール。…限界だな?」
「…悪いわね…概念魔法の代償で…立ってるのも…やっとなの…。」
「お前はバトラーの所に行って休んでろ。」
「…任せるわよ…二人とも。」
「ああ…。」
「うん!任せて…!ベルちゃん!」
ベルフェゴールは最後の力で転移し、魔神軍の拠点へと向かっていった。
「2対1か…良いのか?本当に。」
「何言ってんだ?こっちはミーシェと俺だぞ?勝てると思ってるのか?」
「ふん、高慢だな。」
「お前が言うな。」
「ルシファー…今日であなたの計画も終わり。私とユウで…終わらせる!」
ミーシェは剣を取り出し、黒い雷を纏わせた。髪も白に変わり、右目の黒目が赤に染まった。
「行くぞ、ミーシェ。」
「うん。」
「来い。」
「雷神斬!」
「エビルスラッシュ。」
優はナイフに闇の炎を纏わせ、ミーシェは黒い雷を纏わせルシファーに斬りかかった。
「来い、レーヴァテイン、グングニル。」
ルシファーは、炎の剣と槍を取り出した。
「このふたつはかつて我が同胞だった天使から奪ったものだ。」
「そうかよ!」
優のナイフと、レーヴァテインが衝突し、激しい爆炎が巻き起こった。
一方で、ミーシェの剣とグングニルが衝突し、激しい衝撃波が巻き起こっていた。
「二人同時でも止めんのかよ!?」
「くっ…ライトニングボルテックス!」
黒い雷がルシファーに向かい放たれた。
「ダークマター。」
ルシファーは危なげなくそれをかき消した。
「ブラックホール。」
それどころかさらに魔法を放ってきた。
「ぐっ…エクスプロージョン!」
凄まじい爆風が襲った。優はミーシェを庇うように抱き寄せた。
「…甘い。その程度か?」
「ははは…化け物め。」
「エビルブレイズ。」
ルシファーはレーヴァテインに炎と闇を纏わせ斬りかかってきた。
「はあ!雷神の鉄槌!」
「遅い。」
「きゃあ!」
ルシファーはミーシェを壁に吹き飛ばした。
「ちっ!大丈夫か?ミーシェ。」
「うん!」
「行くぞ…ニブルヘイム…」
「ライトニングボルテックス…」
「「合成魔法、アブソリュートゼロ!」」
「合成魔法か…面白い!」
ルシファーはグングニルの先頭でそれを受け流した。
「まだまだ行くぞ!ミーシェ。」
「うん。」
「「合成魔法、ドラゴンタワー!」」
土属性魔法と雷属性魔法の合成魔法だ。下からの岩の隆起と上からの雷がルシファーを襲った。
「ぐっ…仕方あるまい…。大罪魔法、ヨハネの黙示録。」
瞬間、魔法は停止した。
「!…何しやがった。」
「我の大罪魔法だ。能力を語ったところで貴様らでは到底理解出来まい。」
「ちっ…」
「まだまだ行くぞ…。」
ズバッ!
いつの間にか目の前にいたルシファーに優は腹を抉られた。
「が…はぁ!」
「ユウ!!」
「はぁ…はぁ…まじで…何しやがった…?」
「どうせベルフェゴールから聞かされているのだろう?我の大罪魔法が、敵の意思に関係なく体を操る魔法だと。だがそれは大きな誤りだ。」
「!」
「我の大罪魔法の能力は…時間操作だ。ベルフェゴールを操ったのは干渉魔法にすぎない。」
「!」
「おいおい…冗談だろ?ゲホッ…」
「ユウ…エンジェルヒール。」
優の体力を回復させた。
「ありがとな。でもまずいな。あれを使うしか…」
優が魔我玉を取り出そうとするとそこに小さなナイフが飛んできた。
ピシッ…パキィン!
魔我玉は砕けてしまった。
「「うそん。」」
「我にそんな手が通じると思うのか?危険な芽は摘んでおくのが定石だろう?」
「え、えぇぇー!?ユウ、どうするの?!」
「はははー…詰んだかもしれん。」
「そんな…」
「ガッカリだ。本当にその程度なのか?」
本当にまずい…。このままじゃ…。
「こちらから行くぞ?」
ズバン!
「あ、ああ…」
「ミーシェ!!」
「ぐっ…雷神斬!」
ミーシェは雷神斬で斬りかかったが避けられてしまった。
「ユウ…」
「ミーシェ!」
ミーシェはその場に膝を着いた。
「へへへ…本当に…やばいね…。」
「…俺が引きつける。その間に回復してろ。」

ユウはルシファーに突っ込んで行く。
…まずいな、そう言えば今まででこんなやばいこと…なかった気がするな。…いや、あの時もそうか…ミーシェと初めてあった時…。
「!…ユウ!!」
ザン!!

ユウはルシファーに右肩から斜めに切られその場に伏した。


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コメント

  • キャベツ太郎

    まぁ、死なんのやけどな

    1
  • ばけねこ

    これは新たな能力手に入れるか?

    1
  • ノベルバユーザー170875

    時間操作!?チートやん

    3
  • ノベルバユーザー167689

    グランスペルまだ使いこなせてないのかな?

    2
  • ?

    小宮様が主人公なら勝ててたな。

    3
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