腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが
75話 あの時の代償
「なん…だって?」
「藤山が…?」
「な、何かの間違いよね?!」
「行くぞ、確かめるんだ!」
「松山、君は重症だから置いて行くぞ。」
「…ええ、悪いわね…。それよりも…」
「ああ、確かめてくるさ。待っててくれ。」
勇者達が正門に着くとそこは地獄と化していた。
何人もの兵士が倒れており皆死んでいた。
「こ、これは…!」
「そんな…!ひどい…。」
「藤山!いるか!どうなっているんだ!」
「ユウなら別の場所に行ったわよ…?」
「ミ、ミーシャさん。一体どうなっているんですか?!統率者が藤山って…どういうことですか?!」
「どういうことも何もそのままの意味よ。この魔族をこの城に入れたのはユウよ。」
「そんな…何を言って…」
「藤山は…敵なんですか?」
「そうね…。邪魔するやつの敵…かな?」
「邪魔って…あいつの目的は一体?」
「ユウの目的は私のお姉ちゃんを助けること。」
「あなたの…姉?」
「そう、ユウは私の為に…私のお姉ちゃんを助けてくれるの。」
「何を…言ってるんですか?!だってそれじゃあまるで!あなたのお姉さんが魔神ってことになるじゃないですか!」
「大正解。私の本当の名前はミーシェ。…よろしくね?」
「「「「!!」」」」
「さーてと、そろそろユウもここに着く頃かな?時間稼ぎはこの辺でいいかな?」
「悪い、ちょっと秘策のために寝てた。」
「え?もしかしてユウの秘策って…」
「後でな。」
「優くん!何がどうなってるの?!」
「お前はどっちなんだ!?敵なのか!?味方なのか!?」
「…俺は敵の敵だ。お前らが敵対するのなら…お前達の敵だ。」
「藤山…。」
「お前は冷静なんだな?小宮。」
「いくつか質問に答えてもらうぞ。」
「…君の目的はなんだ?」
「ミーシェから聞かなかったか?ミーシェの姉さん、魔神サラを蘇らせることだ。」
「!…なんの為に…!」
「ミーシェの為に。」
「そうか…次の質問だ。何故君が魔神の妹ミーシェと一緒にいる?ミーシェと一緒にいるのは…魔族の男のはずだ!」
「…ここまでネタばらしして気づかないのか?」
「なんだと?」
「何故アーメルでお前達と魔族の男が初めてあった時名前を知っていたと思う?」
「何故…それを…?」
「松山は気付きかけてたのにな?お前なら気づくと思ってたよ、小宮。」
「何を…言ってるんだ…?それじゃあ…まるで…、」
「…お前達に送ったプレゼント…ちゃんと届いたか?」
「「「「!」」」」
「て、てめぇ…まさか…!」
「嘘…だよね?優くん?!」
「お、お前は…。」
「…君…なのか…?あの時の…魔族の男は?!」
「逆に気づいてなかったことに驚きだぞ?」
「藤…山ぁ!はぁ…はぁ…神崎達を殺したのも…てめぇなのかぁ?!」
「ピンポーン。大正解。アーメルでミーシェが俺の名前を呼んだ時に気付くべきだった。つまりはお前も俺のことなど忘れていたんだろ?小宮。」
「…っ…」
「貴…様ぁ!」
「嘘だ!優くん!優くん!」
「…悪いがお前達と遊んでいる時間はない。今はミーシェの復讐が最優先だ。こいつらのこと任せたぞ?ミーシェ。」
「待ちやがれェ!藤山ぁ!!!!」
「ヴィーナスフラッシュ。」
「が!」
「くそっ…がぁ!」
「嘘だ!優くん!?」
「ま…て!…藤山!」
「ベルフェゴール。」
「時間だね、ユウさん。」
「!…そんな…アイさんまで…」
「行くぞ。復讐の時間だ。」
「ええ。」
「うん!またね、菜々ちゃん?」
「ま…てぇぇ!!藤山ぁぁ!!」
「バトラー、状況はどうなってる?」
「はい、そろそろ全隊地下室にたどり着くと思います。」
「そうか、秘策もある。そのまま押し切るぞ…。」
「はい。」
「バトラー様!」
1人の魔族の男がバトラーの元に駆けつけた。
「何があった?」
「はい、実は地下室の前で爺さんが暴れてて…入ろうにも入れないのです!」
「!…ユウ。」
「ああ、分かってる。…セバスさんだ。」
「いかが致しましょう?ユウ様。」
「そのまま持ちこたえろ。現状維持でいい。セバスさんとは…俺がやろう。」
「クギャッ!」
「ゴッ!」
「こんの…クソジジイ!」
ズバン!
「ぎえぇ!」
「なんなんだこいつ…クソつえ…がぁ!」
バシュ!
「グギャガルァ!」
「スパンッ!」
「この程度の魔物に苦戦はしませんよ?出てきてはどうです?優くん。」
「やっぱかなわないなぁ…セバスさんには。」
「あなたに戦い方を教えたのは誰だと思ってるのですか?そんなあなたが…私に勝てるとでも…?おや?地下室に誰か一人入ったようだ。…まあ1人なら居ないようなもの。かかってきなさい。」
「そうだな…。でもあなたを超えない限り俺の目的は果たせない。勝たせてもらいますよ?セバスさん。」
「いいでしょう。冥土の土産に少しだけレクチャーして差し上げます!」
地下室
「誰が入ってきたかと思えば…ベルフェゴール。何故行方不明のはずの貴様がここにいる?」
「や、やだなぁ…剣を向けないでくださぁい。私は無事ですよ?ただ行方不明になっていたのは途中で怪我して近くの街で休養していたからです。」
「…ふん。まあ良い。状況は分かっているな?攻めてきているのは魔神軍だ。統率者はあの少年、藤山優だ。」
「…そうですか。」
(今は耐えなくちゃ…ユウさんが来るまで…)
1階廊下
「ふふふ…やっぱり来た、菜々ちゃん?」
「ミーシャさん…いえ、魔神の妹ミーシェ。どうして私の魔法だけ解いたの?」
「そうだなぁ…正体を知った上であなたとお話がしたかったの。」
「話?あなたと話すことなんて何も…」
「ユウ…の事とかは?」
「!…」
「あなたはユウの事が好きなんでしょ?」
「…あなたに答える筋合いはないわ。でもおかげで全て謎が解けた。どうして優くんがあなたなんかと一緒にいるのか…。あなたが何かしたんでしょ?優くんに。」
「…本当にそうかなぁ?私より強いユウにどんな手段も通じないのよ?それでも私が何かしたも思ってる?」
「何が…言いたいの?」
「質問を変えるね。今ユウは私の復讐の為に戦ってくれてる。でもそれが本当にユウがやりたいことだと思う?」
「何を…」
「ユウの本当の復讐相手は…誰だと思う?」
「!…そ、そんなデタラメ言わないで!あなたに優くんの何が分かるのよ!?」
「私はこの数ヶ月ユウといつも一緒にいた。大体のことは分かってるつもりよ?」
「違う!私の方が優くんのことを理解してる!あなたなんかに…あなたなんかに優くんは…渡さない!!フレイムランス!」
「ディバインシールド。」
炎の槍は弾かれてしまった。
「こんなもの!フレイムランス!ファイアーバレット!ファイアーボール!…プロミネンスブレイズ!」
「無駄よ、あなたの魔力では壊すは愚か傷つけることだって出来ない。」
「…返…して!」
「なんのこと?」
「返してよ!前までの優くんを返して!あなたなんかに会ったから…優くんはおかしくなった!あなたが…あなたさえいなければぁ…!」
「…何言ってるの?ユウがああなったきっかけを作ったのは…あなたじゃないの?」
「!、違う!私は…!あの時はああするしか…」
「…でもユウには悪いけど…感謝してるわ?あなたが居なきゃユウと私が会うことはなかったんだもの。」
「あ…ああ…」
「ありがとね?なーなーちゃん♪」
「そん…な…」
「ミーシェ様!勝手に持ち場を離れてもらっては困ります!」
「あ、ごめんねバトラー。この子と少しだけ話してたの。」
「!…こいつは勇者…。切り捨てます!」
「あー、ダメダメ。ユウのだから。」
「しかし…」
「いいから!行くよ、バトラー?」
「はい。」
――――――――――――――――――――――――――――
本日の不意打ち2話目です。
いつも読んで頂いて本当に嬉しいです。
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