腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

63話 ピルークへ

江ノ島side
目覚めると私は自分がこのギルドで寝泊まりしていた部屋にいた。
「…菜々、おはよう。」
「え?うん、おはよう。」
そうだ…昨日はあの女に邪魔されて…
「…まだ寝ぼけてるの?今日はピルークに帰る日なのよ?」
「ごめんごめん。ご飯食べに行こっか。」
「…そうね。」
あの女は優くんに話したのかな?でもそんなの関係ない。何としてもあの火傷は私が消してみせる。その方が優くんにとってもいいはずだし。何より…私にとっても都合がいい。



ユウ&ミーシェside
2日間味わっていなかった感触。
久しぶりの感触に俺は浸っていた。
「ユウ?そろそろ起きたいんだけど?」
「ダーメ…俺はまだこの感触を味わっていたいんだ。」
「もうっ…ふふふ…」
「なんだよ?」
「いや、前までは私が抱きついたら離せとか言ってたくせに、今はユウから抱きついてくるなんてね。」
「うるせー…なんだかんだ言って俺もこの感じ大好きなんだよ。今度からは遠慮しないからそのつもりで。」
「ふふふ…でもユウが離してくれないと…朝ごはんが作れないなぁ?」
「…仕方ない。行ってよし。」
「えー?なーんか偉そうだなぁ?」
「…お腹減った。」
「しょうがないなあ。じゃあ行ってくるね。」
「ああ、楽しみにしてるからな。」


ミーシェside
ふふふ…ユウも甘えん坊になったなぁ…
さて、今日は何を作ろうかな?
「…おはようございます、ミーシャさん。」
「おはようございます…」
「あ、由希ちゃん、菜々ちゃん。おはよう。」
「…藤山くん起きてますか?」
「まだ寝ぼけてるからそっとしといてあげて?」
「…分かりました。」
二人は食堂に歩いていった。
昨日のことがあるからなぁ…
菜々ちゃんには用心しとかないと…
「そうだ!アイちゃんのところに行こっと…」
ミーシェはここ数日アイと一緒にいたことが多いため、距離はかなり縮まっていた。
でもそれだけじゃないんだよなぁ…。アイとは昔にあった気がするんだよねぇ…。よく思い出せないや。
「アイちゃーん、起きてる?」
「ミーシャ?起きてるよ。」
「じゃあ一緒に食堂行こうよ。」
「わかったー。ちょっと待っててね。」
しばらく立って着替えを終えたアイが出てきた。
「あれ?ユウさんは?」
「今寝ぼけてゴロゴロしてます。」
「へぇ…以外。てっきり5時ぐらいに起きてランニングとかしてるもんだと思ってた…」
「うーん…ランニングはしないけど…旅してた時は魔物を倒してたよ?朝早く起きて。」
「へぇ。さすがだね。」
「それにユウは甘えん坊なんだよ?今日の朝だって…何?」
アイは楽しそうにこちらを見ていた。
「んーん。ただ楽しそうだなぁって思って。」
「そ、そんなこと…」
「ユウさんが無事で本当によかったね。」
「…うん。」
「そう言えば朝ごはん作りに行く途中でしょ?大丈夫なの?」
「あ!忘れてた…」
「ダッシュで行けば間に合うよ。」
「ごめんね、アイちゃん。」
「ううん。頑張って。」
「ありがとう。」


勇者side
「賢治、飯くいに行こうぜ。」
「そうだな。」
「今日、ピルークに帰るんだよな…」
「今更何言ってんだよ。当たり前だろ?」
「…藤山も来るんだよな。」
「アイツを探すのも俺らの仕事だったからな。」
「あの裏切り者をこのままお咎めなしでピルークに連れて行っていいと思うか?」
「それもそうだな…」
「藤山になにかするなら僕はやめておいた方がいいと思うよ。」
「小宮…」
「なんだと?」
「君たちが藤山にかなうわけないだろ?」
「は?あんな無能、俺たちの力なら一瞬で…」
「はぁ…藤山が無能?いつの話だい?それは。」
「そんなの昔からそうだろ?」
「じゃあ君たちは血の教団を誰が倒したと思ってるんだい?」
「変なことに付き合うつもりは無いぞ、小宮。」
「天城…」
「あいつらは俺が倒したんだ。」
「…君…何を言って…」
「だってそうだろ?あの時の俺の記憶はないんだ。藤山が助けに来たところなんで見ていない。だから俺の隠された力かなんかできっと…」
「馬鹿馬鹿しい…君たちにこんなことを言った時間が無駄だったね…相変わらずだね…そのご都合解釈。」
「なんだと?」
「とにかく忠告だ。藤山には何もしないことをオススメするよ。」
小宮は食堂の方へ歩いていった。



ユウside
そろそろ飯食いに行くか…
優は服を着替え、食堂に向かった。

「…おはよう、藤山くん。」
「ん、おはよう二人とも。」
「藤山、今日のことだが…」
小宮が優に話しかけた。
「知ってる。昨日2人に色々話してもらったからな。昨日はよく分からなかったんたが、ミーシャも連れて行っていいよな?」
「あの人も来るのか?」
「ああ。」
「多分何とかなるだろう。王女には僕も話す。」
「それは助かる。ミーシャ〜、飯できた?」
「あと盛り付けるだけ。座ってて。」
「わかったー。そう言えばあの2人は?天城と橘。」
「時期に来ると思うよ。」
「?、そうか。」
「優くん、おはよう。相談なんだけど…」
「…っ…おはよう江ノ島。相談ってなんだ?」
「いい加減その火傷治さない?私がやったのは知ってる。でも残っててもただ苦しいだけだと思うんだ。だから…」
「…っ!…なんだって?」
「だから、火傷を…」
「…大丈夫だ。」
「でも!」
「この火傷は…消せないよ、江ノ島。」
「そう…なんだ…」
俺にとってこの火傷はお前に対する復讐心を形にしたものだ。

お前を殺すまでこの火傷は消さない。
「あとね、ピルークに戻ってからなんだけど…もし良かったら私たちのグループに入らない?」
「お前のグループに?」
「あ、今は小宮くんと由希ちゃんとで3人なんだけど…優くんも入れて4人で頑張ろう?どうかな…?」
「悪いな。」
「っ!…どうして?」
「俺はミーシャがいれば十分だ。」
「…」
「江ノ島?」
「!…ごめんね。でも考えておいて?」
「考えても変わらんと思うが…まあ分かった。」


江ノ島side
あの女が…あの女さえ居なければ…
「菜々ちゃん?ご飯どうぞ。」
「ミ、ミーシャさん。あ、ありがとうございます。あ、あの!」
「ん?」
「…その…」
「…安心して、ユウには言ってないから。」
「!…そうですか。」
「ユウにも考えがあるから今は放って置いてあげてくれる?」
「はい…」
優くんの考え?あなたに何がわかるの?むかつく…むかつく…むかつく!優くんはあなたには渡さない。絶対に…!


ユウside
「あのー…ユウさん?」
「アイさん…どうかしましたか?」
「アイさんだなんて…アイでいいですよ。それに敬語もいりません。あなたはこの街の救世主なんですから。」
「そ、そうか。それで?何か?」
「その…迷惑じゃなければですけど…私も連れて行って貰えませんか?」
「え?…いやいや!そんな、アイが来たらこの街はどうするんだよ?聖女なんだろ?」
「既に皆から了承はとってます。」
ギルドマスターを含めた皆がこちらを見て微笑む。
「で、でもなぁ…ミーシャが…」
「アイちゃんも来るの!?」
「えー…まさかの乗り気…」
「ついていけたらいいなぁって。」
「いいじゃんユウ。アイちゃんなら大丈夫だよ!」
「お前がいいならいいけど…いいのか?」
「大丈夫です。お二人の邪魔はしませんから。」
「ならー…いい…のか?」
「わぁ!やったぁ!よろしくね?アイちゃん!」
「こちらこそだよ。よろしくね、ミーシャ。あとユウさんも…よろしくお願いしますね?」
「よ、よろしく…?」

新たな仲間を加え優達はピルークへと旅立つのだった。


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コメント

  • 如月 時雨

    主人公を抜いた勇者の中で1番マトモなの小宮しか居ないんだね

    2
  • ヒカッチ

    江ノ島ヤンデレに向かって大爆走中

    2
  • モンキー『』

    なんか江ノ島見よったらストレス溜まってきた

    6
  • シオン♪

    小宮が一番まともな人だな笑

    6
  • ノベルバユーザー170875

    江ノ島やば‪w‪w

    4
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