8話 ダンジョンに行こう！

ダンジョン攻略当日俺たちは城の門の前に集まっていた。
「えっと、だからね、私たちはまた優くんと組みたいなぁっていったの。」
「…うん…」
「どうしてだい？僕達と組んだ方が安全かつ有効的に経験値を集めることができるんだ。絶対こっちに来た方がいい！それに藤山はあんなに弱い無能だぞ？」
「どうしてそんなことを言うの？！優くんは強いよ！」
「…天城君が知らないだけ…」
うん、なぜこんなことになったかは説明不要だよな。
「優くんも何か言ってよ〜」
「あ、ああ、天城。この二人は俺が責任持って守るから。心配しなくていいぞ？」
「お前の意見は聞いてない！二人に言っているんだ。」
へいへいすいませーん。
「それに藤山は信用ならない。男一人に女二人なんて何が起きるかわかったもんじゃない。」
「そこは心配するな。俺では二人に勝てないからな。」
「そうだよ！」
いや、否定してくんね！？自爆だけどさ…
「…菜々に何かしたらぶん殴る…」
ひっ、ひい！
「という訳だが…」
「藤山と組んではダメだ！こいつに二人を守る力なんてありはしないんだからな！」
「それは違うよ！私たちが優くんを守るんだから！」
「…そう…」
「もういいだろ天城そんな奴ほっとこうぜ。女子に守られる無能なんてよ。」
「そうだよ天城君時間の無駄ー。」
「いや二人の力をこんな所にくすぶっておくわけにはいかない！」
「なら藤山が説得すればいいんじゃねえの？二人を。」
「そうだよ、その方が確実だろ！」
「確かにそうだ。藤山二人を説得してくれよー。無能なので2人と組むわけには行きませんってなぁ」
橘が煽るように言う。
「確かに俺が言った方が確実だろうな。」
「なら…「だが断る！」」
「なっ！」
言いたかった…これ。
「なんだとてめぇ…お前ごときが二人に釣り合うわけないだろ！」
「でもそうしたら俺ぼっちになっちゃうし〜。」
「そんなの知ったことか！」
知ったことだろそれは！
「それに俺は二人と組みたいんだ。」
「優くん…」
「待ってろなっちゃん。今説得するから。俺は二人の戦い方はよく分かっているつもりだ。あのあと連携とかを特訓してきたからな。だから俺が組むのがいいと思うのだが、どうだろうか…」
「時間が無い。今回はこのグループで行く。」
「な、メイギスさん！」
「二人の意見も尊重してやれ。それがリーダーだろ。」
「ぐっ！…分かりました。」
最後は天城が折れた。
「では、出発するとするか！」
こうして一悶着あったが、やっと出発することが出来た。



ダンジョンとはいくつもの階層で出来ており、中には強力なモンスターが住み着いており、ギルドの全国支部から、危険認定されている洞窟のことである。50層まであり、未だ攻略したものはいない。
クリア出来んのかな？
そんのこと思っているうちに馬車がとまる。
「着いたぞ！ここがダンジョンだ。」
「でけえ…」
「こんなの…クリアできるのかよ…」
「今から怖気付いてどうする。ここからはグループに分かれて潜ってもらう。では解散！」
こうして俺たちのダンジョン攻略が幕を開けた。


「思ったより明るいんだね…」
「そうだな…ゴリゴリの洞窟かと思ったが…どちらかと言うと遺跡だなまるで。」
「…岩陰に敵…スライム。…」
「任せて！ファイアーボール！」
「流石なっちゃん。」
「うん！」
「松山さんもありがとう！」
「…由紀でいいわ…呼びにくいでしょう？」
「わ、わかった。…由紀。」
恥ずかしいな。そして何故なっちゃんがむくれるんだ？
「なっちゃん？」
「知らない！」
おいおいなんだよ…
「ほら、ゴブリンだよ！優くんやっつけて。」
「お、おう。」
そんな感じでたわいない話をしながら俺たちは次の層に行く階段を見つけた。
「2層目だな。」
「うん。」
「…行こう。」
階段を降りる時少し違和感を覚えた。セバスさんに魔法をかけられた時と同じ感じだ。
なんだ？
次の層に降りると、二人の姿はなく、場所も遺跡ではなく、祭壇のようなものが広がっていた。
「なんだ？どうなってんだ？」
「…お待ちしておりましたよ？優くん。」
「…セバスさんなんであなたがここに？」
声の正体は何度も聞いたセバスさんのものだった。
しかし、今までのように優しいものではなく、とても冷えきったもののように感じた。


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