可視化

ふろっぐ

可視化

少しすると老人が戻ってきて
「お待たせ致しました、アイスコーヒーとこちらサービスのケーキでございます。ごゆっくりどうぞ」
そう言って奥へ戻って行った

五分ほどして入口の方から声が聞こえた。
女の人の声のようだ
その女性は僕の隣のテーブルに腰を下ろした
ウインナーコーヒーを頼むと
突然話しかけてきた
「おひとりですか?」
「は、はい!そうです!」と柄にもなく動揺して答えてしまった。
僕はあまり人に話しかけられたりすることは無い、周りから見たら森の中の木のような存在だからだ。
話を聞いているとその女性は菊池 岬さんという名前だそうだ。
「菊池さんもおひとりですか?」
「私の居場所なの」
「居場所?」
「家に居ると色々考え込んじゃうのよ。それにここだとマスターだったりお客さんと話せるからすごい居心地が良くてつい時間があると来ちゃうのよ」
「そうなんですね」
気まづい時間が流れた
「菊池さんは目に見えないものは信じられますか。...あ、すいません。初対面なのにこんなこと聞いてしまって。」
「全然大丈夫!んー、それって具体的に言うと?」
「愛とか絆、信用、あとは霊の類ですかね。」
この時僕は菊池さんの顔色が変わったのに気づいてしまった。
「そ、そうだねー、私は信じてるよ!」
「菊池さん。ごめんなさい。嘘はやめてください。」
言ってしまった。さらに菊池さんの顔が引き攣る。
「バレちゃったか(笑) 私実は来月結婚するの、だけど好きって感情が分からなくてさ。ごめんね!知り合ってすぐするような話じゃないね!やめよ!」
「いや、話してください。僕も分からないんです。好きって感情が。」



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