教科さんち。-Side5-

MINON

4時間目:本部と5教科、その2

「ん?今更何の用だ?」
と数学が言う。

その先には、
先程は比較的教科課を擁護していた
山崎と久保がいた。

「コラ、マナブ、喧嘩腰になるな。
で、どうしました?」
で国語が少し数学を諫めると、
納得いかない様だが、
数学は少し下がった。

「いや、数学君が怒るのも無理ないよ。
本当に悪いのはこっちだからさ。
本当にごめんなさい。英語君の、
日本としては参考になる様な意見ね、
本当にありがたかったよ。
僕ら、あの青柳総長には何も
言えないから、先入観のない人に
言ってもらいたかったんだ。
確かにそうなんだ。昔からそうだけど、
日本人は自分達とは違うと見なすと
すぐ貶し始める。日本人の悪い癖だよ。
外国人には最近そうでもなくなった
けど、君達なら昔からいるから
わかるだろうけど、日本人は
動物で言う“群れの意識”が強すぎる。
…っと、失礼、長く話しすぎたね。
じゃ、これにて僕らは…」
最後まで山崎が言い終わる前に、
社会がボソッと言った。

「これで終わり?日本人の悪い癖だの、
悪いとこだけ言って帰るつもり?
その悪いとこを直そうと思わないの?
こんな世の中、どうにかしたいと
思わないの?」

「ヤシロさん、その辺にしといた
方が…」と国語が社会を
止めようとした。しかし、
社会は国語の腕を振り払って
続けようとした。
すると久保が、

「青柳総長が社会さんのこと“長生き”
って言ってたけど、何歳なんですか?」
それを聞いた社会は、
少し目が冷静に戻った。
そして少しはにかみながら、
「さあ…ねぇ。長過ぎて、
結構前から数えてないからね…。」
と言った。すると、
「そんなにですか?いや、
わからないな…こんな風に、
あなた方は実年齢に見える人が
少ないんですから、誤魔化せることが できれば、普通の人間にしか
見えないですよ。その状態で、
教科の差別を無くすべきだ、
と言ってみたらどうですか?耳を傾けてくれる人がいるはずですよ。」
と久保が続けた。そして、

「もし、あなた方が教科の差別を
無くそうと動き出すのであれば、僕らは出来る限りの協力はします。それが
今の僕らの仕事だと思ったのです。」
と山崎が言い切った。

そして、ようやく社会が微笑み、
「そう。その言葉を待っていたのです。
敵、というか私たちの言うことを
聞いてくれない人が大半なので、
私たちだけで動くのは難しいのです。
だから、少しでも人間の方に
味方についてもらおう、と話しはつけて
いたのです。利用する形に
なってしまい申し訳ないのですが、
これからよろしくお願いします。」
と話した。

「…よかった」
と、先程まで敵意を示していた
数学が、ようやく笑顔を見せた。

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