私が死にたい理由
私が死にたい理由
人は誰だっていつでも幸せだとは限らない
その人の悲しみはきっと誰にも分からない
私はきっとこれから生きてる間
ずっと死にたいと願い続けるでしょう
そんな私の人生を読んだってきっと
私の伝えたい事はきっと誰にも分からない
<16歳>
県で一番偏差値の低い県立高校に合格
頭がいいわけではない私
選んだ理由も制服が可愛いから
小学校から中学校までは親の意向で常に
なにかしらのスポーツをしていた
なにかが突発していいわけではないけれど
全てそれなりにこなしてきた
高校生になり友達もでき可愛い制服をきて
それなりに彼氏もできて楽しい高校生活を
毎日送れていたと思う
人生で初めてバイトもはじめた
勉強が好きではない私はバイトへのやり甲斐を
とても感じていた
とても楽しいわけではないがお金が貰える
最初は中華料理屋で1年間ホールスタッフ
初めてのバイト
掃除をしていてもクレームをもらっても
なにがあっても働いてるって感じがしていた
<17歳>
高校を辞めた
理由はとくにかったけど勉強より仕事の方が
やり甲斐を感じた、気がした
中華料理屋を辞めた
焼肉屋でアルバイトをはじめた
高校を辞めてからしばらくはたくさん遊んだ
友達もそれなりにいたと思う
大人数で遊ぶのが嫌いだった
みんなでご飯にいくのが嫌いだった
お金の割り勘とか喧嘩とか彼氏の年齢とか
見栄はり大会が苦手だった
<18歳>
焼肉屋の店長と不倫をはじめた
別に好きだったわけじゃない
ただ仕事で毎日顔を合わせ一緒にいる時間が
多くなり錯覚しただけ
25歳の彼
18歳の私
奥さんのことも知っていた
子供を妊娠していることも知っていた
罪悪感はゼロだった怖くもなかった
彼のこと好きだった訳じゃないから
私が未成年だったから
彼を失っても訴えられてもなにも怖くなかった
そんな関係を一年続けた
奥さんにも周りにもバレていた
それでもやめなかった
DVだった
髪の毛を切られた
殴られた
頭皮を破られた
首を閉められた
頭を何度も壁にぶつけられた
指を折り曲げられた
別にそんなことで離れようとは思わなかった
そんなことが離れる理由にはならなかった
<18歳>
彼と別れた
そんな関係を一年も続けたわりに
終わりはあっけなかった
別れたというか自然に連絡とることをやめた
彼が仕事場が移動になったから
近くにいたからそばにいたそれだけ
その後も焼肉屋でしばらく働いた
彼と会うことは一度もなかった
彼と別れたのが1月
そして今の旦那と出会ったのが3月
出会いはSNS
その時彼には彼女がいた
どうでもよかった
二股されても2番目でもなんでもよかった
出会って1ヶ月で付き合いはじめた
彼は彼女とは別れていた
焼肉屋を辞めた
車屋で働き始めた
思いのほか彼に惚れていった
高校を辞めてから特に熱中するものもなく
どことなく毎日生きてきた
私より頭が悪くて常識もない
子供で責任感も財力もなにもない彼
小さい頃に思い描いていた理想の人とは
大違いな彼
そんな彼のことがどうしようもなく好きに
なった
<19歳>
車屋を辞めた
アパレルの仕事を始めた
彼と付き合って1年
全てのイベントが2回目になった
毎日幸せだった
<20歳>
彼との子供を妊娠した
彼と結婚した
私のなにもないしょうもない人生に
張合いがでてきて毎日がキラキラだった
仕事も頑張れた
彼にも優しくできた
検診が月に1度の大イベント
彼も毎月休みをとってくれた
まだ会えぬ我が子
エコー写真だけでも愛おしくて愛おしくて
お腹が大きくなってきて胎動というものを
はじめて感じた
人の前では泣けない私
1人で泣いた
お腹の中にいるんだなってやっと実感した
毎日ポコポコ蹴るのが可愛いくて
TwitterやInstagramでみんな書いてること
ありきたりでポコポコ蹴るのが可愛い
なんてって思ったけど本当にありきたりな
言葉しか出てこない毎日
旦那もそんなお腹が不思議でずっと手を
置いていたり話しかけたり
そんな毎日が幸せでした
38週3日
5月14日
出産前最後の検診かななんて思いながら
いつもついてきてくれる旦那もこの日だけ
休みが取れず母も仕事のため
一人で病院へ検診に
いつも通り受付して4階へ
NTSを受けた
心拍がとれなかった
6階へ移動しエコー
子供の心臓は止まっている
そう担当医に伝えられた
泣いた
診察台の上で泣いて椅子に座って泣いて
隣の部屋に移動して泣いて
車椅子に乗って泣いて
入院棟に移動して泣いた
泣いて泣いて過呼吸になって泣いて泣いて
なんで泣いてるのか分からなかった
お腹の中にいる
もしかしたらまた心臓動くかもしれない
ポコポコ蹴るかもしれない
だって昨日まで
そう思いながら涙は止まった
病院の先生が旦那に連絡してくれた
旦那からこれからいくと泣きながら
電話があった
一番に病院に来たのは旦那の母親だった
入ってきて最初に本当なの?と尋ねられた
私もそんな冗談だったらいいなと思った
2人で泣いた
抱き合っていっぱい泣いた
私の母を迎えにいくためお義母さんは
一旦出ていった
その後旦那がきた
本当は旦那が来る前にもう窓から飛ぼうかな
とか色々考えたけど看護師さんが
付きっきりでなにもできず旦那が来た
たくさん泣いた
泣いてどうにかなる訳じゃないのに
泣いた
私の母がきてまた泣いた
私の母は私がしんみりするのが嫌だと思い
なんとか明るくしてた
おばあちゃんになりたかった私の母
お父さんになりたかった私の旦那
みんなの夢をぶち壊した、私
子供を殺した、母親
理由は分からなかった
へそのヲが巻きついたのかもと担当医はいった
誰も悪くない?
そんなはずはない
物事には理由があり過程がある
全て私のせい
旦那が泣いているのも
父と母が泣いているのも妹たちが泣いてるのも
お義父さんお義母さんが泣いているのも
最愛の娘が苦しみながら死んだのも
お腹の中で子供を育てているのは母親
全部母親である私の責任
5月15日
最愛の娘の死産
背中にカテーテルを入れて促進剤をうつ
陣痛は泣き叫ぶほど痛かった
みんなが私の周りで泣いていた
娘はもっと私に苦しい思いをさせられた
そう思うと泣いている私にも腹が立った
陣痛2時間で頭も降りてきて破水させ
2時間半で娘がでてきた
産声はもちろんなく大人達の泣き声だけが
分娩室に響く
旦那が手を握りながら泣く
娘を抱っこした
口は真っ赤で開いたまま
目は開くことは泣く
それでもあったかかった
死んでるはずなのにまだあったかかった
あったかかった
もしかしたらって思うほど
そんなことあるわけないけど期待してた
もしかしたら泣いてくれるんじゃないかなって
みんなに抱っこしてもらった
子供の名前は 【夏帆】なほ
みんなになっちゃんって呼んでもらってた
5月16日
夏帆と過ごせる最後の1日
朝2人の時に夏帆を呼ぶのが怖くて避けた
でも14時半には火葬場に行くことが決まって
いたため母たちが来る前に2人で夏帆を
病室に連れてきてもらった
初めて過ごす家族3人での時間
夏帆の手が足が鼻が口が全部が可愛いくて
愛おしくてもうとっくに泣きつかれたはず
なのに頭がおかしくなるくらい泣いて
夏帆のことたくさん触って触って触った
お昼になってたくさんの人が来てくれて
夏帆を棺に入れた
たくさんのお菓子や飲みのも玩具
みんなからの手紙私たちの写真
いっぱいすぎてはいりきらなかった
みんな泣いていた
全部私のせいで
たった一つしかない大切な大切な可愛い
命を私が奪った
たいした人生を送ってきた訳じゃない私が
生きてたくさんたくさんの可能性を
秘めた夏帆が亡くなった
みんな私を気にかけてくれた
退院して家に帰ってからも
みんなの優しさが辛い
私が一人にならないようにみんなが交代で
仕事を休んで旦那は毎日私の実家に泊まり
みんなが私が一番の生活を送らせてくれる
自分でどれだけ自分をせめても
自分のせいじゃないんじゃないかって
思ってしまうくらい
馬鹿な錯覚してしまうくらい
みんなの優しさがにじんでくる
そんな毎日が辛くて辛くて
夏帆に会いたくて会いたくて
触れたい
抱きたい
夏帆のところへ行きたい
きっと私が死んだらまた同じ悲しみを
家族や旦那に与えてしまう
きっとこんな私でも悲しんでくれる
分かってる
分かってるけどそれでも私は娘に会いたい
私は娘に会いたいと思う度死にたいと願う
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