雪が降る世界

lemon

第31話 〜幸せの''棒''〜

ずっと傍にいた2人をなくした。バイトも学校も、澪や瑠璃が自由になれるように頑張ってたのに。それどころか。
「澪は、お前の家族じゃない。」
七海に聞かされた、信じたくない事実。
俺はそんなこと全く考えてなかった。いつも一緒だったから。
でも言われてみれば、小さい頃の記憶はほとんどない。1番古いのは小学生。
まぁ七海がもう1人の兄弟探し?を手伝ってくれるらしい。代償…ってなんだろう。
「どうやって見つけるんだ?」
「焦るな。まずお前がどこで育ったか考えないと。あぁ言ってなかったがこまはドイツとフランスのハーフだよ。」
あ、日本人じゃないのな。そりゃ澪とは似ても似つかねぇ。
「じゃ、目閉じて。」
「あぁ。」
「こまが、''季節''って聞いて思い浮かべるものは何?」
季節…。
「雪、と…火山。」
「おっと…最初から意味わかんねぇ。とりあえずメモ…。次。大好きな大人の外見は?」
大人のか…。大好き?んー…。
「そんなに若くなくて、笑顔が柔らかい人。」
「だいたいの予想だけど…。育った場所は北海道、で合ってるか?」
「え、すごい。」
「次行く。と言いたいところだが。こまの1番古い記憶はいつ?」
「小学生。」
「幼稚園とかは?」
「全然。」
「そうか…。じゃあ聞き方変えよう。子どもが大勢集まるところってどこ?」
「学校…。じゃなかったら施設とか。幼稚園とか。」
「上出来だ。その単語が欲しかったよ。学年末のテストが終わったら、直談判。いいね?」
「え、あ、うん。」
どこへ?ってかテスト?もう?今大晦日だよ。
ちょっと待て。直談判ってまさか北海道行く気じゃないだろうな?
「北海道…?」
「うん。」
そんな金はねぇ。
「…あー、大丈夫、父さんに全額出してもらう。」
「は?!」
「手伝い頼んだ。」
「いやいやもっとこう…頭脳的なやつじゃないのか?」
「頭脳は俺だけで十分だ。」
「あ、ですよねー。」

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