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始創終焉神の俺、異世界を満喫する!

メコルデグス

異世界勇者と異世界魔王 3 最強達の協力

「よし、行くか!」

俺はペトラ、紅騎、蒼魔の三人の周りに魔方陣を描きながら呟いた。この魔方陣の効果は対象者を宙に浮かす魔法だ。これだけではただ浮かぶだけだが、サーガの竜輪を外したことで俺の背中には竜の翼が生えている。このゼータ達の腕輪は外すことで彼等の姿を具現化出来る道具でもあるのだ。開放された竜の翼で風流を生み出し宙に浮いたペトラ達とアースガルドまで飛ぶことにした。急に空を舞っている事にも驚いていたが、それ以上に突如、背中に竜の翼を生やした俺を見た紅騎と蒼魔は、驚愕しつつある1つの勘違いをしてくれた。

「竜鬼は竜人族(ドラゴニュート)なのか!? 」

「確かにそれなら、あの強さも頷けるというものだ。」

この世界には人間と魔物のサラブレッドが何種か存在する。
 多種に渡る闇系魔法を使いこなす悪魔の血を受け継ぐ魔人族
同じく多種に渡る光系魔法を使いこなす天使の血を受け継ぐ天人族
伝説を紡いできた覇王の血を受け継ぐ覇人族
(キングハーン)
神威開放を許される、神に選ばれた者である神人族(ゴッデス)
そして、竜に育てられ、竜の血を受け継ぐ竜人族(ドラゴニュート)
の5種が今現在名乗りを挙げた天命種と呼ばれる人智を越えた選ばれし者。この中でも、特に闘術や武術の技術を高める竜人族ならこれまでの俺の強さや翼の全てに辻褄が合うことから、俺が竜人族だという結論に辿り着いたようだ。しかし惜しいところだが、俺の種族は「魔神竜王」つまり天魔、神、竜、覇王の混合種なのだ。
そうとはつよしらずに勝手に納得してくれた彼等を余所目に、俺はペトラに計算してもらっていた。

「ペトラ、天使と悪魔の総数は約10万体を越えるようだ。俺とゼータ達が、力を開放するとして、紅騎と蒼魔、ペトラも含めた11人で討伐出来ると思うか?」

「10万体だとッ!?いや待てよ?確かにこちらの人数は少ないが、少数精鋭であるこの11人なら勝機はあるはずだ!」

「いやいや、俺達は確かに異世界人だから強さには自信があるし、ペトラ殿や竜鬼はまだ分かるが、その仲間達は頼りになるのか?天使と悪魔は数が多い分弱くられがちだけど、実際はAランク冒険者並の力を持つんだぞ?」

「これは正直負け戦ともなるのだ。生半可な力では、到底太刀打ち出来んぞ?死者を増やすだけではまるで意味を成さないぞ?ペトラ殿が認めた者でもいくら何でもこの数は無理があろう?」

ペトラの発言に困惑する二人の大体の性格を把握した俺は二人を信用し、先程の勘違いを正すことにした。

「それなら心配いらない。なんたって俺は始創終焉神、究極神王だった者だからな!それに仲間もこの世界で伝説とされる、究極種だからな!」

「「はぁぁあぁぁあぁああぁぁぁあ!!!??」」

俺や俺の仲間の事実を包み隠さず余さず伝えた。紅騎と蒼魔は困惑や驚愕を顔に浮かべていたが、ペトラの発言もあり信じてくれた。
そしてこの事実を黙ってくれると誓ってくれた。

「にしてもまさか、最強で最古の究極神王様だったとはな?力を失って封印した状態で俺達の近衛騎士隊長を瞬殺するとは末恐ろしいな。」

「だが、そんな大物が味方とは心強いものだ。ひとまず我等のステータスも公開しておこうか?」

俺は神眼はなるべく使わないようにしようと決めた。理由は先日に神眼を使用して冒険者のステータスを見ようとしたところ、目の奥から針が刺されているかのように、熱くなり慌ててアテネに相談したところ、

「,,,それは、敵喰いのペナルティで、新たなスキルや魔法を取り込むほど五感が鋭くなるんです。対人間の場合のみに限り、相手の同意なしでは視覚や聴覚が過敏に反応するらしいです。気を付けて下さい。本当に必要な相手のみに使用しないと竜鬼さんの目が失明してしまいますし、最悪の場合は脳に多大な負荷が掛かりますからね。」

と言われた。スキルは説明欄があるらしく「しっかり見といてください!」と怒られてしまった。とにかく、二人の同意を得れたので、ステータスを見せて貰った。

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名前 神光陽 紅騎     LV.150
 HP 5500000/5500000  SP 800000/800000
 
加護 (天照大神)称号 異世界転移者
                                聖神に選ばれし伝説の勇者

 種族 人間 職業 勇者 剣聖

攻撃力 1200000 
防御力 2000000 
俊敏性 1800000 
魔法耐性 800000
攻撃耐性 950000

使用可能魔法 光 水 無 星天 天魔(セラフ)

スキル 
ノーマルスキル
    水ースプラッシュ  

エンシェントスキル
    無ー斬鉄 瞬撃 守壁

レジェンド
    星天ースタージェノム

アルティメットスキル
    天魔ー熾天使セラフ                    
                  
  固有スキル             
神聖陽光(セイクリッド・サンフレイム)                                                                                      
LV.8
天照(アマテラス)       LV.13     
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名前 宵夜神 蒼魔     LV.150
 HP 5000000/5000000  SP 950000/950000

加護 (月読命神)称号 異世界転移者
                                邪神に選ばれし伝説の魔王

 種族 人間  職業 魔王 賢者

攻撃力 1800000 
防御力 1500000 
俊敏性 1800000 
魔法耐性 950000
攻撃耐性 800000

使用可能魔法 闇 炎 血 妖術 天魔(ルキフゲ)

スキル 

ノーマルスキル
    炎ーインフェルノ

エンシェントスキル
    血ー操血 従血 血縛

レジェンド
    妖術ー夜叉奪魂(やしゃだっこん) 
                   
アルティメットスキル
    天魔ー地獄宰相ルキフゲ    
          
  固有スキル             
邪悪陰影(イービル・ムーンシャドウ)                     LV.8     
月読命(ツクヨミ)   LV.13     
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流石に地球からの転移者なだけあって、その力は圧倒的だった。更に本当にごく稀に所持出来る固有スキルを持っている辺り、彼等の格が上なのが伺える。とにかく、この二人もいれば効率が上がるはずだ。
俺は、自身の姿を隠すためにスペースストレージから、死神のような骸骨の仮面を取り出し、髪の色を金色に変えた。服装もいつもの和服と甲冑が融合された物ではなく、黒のコンバットスーツに着替えた。突然、俺の姿が変わったことに驚いた3人に訳を説明した。

「な、なんで急に着替えたんだ?これじゃ、竜鬼と分かる奴なんて、限られるんじゃないか?」

「だから良いんだよ。加護無しでBランク冒険者の俺が、天使と悪魔を蹂躙する姿を見せたら信じられるか?しかも、目立って終兜に見つかったら、この世界ごと破壊しかねない。俺はこの世界を消させたくないからな。しょうがないさ。」

終兜が俺を殺すことに執着を見せるなら、この世界ごと壊すことも厭わないはずだ。なら俺は、徹底的に自身の力を隠蔽して過ごすべきだ。俺の加護を持つ者としてなら、この世界での生活も安泰できる。そのために俺は「再び」黒になる!

「見えてきたな。」

目の前に広がるのは、白き天使と黒き悪魔の奏でる、云わば殺戮の協奏曲(コンチェルト)だった。全ての命持つ者から、魂を刈り取る神の遣いは目に写る命を奪い続けていた。幸いここは、アースガルド自然国の近くに位置する広大な大草原なので、殺されているのは魔物やこの辺りを住み家とする動物ばかりだが、自然を愛し、自然に愛された国であるアースガルド自然国なら、動物が殺されることはこの先の生活に深刻な爪痕を残すことは目に見えている。更にアースガルド自然国の精鋭部隊であろう騎士や戦士、魔法師までもがこの国を守るために命を賭して戦っている。しかし、残酷なまでに天魔の強さは比類なきもので、蹂躙されているばかりだ。

「これは酷いな。酷すぎる!」

「あやつら、只では済まさせんぞ!」

紅騎と蒼魔は元々比較的争いの少ない地球、しかも日本で生きてきたただの少年だ。命の大切さは、この世界で仲間を失ってよく知っている。その2点が彼等の怒りを刺激するのだ。

「竜鬼さん、僕ももう行っていいかい?この場で僕らが逃した天魔どもも、集めた冒険者が逃さないから。」

ペトラは冒険者組合からA~SSランク冒険者に天魔の討伐を依頼した。これで俺等も安心して戦えるというものだ。その手際の良さに俺は息を呑んだ。いつもニコニコと笑顔を絶やさないペトラからは想像など到底出来ない声音で「組合長命令だッ!!」と指示を飛ばしていた。
などと考えていると突如天魔が攻撃をやめ、手のひらに光と闇の魔弾を集めだした。その魔弾は段々集まり、この辺りを消し飛ばす程の物となった。

「あれは止めないとヤバいッ!」

俺達が動き出した所で極大の魔弾は霧散し、後には殺された数千の天魔が残った。

「ふぅ~。危ないところでした。」

「安心なさるのはまだお早いかと思われます。」

「まだあと数十万の天魔が空を舞っているんだからな。」

「急いで、全て、殺す、!」

空から突如、聞き覚えのある心強い四人,,,いや四体の声が聞こえた。空を見上げると九尾、青龍、白虎、死翼が制止していた。

「ゼータ、サーガ、フロンティア、アルバロス!」

今は獣の姿をしているが、彼等は間違えるはずのない俺の眷属であるゼータ達その人だ。本当の力を開放出来るのがこの姿だ。しかし、これは本気の姿ではない。本気なら獣人の姿となるからだ。俺の「本気で,,,」という発言を破り彼等は自身で判断し、本気を出すまでも無いという判断に行き着いたのだ。こうした行動に、俺は少し嬉しくなった。そして、ここにいないラナ、ベルク、アテネの3人の居場所を聞いた。

「3人は、それぞれ行動しています。ラナとベルクは人目に写らぬように天魔を刈っております。アテネは国を守るための陣営や策略を練っております。」

アテネは兵士達の被害を減らすために行動しており、ラナとベルクは俺の剣でもあるから、自身の力で俺だとバレない様に隠蔽しながら動いてくれている。すると、今まで阿保面を晒していた、紅騎と蒼魔がやっとのことで口を開いた。

「ほ、本当に究極種の神獣様達だ,,,」

「これは、驚かずにはいられぬな,,,」

俺達も動くために、俺は命令を下した。

「よし、天魔を殲滅するぞ!」

「「「「「おうッ!」」」」」

「「お、おう,,,」」

ペトラを含めたゼータ達一同は一斉に散り、自身の仕事を全うしにいった。遅れて紅騎と蒼魔は自身の怒りを思いだし、天魔を追い掛けていった。

「さて、俺もやるか。」

俺は今一度ゼータ達の腕輪をそれぞれ着け直し、最初にフロンティアの腕章を外した。すると、周りの空気が一変し張り積めた重苦しい物に変わった気がした。更に俺の服には数々の彩飾が施された宝石が煌めいており、一つ一つから膨大な魔力を感じた。左腕を取り巻くように、古代魔法文字が駆け巡り俺は全魔法を操れるようになった。最後に俺の右手に握られた金色の戦斧が溢れんばかりの覇気を放出していた。この戦斧の名前は「リッタ」天地を割るほどの力を秘めているのだ。俺は無属性魔法の「ウィング」を発動し空を舞うと、天魔の元へ急いだ。

「あれか!?よし、神眼!」

魔物などの意志疎通が困難な存在には、発動出来る神眼を使用した。しかし、魔物などは
ステータスを見れる代わりに、どこか抜けていることが多いんだよなぁ。天魔どもは、それぞれ鎧に身を包んでおり、鎧を着た人型の像と言われるとしっくりきそうなほど肌を出していなかった。天使は白き鎧、悪魔は黒き鎧を身に付けており目には光が灯っていなかった。彼等のステータスはこうだった。
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名前 主天使(ドミニオン)     LV.80
 HP 2900000/2900000  SP 425000/425000

 種族 天使 

使用可能魔法 光 天魔

スキル

アルティメットスキル
    光天使ーキュリオテテス             
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名前 地獄君主(ドゥマ)     LV.80
 HP 2900000/2900000  SP 425000/425000

 種族 悪魔

使用可能魔法 闇 天魔

スキル  
                   
アルティメットスキル
    闇悪魔ーメフェストフェレス    
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「チッ!肝心の攻撃力とかが見れないとかついてないな。」

俺は自身の運に毒づきながらリッタを上段に構えた。俺を見た数千の天魔が一斉に飛び掛かってくる。しかし、彼等は俺に届く前に霧散していく。俺の持つリッタの特殊効果がもたらすものだ。
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名称 覇戦王斧 リッタ

ランク 神帝王   分類 覇王の帝器

説明 天地を割る。所持してから一定時間(5分)覇気で相手を迎撃する。
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俺は向かってくる天魔は覇気で、遠くから魔法を放つ頭の良い智天使達はこちらの魔法「ソードショット」を纏わせたリッタを振りかざし発生させた斬波で切り刻んでいる。しかし、あっという間に5分過ぎてしまい、俺は残りの覇王の力を全て使い、全属性の全方位系融合技「アストラルレインゲイザー」を放った。虹色の眩い輝きが全ての天魔を穿っていく。すると、残りの天魔も集まり出し、俺は次にアルバロスの腕章を開放した。
すると、俺の背中からは八咫鴉(ヤタガラス)の黒き翼が生え、右手には赤黒くノコギリ状の刃を持つ短剣、左手には黒に紺の線が幾重にも織り成す拳銃が握られている。肘や膝、踵には近接戦闘に適した鉄甲や隠しナイフが付けられている。そして最後に、俺の左眼は血に染まった朱色となっており、紅魔の眼光が揺らめいていた。

「殺戮の始まりだ!イッツ・ショータイム!」

向かってくる天魔の頭を寸分の狂いもなく打ち抜き、首を短剣で切り裂き、格闘で骨を砕き戦闘不能にしていく。天魔の霧散していく死体を見るほど、俺の中で何かが蠢き自然と口に笑みを溢してしまう。 勿論この武器も「ブラックナカツマキ」と「ブラッドソウル」という特殊効果持ちの拳銃と短剣である。

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名称 暗闇の魔弾 ブラックナカツマキ

ランク 神帝王   分類 魔忌の呪器

説明 全てを虚ろに回帰し無を穿つ。ブラッドソウルと使うと破壊力が数万倍になるが、主の精神を狂わせる。


名称 紅魔の血刃 ブラッドソウル

ランク 神帝王   分類 魔忌の呪器

説明 血濡れた魔剣で血を吸うと肥大化して鋭さが増す。ブラックナカツマキと使うと破壊力が数万倍になるが、主の精神を狂わせる。
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俺の精神が持つ限りこの武器はどんな武器よりも圧倒的な破壊力を放つのだ。たとえ神界時の俺でも持てて1週間だった。常人ならこれを見ただけで体を乗っ取られ、血を、肉体をグチャグチャにされてしまう。今の俺なら約5分くらいだろう。
ナカツマキは銃口を向け引き金を引いただけで一直線に全ての生命を枯らしてしまうほどに、ソウルの刀身は今では大太刀ほどで紫のオーラで周りの血を蒸発させている。この二つで周りは見るも惨い姿となっている。しかし天魔は消える気配がまるでなく俺の精神も限界に近づいていた。

「くうッ!?ここまでか!」

俺は最後に数万の天魔が集まるのを見計らって奥義「血濡れの雑踏(ブラッディブレイクダンス)」で一気に殲滅した。天魔は俺の舞いに呑まれるようにして霧散していった。
さすがに疲れが溜まってきたが集まる天魔が休ませてくれるはずもなく、俺はサーガの腕章を開放し、竜門を目覚めさせた。竜門とは自身の体の一部を竜の物へと変えられるものだ。みるみるうちに俺の体は全身鱗に包まれ、背中から2対の計四枚の翼が生えた。そして俺の右手には紅蓮の槍が構えられていた。この槍は龍槍「アスカロネス」穂先が龍神の25cmほどの牙で竜が作った物でもあり、竜を殺すためのものでもあるのだ。

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名称 穿窟星炎剛(せんくつせいえんごう) アスカロネス

ランク 神帝王   分類 星霜(せいそう)の竜器

説明 龍神の牙で造られた万物を穿つ槍。永遠に消えぬことのない咎の焔により、周りを自身の意思で燃やすことができる。
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その説明通り、向かってくる天魔を包み込むようにして辺り一面が黄金の炎に包まれた。焼け焦げる草木の中、竜人の姿となった俺は空を飛びその四枚の翼で荒れ狂う暴風を生み出し焔を抜けた天魔を巻き込んだ。暴風が止んでも未だ現れる天魔をアスカロネスがなぎ払う。アスカロネスには意思が宿っており敵の反応を頭に流してくれる特殊効果が付いている。これのおかげで的確に火柱を放つことが出来るのだ。
俺は天魔の数を一気に減らすために槍の持ち手にあるレバーを「剛炎」から「星霜」に切り替えた。途端に槍の色は紅蓮から蒼黒に変わり炎を纏わせていた穂先が今ではキラキラと輝く星屑となっていた。星屑は凍えるほどの冷たさで触れたものの生命活動を絶ち切る「氷室(ひむろ)の氷」が宿っている。地獄を連想させる焼け野原と化した大草原は、一瞬にしてその煌めきで地球の南極のような姿に豹変してしまった。先程まで灼熱に耐えた天魔達も急激な気温の変化に体がついていけず血液が逆流したり、体が脆くなってしまっている。

「これで一息つけるか?」

相手の攻撃を受けた訳ではないので身体的な消耗はないが、腕章開放は開放するのにも操るのにも精神的な消耗が激しく、少し休息の必要性を感じていた。一気にケリをつけるため竜槍の魔奥義「炎氷双龍脆壊槍(えんひょうそうりゅうぼうかいそう)」を使った。
灼熱と豪寒で脆くなった体を双槍となったアスカロネスで破壊する。槍は天魔の抵抗をもろともせず、一振りで全てが終わった。

「はぁ、はぁ。はぁ~、終わったか。」

ひとまずこの辺りの天魔を狩り尽くした俺は更地と化した大草原の上に寝そべり、荒い呼吸を繰り返していた。そこへ、何やら急いで戻ってきた紅騎と蒼魔に俺は声をかけた。

「二人ともどうしたんだ?」

「天使と悪魔が不自然に減っているんだ!どういうわけか天使と悪魔が融合して、真の天魔の姿の者も何体かいたんだ!」

「後をつけてみたのだが天使と悪魔のリーダー格であろう存在が何やら膨大な魔力を集めていたのだ!」

つまり、神界にいる天魔の誰かが天使と悪魔を天魔へと融合してるというのか,,,? 

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ー 分散後の紅騎と蒼魔 ー

「よし、行くぞ。蒼魔!」

「分かっている。竜鬼やペトラ殿達には負けておれん!」

俺は蒼魔と共にアースガルド自然国の近くの大草原にやって来ており、共闘して天魔を殲滅することにした。

「にしてもまさか、竜鬼が究極神王だったとはな。とんでもない存在と出会ってしまったものだ。」

「全くだ。日本に居た頃ではまるで想像出来なかったな。俺は勇者に、お前は魔王に、一体何の因果なのか。」

俺達はこの世界の人間ではなく、3ヶ月程前までは日本の高校に通う普通の高校生だった。俺と蒼魔は幼稚園の時からの親友と呼べる存在で常に一緒にいた。しかし、中学校に上がった時から俺達の仲を割くように、幾つもの行き違いによる違和感が起きていた。
初めは委員会決めの時、俺は学級委員に推薦されたが俺自身は蒼魔が向いていると思っていた。部下に対する責任から教育まで、彼は下の者に対する考え方が定まっていた。しかし、休み時間にクラスメイトにそれを話すと「蒼魔は何か怖いし,,,」「蒼魔君が学級委員って独裁者になりそう,,,」「蒼魔はなんか魔王みたいだよな。」「あっ、だったら紅騎は勇者だよな。」などと皆言いたい放題。確かに蒼魔はほとんどのことに興味を示さず敵は徹底的に潰す冷酷さを持っているが、自身の身内や部下を慈愛で守る優しさを持っているのだ。彼の深層を覗けない彼等が知る由も無いことだがどうしても腹に据えかねない、どうにもやりきれない心が冷たい石ころのように残っていた。

「どうしたんだ?紅騎が呼び出すなんて何かあったのか?」

俺は昼休みに他の生徒が立ち入ることの無い屋上に蒼魔を呼び出した。

「急に呼んで悪かった。少し相談したくて,,,」

そこで俺は、先程の学級委員の話をした。しかし、蒼魔は静かにハニカミ、優しい声音で語った。

「俺はな、紅騎?たしかに学級委員をやろうと思ったことが何度もある。確かにクラスメイトの言うとおりだ。俺は積極的に人と深く関わりを持とうとは思わないからな。どこか冷めた雰囲気の俺よりも、優しく情熱的な紅騎のほうが向いていると思って当然だ。」

「ならッ!」

「でもな、俺は紅騎に学級委員になってほしい。お前がクラスを引っ張っていく様子を傍らで見続けていたい。お前の影としてでも役に立ちたいから。お前のリーダーシップを見たいんだ。」

そこで昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。俺は蒼魔のすれ違い交錯する思いを聞いて何が正しいのか頭の中でぐるぐると思考を巡らせた。学校のテストでは万年上位5位までには入るため頭に自身はあったはずなのに、この問題だけはどうやっても解答が見出だせなかった。

「それじゃあな、紅騎。期待してるから。」

音もなく俺の横を影のように消えた蒼魔に俺は1つ決心をした。

「(アイツが俺の影になると言うのなら、俺はアイツが望む光になってやる!)」

いつしか対極の最も遠い所に離れてしまった親友はお互いを信じ、お互いの短所を補える表裏一体な無くてはならない存在となっていた。紅騎が目立つ行動を起こし皆を引っ張り、見えない問題点を蒼魔が1つずつ潰す。お互いが居てこそ初めて行えるそれは、二人の違和感を払拭し、新しい関係性を作ってみせた。ここまで正反対の二人が親友でいられるのは只、仲が良いからという一言で済むわけが無く、正反対だからこそお互いを利用しあって高く高く昇ったのだ。
それから数々の問題も二人で解決し、高校生となり、あの異世界転移が起きた。当然最初に事に冷静に当たれたのは紅騎と蒼魔の二人だけだった。紅騎が混乱するクラスを纏め、蒼魔が仕組みや事態の解明を急ぐ。今回もこの二人の協力であっという間に解決すると思われた。しかし現実はそうとはいかず、紅騎は勇者に、蒼魔は魔王として、お互いが敵同士となってしまった。最初はお互いがこの戦争を終結させられると思っていた。しかしそれは子供の浅はかな願望に過ぎず、紅騎は親しかった友と天国で共に技を磨いた騎士仲間と剣技を伝授してくれた聖騎士団長を、蒼魔は自身の深層を見抜いてくれた一人の少女と魔国で意気投合した魔族と良くしてくれた前魔王を失って初めて気づいた。
「この戦争の中心は自分達でこの重圧から逃れることは出来ない」のだと。
だからこそ、もう犠牲を出さないために一騎討ちを行っていた。自身の感情を押し殺して一番の親友をその手で殺そうとしたのだ。そうしなければ死んでいった仲間や恩人達が浮かばれないと思って。
そんなある日のこと、決着を着けるため覚悟を決めた二人の間に光が満ちた。彼は「自分の感情を押し殺してまで戦う必要があるのか?」と聞いた。二人は彼の言葉の破壊力に声高らかに大笑いした。自分達が本当に大切にするのは、国のことではなく、自分の心だと目の前の年近き少年に一目で見抜かれ、気付かされたのだ。こんなことをしても、死んでいった仲間や恩人は喜ばない。ならば、彼等の分もこの命で出来る限りのことをしようと,,,

そうして今まさに、自分達の力を正しく振るう時が来たのだ。紅騎は左眼の眼帯を、蒼魔は眼鏡を外し、それぞれ自分の剣を具現化させた。彼等が眼帯や眼鏡を外すのにはちゃんと理由がある。彼等は身に付けているアクセサリーを外すのをスイッチとして本気を出すようにしたのだ。これは強くなりすぎた力を抑える為の抑制装置としても、怪我を負った左眼、砂鉄が入り視力が落ちた目への処置としても効果を発揮している。つまり一騎討ちを行っていた時の二人は本気ではなかった。そして今こそ本気を振るうその時だと二人は判断したのだ。目の前に突如動き出した約1万の天魔は二人を取り囲むように現れた。それに対峙する形で二人は背中合わせで、お互いの剣の力を開放した。紅騎の聖剣「レーヴァテイン」はその刀身が純白から燃え盛る烈火と化し、蒼魔の魔剣「グラム」は暗黒の刀身を凍てつく蒼碧へと変えた。そして、二人の剣を交錯させると混ぜ合わさった朱と蒼のオーラが周りの天魔を一撃で葬った。

「さすがに、本気の一撃で融合魔聖剣技「スペクタクル インポッシブル」はキツいな。」

「あぁ、でも今の俺達でもしっかり放てたな。」

複数人で行う融合技は格段に魔力と破壊力が跳ね上がるが、心を通わせた限られたパートナーとしか放てない強力な技だ。しかも、失敗するとお互いの魔力が0になるリスク付きだ。それでも初めての融合技を成功させるのは彼等の光と影、表と裏という新しい関係性が招いた結果とも言える。一心同体となった今の俺達になら不可能を造り出すことが出来ると思えた。すると、上空を徘徊する天魔の群れが猛スピードでどこかへ向かうのが見えた。

「まだ居たか。紅騎、殺るぞ!」

「いや待つんだ!どこへ向かっているのか後を付けてみよう。」

ここまで焦った様子で目指す場所があるとするなら、そこに大将が居るはずだ。もしかするとラノールとシャルドネも,,,。とにかく確認することにした俺達は天魔の後を追った。
たどり着いたのは薄暗く、先の見えない巨大な洞窟で上には琥珀色の鋭い鍾乳洞からコバルトブルーの水滴が滴り落ちていた。この中に入っていったであろう天魔達の姿は目では見えずこの洞窟の広さが伺えた。しかし、最奥から異質なオーラを感じた俺達は一旦竜鬼達と合流することにした。しかし振り返るとそこには、先程戦っていた天使と悪魔が混ざりあったかのような姿の不明な存在がこちらへ攻撃を仕掛けようとしていた。その姿はとても歪で、おぞましくも美しくもあった。灰色に煉獄の模様が入った鎧に身を包み、頭にはスラリと伸びる黒の悪魔の角と純白の天使の輪が、腕は4本あり天使の2本の腕には剣が、残り2本の悪魔の腕は魔方陣を展開していた。背中から生える2対の翼は天使と悪魔のものだった。顔を覆う兜から覗く白と黒の瞳は虚ろで何を考えているのか読めなかった。考察している内に襲いかかってきた真の姿となった天魔を迎え撃つように剣を携えた俺達はレーヴァテインとグラムを交錯させて、天魔の体を切り裂いた。次の瞬間、魔聖剣技「Xブレイド」に斬られた天魔はその場に伏せたかのように思われた。確かに斬った感覚があったのだが天魔は再び立ち上がり、天魔魔法「アザエル カルナメス」により無数の黒光りする槍と光の斬擊を放った。俺達は二手に別れ、槍と斬擊を交わすとそれぞれの剣に魔力を流し天魔に振り下ろした。紅騎のレーヴァテインは紅の炎を生み出し、蒼魔のグラムは蒼の氷を生み出した。しかし、振り下ろした剣は虚しく天魔の両手に受け止められ、カウンターで俺は脇腹、蒼魔は左肩を剣で貫かれてしまった。肉を穿ち血を抉る痛みを感じた俺達だが、伊達に勇者と魔王の総大将をやっていた訳でなく手の平に魔力ではない、俺達のみの固有スキルによる神力を集めた。俺の右手には白く揺らめく神聖な太陽「天照」、蒼魔の左手には闇の中で静かに煌めく月「月読命」が宿っていた。俺達は痛みに負けぬよう歯を食い縛り、手刀を造り天魔の肩から腰にかけて再びX型に切り裂く融合魔聖剣技「陰陽天月斬」を放った。手刀は全く抵抗を受けず、一瞬で天魔を切り裂き、陰陽玉が天魔を包み霧散させた。

「はぁはぁ。これは、本気で、ヤバイな?」

「はぁはぁ。あぁ、竜鬼の、元へ、急ごう!」

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そうしてここまで戻ってきたと紅騎と蒼魔は話した。
天魔は天使と悪魔の2体を融合することで生み出せる者だ。 俺はゼータ達と念話を行い現状の報告を急いだ。

「皆、どんぐらい倒した?」

「俺は10000くらいだ。」

「こちらは私サーガとアルバロスの二人がかりで13000ほど。」

「俺は魔導でアースガルドの周りに防壁を張りながらちまちまやってたから、2000くらいだろうな。」

「私とベルクは隠れながらだったので8000ほどです。」  

「そして俺と蒼魔で12000くらいだ。」

天使と悪魔の数は10万体程だった。そして皆が倒したのが約45000、俺が倒したのが約25000だったから、残りは約30000体。つまり残りの15000体は天魔になってると見るべきだろう。

「全員集合だ!作戦を説明する。」

「(さて、どうするか?)」

この時は気付くはずがなかった。この後の大将格が想像を絶するとは。

「始創終焉神の俺、異世界を満喫する!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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