人殺しなのに飼われるだなんてありえない!

小豆しおん

第4話

朝、太陽が顔を出すと共に目が覚める。
「今日も良い天気だ…」
グッと身体を伸ばす。しっかりと睡眠をとった身体はもう鈍ってなどいない。
ベッドから立ち上がる。良い匂いが漂う。

「おはよう。今朝はスープにしてみたんだ」
「おはよう。いい匂いだね」
ソリッドと挨拶を交わし、席に着く。温かそうなスープと焼きたてのパン。
「「いただきます」」
ソリッドは、人間と同じようにご飯を食べる。そりゃあ、人を食べる時はこんな風にマナーみたいなものはないのかもしれないけれど…。しかし、僕がここに来てから、彼が人を食べている姿を目の前で見た事は一度もない。


昼までは、銃の手入れをする。最早日課となってしまっている。この銃は僕がヒットマンになってからずっと使い続けている、所謂相棒だ。古いものだから、少しでも手入れを怠ると壊れてしまうだろう。
「毎日毎日飽きねーな」
「いつでも君を殺せるようにしておきたいからね」
「下僕のくせに」
こんな軽口を叩けるようになるんだから、慣れというのは不思議なものだ。


昼食を食べ、狩りに出て、あっという間に夕方。夕食作りを手伝う。
「お前トマト切れ」
「わかった」
包丁を使うのは正直苦手だ。だが文句も言ってられない。何せ僕は下僕なのだから。
「あーそろそろ野菜調達しねーとな」
「明日にでも買いに行こうよ」
「そうだな」
彼は意外にも、街に出ることを好む。フードで耳を隠してしまえば人間と変わらない。そして更に意外なのは、彼が肉よりも野菜を好んで食べるということだろう。人狼って肉食じゃなかったんだな…。


夕食を食べ、お風呂に入れば、もう眠る時間。僕にはちゃんと1人で使える寝室が与えられている。
「お前ちゃんと髪拭けよ。風邪引くぞ?」
君は僕のお母さんか。

「じゃあ、おやすみ」
「おう、しっかり寝ろよ」
ヒラヒラと振られる手。彼が夜中、外に出て行くのは知っている。何をしているのかは…聞かない方が良さそうだ。

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