ヒーロー・メダル
冷酷無比
トワラ王国東方・ブラド地方は魔物の中でもアンデッド種と呼ばれるものの巣窟だ。
ゾンビや骸骨いった低位の魔物から、骸骨の騎士などといった魔物までもが生息している。
 更には毒や酸で出来た沼地なども多く、とても生物が存在できるような所ではない。
その為「神が作った地獄のサンプル」とまで呼ばれている。
そこに佇む大きな館には、窓が一つも無かった。
中は当然真っ暗でとても人が住めるような造りでは無い。
それも当然だろう。何故ならば、この館の主は吸血鬼であるからだ。
吸血鬼は様々な能力を有している。
暗視、支配の眼、コウモリ化、物理攻撃耐性が代表的だ。
しかし、この館の主・デューク・ザ・ヴァンパイアは一般的な吸血鬼とは違い、ある一つの能力を持っていた。
それは日光への耐性だ。
この能力のお陰で一週間前にやって来た小隊を支配下に置いた。
吸血鬼である以上血を吸わなくては死んでしまう。
故に生物を襲うが、大抵は一人の血を吸いきった頃には見失ってしまうので、より多くのエネルギーを使う。
その為自分の近くに死なない程度に血を供給する者がいくつもいた方が都合が良かった。
彼らは陽が上っている間に館を破壊槌で壊し、日光を浴びせて弱らせた上で襲いかかり討伐するという手を取ろうとしたが、彼の日光への耐性を知らなかったが故に、返り討ちに遭った。
そんなある日、突然客がやって来た。
純白の全身鎧に身を包んだ一人の人間だった。
人間がたった一人でこの地にやって来る事は珍しいので、デュークは若干警戒する。
「貴様が人間を襲う吸血鬼だな。私はカーセマだ。いますぐにでもその命を差し出せば苦痛なき死を与えよう。」
「それはどうもご苦労だ。しかし、丁重にお断りさせて頂こう。食べ過ぎは不健康に繋がるからな。」
「そうか、ならば貴様には凄惨な死を与えてくれよう。これでもくらえ!」
カーセマという男は懐に手をやると、銀色の十字架が姿を見せる。
これが切り札と言わんばかりの表情だ。
しかし、彼はそれを見て失笑してしまう。
「そんな物で私を攻撃できるのか?
まさか、それが切り札とは言うまい?
死んだときの言い訳を作りたいのか知らないが、こちらは全力でいかせてもらう。」
余裕綽々とした返答にカーセマは絶望する。
何故十字架を見て怯えない。こんなことはありえない。
このまま俺は死ぬのか。
嫌だ。
絶対嫌だ。
いやだいやだいやだいやだいやだ。
やだやだやだやだやだやだやだやだやだ。
やがてどうでもよくなり、感情まかせに背中の剣を振り回す。
「あああああああああああああああああ!!!嫌だ!嫌だ!嫌だ!」
ブンブンと剣を振り回すが、吸血鬼に傷は一切つかない。
それどころか漆黒のタキシードにすら綻びが見えない。
所詮は人間か、そんな事を思いつつデュークは手で男の胸を全身鎧ごと貫く。
「ぎゃあああ!!お願いします!助けて!何でもします!」
生命力だけは一丁前だと思いながらも、その後も体の至る所を貫き続ける。
「やめて!やめて!いやだ!たすけて!しにたくない!」
もう叫び声を聞くのも飽きたので、止めを刺すことにする。
腰に提げた剣で斬首しようかとも考えたが、剣を使うべき相手でも無かったのでそのまま手で心臓を貫く事にした。
 寸分の狂いも無くデュークの手は男の心臓を捉える。
すると、ぐちゃりと内蔵が破裂する音がした。
それと同時に男の声は静まった。
手に付いた鮮血を舐め回すその姿は正に冷酷無比な吸血鬼そのものだった。
ゾンビや骸骨いった低位の魔物から、骸骨の騎士などといった魔物までもが生息している。
 更には毒や酸で出来た沼地なども多く、とても生物が存在できるような所ではない。
その為「神が作った地獄のサンプル」とまで呼ばれている。
そこに佇む大きな館には、窓が一つも無かった。
中は当然真っ暗でとても人が住めるような造りでは無い。
それも当然だろう。何故ならば、この館の主は吸血鬼であるからだ。
吸血鬼は様々な能力を有している。
暗視、支配の眼、コウモリ化、物理攻撃耐性が代表的だ。
しかし、この館の主・デューク・ザ・ヴァンパイアは一般的な吸血鬼とは違い、ある一つの能力を持っていた。
それは日光への耐性だ。
この能力のお陰で一週間前にやって来た小隊を支配下に置いた。
吸血鬼である以上血を吸わなくては死んでしまう。
故に生物を襲うが、大抵は一人の血を吸いきった頃には見失ってしまうので、より多くのエネルギーを使う。
その為自分の近くに死なない程度に血を供給する者がいくつもいた方が都合が良かった。
彼らは陽が上っている間に館を破壊槌で壊し、日光を浴びせて弱らせた上で襲いかかり討伐するという手を取ろうとしたが、彼の日光への耐性を知らなかったが故に、返り討ちに遭った。
そんなある日、突然客がやって来た。
純白の全身鎧に身を包んだ一人の人間だった。
人間がたった一人でこの地にやって来る事は珍しいので、デュークは若干警戒する。
「貴様が人間を襲う吸血鬼だな。私はカーセマだ。いますぐにでもその命を差し出せば苦痛なき死を与えよう。」
「それはどうもご苦労だ。しかし、丁重にお断りさせて頂こう。食べ過ぎは不健康に繋がるからな。」
「そうか、ならば貴様には凄惨な死を与えてくれよう。これでもくらえ!」
カーセマという男は懐に手をやると、銀色の十字架が姿を見せる。
これが切り札と言わんばかりの表情だ。
しかし、彼はそれを見て失笑してしまう。
「そんな物で私を攻撃できるのか?
まさか、それが切り札とは言うまい?
死んだときの言い訳を作りたいのか知らないが、こちらは全力でいかせてもらう。」
余裕綽々とした返答にカーセマは絶望する。
何故十字架を見て怯えない。こんなことはありえない。
このまま俺は死ぬのか。
嫌だ。
絶対嫌だ。
いやだいやだいやだいやだいやだ。
やだやだやだやだやだやだやだやだやだ。
やがてどうでもよくなり、感情まかせに背中の剣を振り回す。
「あああああああああああああああああ!!!嫌だ!嫌だ!嫌だ!」
ブンブンと剣を振り回すが、吸血鬼に傷は一切つかない。
それどころか漆黒のタキシードにすら綻びが見えない。
所詮は人間か、そんな事を思いつつデュークは手で男の胸を全身鎧ごと貫く。
「ぎゃあああ!!お願いします!助けて!何でもします!」
生命力だけは一丁前だと思いながらも、その後も体の至る所を貫き続ける。
「やめて!やめて!いやだ!たすけて!しにたくない!」
もう叫び声を聞くのも飽きたので、止めを刺すことにする。
腰に提げた剣で斬首しようかとも考えたが、剣を使うべき相手でも無かったのでそのまま手で心臓を貫く事にした。
 寸分の狂いも無くデュークの手は男の心臓を捉える。
すると、ぐちゃりと内蔵が破裂する音がした。
それと同時に男の声は静まった。
手に付いた鮮血を舐め回すその姿は正に冷酷無比な吸血鬼そのものだった。
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コメント
佐藤次郎
ご愛読ありがとうございます。こんにちは、筆者です。表現力が足りず、読者の皆様の想像力に任せきっている事がとても悔しいです。そんな所で、今回はデュークという吸血鬼が登場しました。デュークが今後どんな展開を引き起こすのか。期待して待って頂けると幸いです。
それでは。