Umbrella

高嶺

時計を見れば、午後1時。
約束の時間はとっくに過ぎていた。

もういいや、と目を逸らす。

これで6回目。
私はまた、逃げた。


現代のだめな若者...ってことになるのだろうか


20歳、西野 しずく
上手く、生きられません。


今日は、バイトの面接のはずだった。
徒歩5分。近所のコンビニ。

約束の時間は12時半で、ついさっきまで
行くつもりだったのに。

久しぶりにスカートをはいて、
久しぶりに髪を結った。

玄関で靴をはいて、ドアノブに手をかけたとき
私は気づいたのだ。

ーーーーー雨が降っている。

あっさりと、私の心は折れてしまった。

いつまでも、自分から逃げて
過去に囚われている。

弱くて、最低で、駄目な自分。
変わらなきゃ、って分かってるのに。

「ほんと、だめだなあ」
私は笑った。

雨の匂いがした。









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