俺の異世界体験法~自分で作った人工異世界で無双します

デコポッジスペシャル

プロローグ、1章、2章 「物語の始まりは単純なもので」

                         プロローグ     
 西暦2053年現在、ヲタクで厨二病で救いのない人間候補世界ランク10位には入るだろうという男「畑 汰稀はたけ たいき」は自分の名前すらただかっこよくないという理由で嫌になりクラス替えの自己紹介ですら「ブラックハザード」や「黒騎 白刀くろき はくと」と名乗り、テストの答えは全てなんか難しい言葉を使っていた程の事はまだマシな方のことでまぁ色々とやらかした中学2年生なのだった。だがその年の冬に1つのラノベに出会ったことで自分のやりたいことを見つけた。それは何の変哲もない1冊のラノベで内容はフルダイブゲームの中で英雄になるなんかよくあるやつなのだが…
 「フッ俺の夢がいや未来永劫の英雄譚なるこの瞬間が来た」
人間だれしもやりたいことにはとことんというやつだが彼のソレは常軌を逸していた。
 「俺は英雄になる方法を見つけた」この瞬間彼は厨二病をやめ全国屈指の天才と呼ばれるほどに成り上がった。もともと回答がイミフなだけで別に頭が悪いわけではなかったのだがやる気だけでここまでできる人間はそうはいないだろう。だが今思えばこんなことは彼にとって何のとこともないことだったのだろうと思う。      
 さて、このあとのことは神のみぞ、いや神も知らない彼のみぞ知る世界になるので語り部はここでおさらばするのだが最後に、これから先に記される  英雄譚 は彼を未来永劫の英雄と呼ぶ人間が出現することになるのだがそれはまた別の英雄譚ものがたりで…

 1章  
あれから25年、世界は超ハイテクになっていた。例えばスマートフォンはもはやなくなり手を開くだけで画面が出てきたり小さな機械を耳につけるだけで擬似テレパシーのように電話ができるようになっていた。察しのいい人間どくしゃはもう気づいたかもしれないが「あ、やっぱりね」と思って読みつづけてくれ。
そう、まだこの世界にはフルダイブ型ゲームは開発されていない。だが作ろうとして人生の全てをかけている人間はいた。そうこの俺、畑 汰稀はたけ たいきである。
 「やっとだな、やっとお前の夢が叶うんだな。」
「ああ、待ちくたびれたぜ、これで俺は英雄になれる」
 そう、俺は異世界転生だの召喚だのということはあのころ厨二病時代から半分諦めていた。まぁ、正月の初詣のお願いや七夕の願い事やクリスマスのプレゼントには未だに「どうか俺を異世界召喚してくれますように」お願いしてているがそれはさておき、中学の時、そして今も叶えたくて仕方が無い夢とは
フルダイブ型VRMMOを自分で作りプレイして英雄になることと…
「それにしても、中学の時にわけのわからないことほざいてやがると思ったら本当に実現させるとはな…」
「当たり前なのだよ。フッ我にかかればこんなものだ」
紹介が遅れたが俺が今、話しているのは中学の時からの親友で、今も俺と同じ道に進んでくれた、羽位 冬弥はぐらい とうや大学卒業後、2人で会社を作り、あれやこれやと駆けずり回った日々は懐かしきこ…いや、そういえば昨日大手との契約のために朝から猛ダッシュしたわ…と色々とやってのけてついにあと一月で俺の夢が世界に羽ばたく発売されることになるのだが、俺にはやらなくていけないこととやりたいことがある。やりたいことは冬弥に毎日考え直せと言われ続けたが俺の夢だと折れずに毎日言い張っている事だがもうひとつは絶対に叶わないことだと思っている。そして今夜俺はやりたいことを捨て夢を叶える。はずだったのだが…

           2章
 時はまだ日が沈む少し前、
 「これで俺がリアルで太陽を見ることになるのは最後だな…」
 「俺はお前が考え直してくれた方が嬉しいのだがな?まぁそれはないか…」
 「ああ、それは無いな!」
 「本当に心残りはないんだな、今ならまだ考え直せるんだぞ」
 「お前今日中々うぜえぞ?」
 「当たり前だ!何年一緒にいるお思ってんだ!俺はこれからもずっとお前と一緒に一緒にバカ笑いとかして楽しく仕事して、一緒に…一緒に生きたいんだぞ。」
 「会いたいならまたこっちの世界に来ればいいだろ?」
 「お前、お前がやろうとしていることがどれだけ…どれだけ無謀なことが知っているのか?」
 そう、俺たち…いや、俺がやろうとしていることそしておれの夢は
 「知ってるさ、でも俺は仮想世界の中に入って生きたい。そこに俺のすべてがあるから。例えそれが100万分の1以下の確率だとしても俺はそこで英雄になり死にたい。」
 「お前の夢のためだとしてもそれは理論の話だし、実験なんてしていないんだ。もしどこかに間違いがあったら悔やむに悔やみきれない。」
 そう、これはとんでもないかけだ。宝くじですら当たらない俺がこんなことできるはずないと思ってはいるのだが、それでも俺はやりたい。ただそれだけのための人生だったとしか思えない。
 「お前、あれはゲーム用のとは訳が違う。失敗したら脳の細胞が全滅するんだぞ!」
 俺たちのゲーム、「SVスペイドヴァンミリア」は世界初のVRMMOでありそのゲーム機本体は量手首と両足首にチョーカーみたいなのを巻き、頭にヘルメットまではいかないがそんな感じのものをかぶり五感のすべてを仮想世界に送り込み実際にその世界の中で動いたり匂いを嗅いだり味を感じたりすることが出来る。そして栄養は取れないが満腹中枢に働きかけお腹にたまる感は出せる凄ものなのだ。
 しかし俺がやるのはそんな甘いものではない。このゲーム機の仕組みとは全く違う形でまるでMRIのような機械の中に入り、人間の脳の細胞を一発で焼き殺すことが出来る電磁波を最大放射し、仮想世界の中に俺のすべてを入れる。成功しても、失敗しても俺の人間の肉体は死ぬのだ。だが、俺はやる。
「俺の死体は適当にしてくれ、なんならドナーでもしといてくれ免許証に書いてある。」
「分かった臓器はドナーして残りはミイラにしてからお前の部屋にでも飾ってやるよ」
そりて日は沈み、最後の夕日、最後の太陽、最期の街並み、そして最後の涙を見た。それはとても美しく、不意にも俺の心を動揺させられたほどだった。思えば中学からの付き合いだこんな感傷に浸ってしまう理由としては十分すぎるだろう。そして、俺たちは会社とは少し離れた、マンションの一部屋にやってきた…いやこの表現は良くないな、なぜならこのマンションはすべて俺たち2人が買い、1階から3階までの屋根と壁をすべてくり抜き、本当に傍から見ればMRIのような機械が置いてある。
 「最後に言い残すことはないのか?家族とか恋人とかセフレとか…?」
 「最後の最後に俺よ心をえぐりに来るなよ!俺にはそのすべてがないわー!」
 そう、俺はこの親友以外は本当に誰もいない。女性経験一切なくして一度も陽の目も見ずに終わってしまう俺のしたの息子よすまなかったな。とほんの少し悲しくなったがすぐに気を取り戻し、
 「それじゃあ、向こうで会えるの楽しみにしてるぜ我が最優の友よ親友よ
 「ああ、一月後お前に会えることを心より楽しみにしてる。死ぬなよ。」
 と半泣きになりながら俺の手を握っている最優は無理やり頬の筋肉を釣り上げとても不格好なかたちの顔を一生懸命つくっていたのを横目で見ながら言った。
 「始めてくれ」
 すぐに目を瞑り体の力を抜き、息を吐くと同時に身体中をものすごい熱で焼かれるような、焼かれたことはないが、赤外線コンロの中ってこんなんなのかなと思っているととてつもない頭痛で意識を保てなくなり、そのまま意識を失った。
 

意識が戻り、100万分の1の確率以下を当てた俺はこの表現のしようのない喜びを感じ、今なら地球だろうが何だろうが拳ひとつで砕けそうな気になり、腕を振ろうとすると腕が、いや、俺には体がなくその前に俺の目の前にはただただ永遠に続く白い世界しかなかった。


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