ネームイーター

河内三比呂

サイド シルバーな俺達 4

 PM:16:35 日野市内某所・私有地内廃墟。

 『シルバーな俺達』のメンバーは自分たちの運の無さ・・いや思量の足りなさを後悔していた。
「くそ・・なぜこんな奴を信じまったんだよ!!オレ達は!」
 悔しさに震える北沢に、《ネームイーター》はチッチッと指を振る。
 さかのぼること数時間前、食事を終えた4人はとある一室に連れてこられた。
 そして、目が覚めると人気のない見知らぬ場所で拘束されていた。

 目の前でうつ伏せにされている土方が叫ぶ。
「チキショウ!!!最初からこういうつもりだったのかよ!!!堀内ィイイイイ!!!」
 その言葉に、《ネームイーター》―の衣装に身を包んだ堀内洋児は笑みを浮かべる。
「いやいや?最初はどちらかというと遊びのつもりだったんだ。ほら、君達っていかにも・・頭悪そうだったからね。クックッ・・だからちょっとだけ情報を教えたらすぐ飛びついて・・。おまけに動画にまでしてくれて。本当にうれしいよ」
 いつも以上に饒舌な彼に吉澤が声をあげる。
「あああの・・目的はなんなんですか・・?こん・・っなこと・・して・・」
「そりゃあ当然、評価されるためだよ?」
「は?」
「いやだからね?私は三流で終わる人間ではないと、つくづくいらだっていたんだ。そんな時、《ネームイーター》に出会ってね・・。その瞬間ひらめいたんだよ。自分でスクープをつくればいいんだってことに!」
 あんまりな動機に四人は戦慄する。この男はたったそれだけのために、人を殺したっていうのか?
「アンタ・・イカレてるぜ・・そんな理由で!!」
「おいおい土方君?君達だってそうだろう?評価がほしいから、目立ちたいから、あんなジャーナリストの真似事をしたのだろう?私だってそうさ。評価がほしい。有能だと認めさせたい。そのためにスクープをつくる。何か問題でもあるのかね?」
 そういうと、高笑いを浮かべながら土方にまたがる堀内に、沈黙していた成瀬がふと違和感に気づく。
(このおっさん、《ネームイーター》に会ったって?・・つまり?)
「なーおっさん?一つ聞いときたいんだけど、《ネームイーター》会ったってどーゆう意味よ?」
 すると、さも可笑しそうに答える。
「意味も何もそのままさ?私は《ネームイーター》に会い、そして《ネームイーター》の座を奪ったのさ!いやぁ本当に、近頃の若者の考えることは・・馬鹿げているが使えるねぇ。というわけで、長々と話したところで、そろそろ始めるとしようか?さぁ・・まずは・・土方君!!」
 そういい、手にしていたバットを振り上げる。北沢が叫ぶ。
「やめろぉおおおおお!!!!」
「やめないさ!!!アハハハッハハッ!!」

 バン!!バン!!バン!!バァン!!
 派手な音を上げながら、扉の鍵を壊し中に入りそして
「はーい、そこまで。超エースな刑事さんの登場だよー!!」
「お前は生活安全課だろうが!下がれ!!そこの《ネームイーター》もとい、堀内洋児!!監禁及び殺人未遂の現行犯で逮捕する!!武器を捨て、両手をあげろ!!」
「な・・なぜここに!?バカな!!」
 思わぬ警察の登場に、堀内は動揺し土方から降りると、衣装のスイッチを押す。
「くっ!?つ・・逃がす・・グッ!?」
 突然の発光に目が眩んだ刑事を殴り飛ばすと、堀内は逃走する。
「先輩!!ちょ・・えー!?」
 どけと言われたため、まずは三人の拘束を解いていた朝倉が反応する。
「先輩・・くっ・・あー解錠一人したからあとよろしくー!!すぐ応援くるし!ね!」
「えっちょ!?刑事さん!?」
 最初に解いた成瀬に鍵を渡す。
「僕だって刑事だよ?市民と・・仲間に手を出されたら、逃がすわけないだろうが・・。」
 そういうと、全速力で追いかけていく。

 その姿を見送った後、次々解錠していく成瀬と、一番に解錠された吉澤が倒れている刑事の傍による。
「け・・刑事さん!!だ大丈夫ですか・・?」
「あぁ・・なんと・・か・・な・・。くっ・・情けねぇが動けねぇ・・」
 どうやら思い切り頭に当たってしまったらしい刑事の姿にさらに動揺する。
 その様子に気づいたのか、精一杯の言葉を紡ぐ。
「君達こそ・・よくやった・・。朝倉に・・メール・・くれたおかげだ・・」

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