聖剣を抜いたのが僕でごめんなさい!
第二十話 サーボンティーを飲みながら
「そうしましたら『砂漠ワイン』の定期納品につきましては前年比の2倍という事で進めたいと思います。よろしいでしょうか。」
「うむ。」
「意義なーし」
ートコナッツ王宮大会議室ー
50人掛け用の円卓にピッシリと両国の高官たちが座っている。二人の国王が正面に向かい合うも、私語が出来る距離感には無い。
今外交のメインであるこの外交会議が開かれたのは結局、試合の行われた次の日の夕刻だった。
サウザンドはダメージの蓄積とスキル使用による疲労がたたり、昨日は晩まで体の自由が利かなかったのだ。
ートコナッツ王宮中庭ー
つい先ほどまで人間に敵意を向けているのではと決めつけてしまいたくなる太陽の日差しはなりを潜め、大噴水の水面に、もはや芸術的とも言えるオレンジ色の波紋を作り出していた。
国内外から集められた様々な植物は、今しがた作業を終えた庭師であろう老人と少年によって丁寧に整えられているのがわかる。
一際花々が咲き乱れるファンシーなエリアには屋根付きのベンチがあり、リーンとエリス、それにクポルがトコナッツ名物[サーボンティー]を飲みながら休んでいた。
「本当に凄かったですねー!あの二人!いつか僕もメラメラと戦いたいです!」
若獅子会議[第7席]クポル・アインズの興奮は未だに冷めていない様子だった。
「もう!ずっとうっさいわね!それにアンタの氷系のスキルじゃサウザンドには勝てっこナイナイ、、炎と氷じゃ相性最悪よ」
「うぅ、、そんなぁ、、」
「アンタが選ばれてたら私は今頃『花嫁』よ!大して好きでもない男のね!」
二人の会話をハタから聞いていたエリスは薄っすら笑みを浮かべる。
「そうですわよクポル!リーン王女には『ユタロウ』って言う心に決めた殿方がいらっしゃるのよ!」
「そうそう!私には『ユタロウ』って言う、、てコラー!!」
リーンは顔を真っ赤に燃え上がらせツッコミを入れるも、わかりやす過ぎる反応に一同はため息を漏らしてしまう。
「素直じゃないんだから」
「アイツは今関係ないでしょ!私はクポルのスキルじゃサウザンドに勝てなかったって言ってるだけよ!」
エリスは咳払いを一つ挟むと少し真面目な顔をする。
「クポルが勝てないって言うよりか、同年代で彼らと勝負出来る子なんてほぼいませんわ。現時点で彼らの強さは異常に完成してしまっている、、リーンもアナタもまだまだこれからですわよ!」
(あなたたちは気付いているのかしら。タケルやサウザンド王を筆頭に『新しい波』と呼ばれているこの世代は、歴代でも類を見ない『黄金期』ですのよ)
「実際あなたはどう思います?タケル」
「リーン王女とユタロウがいい加減にくっつけば良いのにと思います!」
タケルはリーンとクポルの真後ろに気配を消していた立っていた。
二人は驚いて[サーボンティー]を豪快に吹き出した。
「もうその話は終わったわよ!この子の子供みたいな恋愛話はもういいの。あなたに同世代で敵がいるのかしらって話ですわ」
「エリスさん、買いかぶりすぎです!僕はリーン王女やクポルに絶対勝てるなんて自信ありませんよ」
こめかみの辺りを人差し指で掻きながら照れて見せるタケル。
「ちょ、ちょっと待って!アンタいつから居たのよ!」
「一応今回の話の冒頭から居ますけど、、」
そう言うと『第二十話』と書かれた台本を手に持ちパラパラとめくり出した。
「そんなもん誰に渡されたのよ!」
「あら!私も持ってますわよ!」
「実は僕も、、」
リーン以外の三人は台本を読みあい打ち合わせを始める。
「おい作者!私にも渡さんかい!!」
エリスがパラパラと台本をめくる手を止めると『ボン!』と言う音と共にソレは三人の手元から消えた。
「冗談はさて置き。会議の方もそろそろ本題に入っている頃ですわね、、」
「世界連合軍加盟への調停。トコナッツ王国と我が国の関係性からして本来、難航し得ない議題の筈ですが、今回ばかりは難しい、、サウザンド王の一存と言う訳には行かないでしょう。」
「国の主人が『勇者』だなんて、国民は不憫よねー」
リーンは冷たく冷えた大理石のテーブルに顎を乗せて、夏バテした犬のように気怠げだった。
「でもでも!」
クポルが思い立った様に勢い良く話を切り出す。
「サウザンド王が入ってもらわないと困ります!僕たちだって魔人に対抗できる術は持っていますが、『聖剣』の一振りには敵いません!相手が魔王ともなれば勇者の存在は必要不可欠です!」
「文献では100年前の魔王討伐戦には勇者5人が集結したと記されています。もしこの調停が決裂した場合、連合軍自体見送りの可能性もあるでしょうね」
クポルに続いてタケルも最もらしい意見を述べる。
「ところで、、」
冷えた大理石のテーブルから顔を上げたリーン。顎が少し赤くなっているのも気にせず一同に疑問を呈した。
「その『勇者』ってのは今何人いるわけ?」
「現在確認されているのは、、、」
エリスはリーンに向かい話し出す。
すでに日は落ちかけ足元を照らすランプには火が灯っていた。
「うむ。」
「意義なーし」
ートコナッツ王宮大会議室ー
50人掛け用の円卓にピッシリと両国の高官たちが座っている。二人の国王が正面に向かい合うも、私語が出来る距離感には無い。
今外交のメインであるこの外交会議が開かれたのは結局、試合の行われた次の日の夕刻だった。
サウザンドはダメージの蓄積とスキル使用による疲労がたたり、昨日は晩まで体の自由が利かなかったのだ。
ートコナッツ王宮中庭ー
つい先ほどまで人間に敵意を向けているのではと決めつけてしまいたくなる太陽の日差しはなりを潜め、大噴水の水面に、もはや芸術的とも言えるオレンジ色の波紋を作り出していた。
国内外から集められた様々な植物は、今しがた作業を終えた庭師であろう老人と少年によって丁寧に整えられているのがわかる。
一際花々が咲き乱れるファンシーなエリアには屋根付きのベンチがあり、リーンとエリス、それにクポルがトコナッツ名物[サーボンティー]を飲みながら休んでいた。
「本当に凄かったですねー!あの二人!いつか僕もメラメラと戦いたいです!」
若獅子会議[第7席]クポル・アインズの興奮は未だに冷めていない様子だった。
「もう!ずっとうっさいわね!それにアンタの氷系のスキルじゃサウザンドには勝てっこナイナイ、、炎と氷じゃ相性最悪よ」
「うぅ、、そんなぁ、、」
「アンタが選ばれてたら私は今頃『花嫁』よ!大して好きでもない男のね!」
二人の会話をハタから聞いていたエリスは薄っすら笑みを浮かべる。
「そうですわよクポル!リーン王女には『ユタロウ』って言う心に決めた殿方がいらっしゃるのよ!」
「そうそう!私には『ユタロウ』って言う、、てコラー!!」
リーンは顔を真っ赤に燃え上がらせツッコミを入れるも、わかりやす過ぎる反応に一同はため息を漏らしてしまう。
「素直じゃないんだから」
「アイツは今関係ないでしょ!私はクポルのスキルじゃサウザンドに勝てなかったって言ってるだけよ!」
エリスは咳払いを一つ挟むと少し真面目な顔をする。
「クポルが勝てないって言うよりか、同年代で彼らと勝負出来る子なんてほぼいませんわ。現時点で彼らの強さは異常に完成してしまっている、、リーンもアナタもまだまだこれからですわよ!」
(あなたたちは気付いているのかしら。タケルやサウザンド王を筆頭に『新しい波』と呼ばれているこの世代は、歴代でも類を見ない『黄金期』ですのよ)
「実際あなたはどう思います?タケル」
「リーン王女とユタロウがいい加減にくっつけば良いのにと思います!」
タケルはリーンとクポルの真後ろに気配を消していた立っていた。
二人は驚いて[サーボンティー]を豪快に吹き出した。
「もうその話は終わったわよ!この子の子供みたいな恋愛話はもういいの。あなたに同世代で敵がいるのかしらって話ですわ」
「エリスさん、買いかぶりすぎです!僕はリーン王女やクポルに絶対勝てるなんて自信ありませんよ」
こめかみの辺りを人差し指で掻きながら照れて見せるタケル。
「ちょ、ちょっと待って!アンタいつから居たのよ!」
「一応今回の話の冒頭から居ますけど、、」
そう言うと『第二十話』と書かれた台本を手に持ちパラパラとめくり出した。
「そんなもん誰に渡されたのよ!」
「あら!私も持ってますわよ!」
「実は僕も、、」
リーン以外の三人は台本を読みあい打ち合わせを始める。
「おい作者!私にも渡さんかい!!」
エリスがパラパラと台本をめくる手を止めると『ボン!』と言う音と共にソレは三人の手元から消えた。
「冗談はさて置き。会議の方もそろそろ本題に入っている頃ですわね、、」
「世界連合軍加盟への調停。トコナッツ王国と我が国の関係性からして本来、難航し得ない議題の筈ですが、今回ばかりは難しい、、サウザンド王の一存と言う訳には行かないでしょう。」
「国の主人が『勇者』だなんて、国民は不憫よねー」
リーンは冷たく冷えた大理石のテーブルに顎を乗せて、夏バテした犬のように気怠げだった。
「でもでも!」
クポルが思い立った様に勢い良く話を切り出す。
「サウザンド王が入ってもらわないと困ります!僕たちだって魔人に対抗できる術は持っていますが、『聖剣』の一振りには敵いません!相手が魔王ともなれば勇者の存在は必要不可欠です!」
「文献では100年前の魔王討伐戦には勇者5人が集結したと記されています。もしこの調停が決裂した場合、連合軍自体見送りの可能性もあるでしょうね」
クポルに続いてタケルも最もらしい意見を述べる。
「ところで、、」
冷えた大理石のテーブルから顔を上げたリーン。顎が少し赤くなっているのも気にせず一同に疑問を呈した。
「その『勇者』ってのは今何人いるわけ?」
「現在確認されているのは、、、」
エリスはリーンに向かい話し出す。
すでに日は落ちかけ足元を照らすランプには火が灯っていた。
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