聖剣を抜いたのが僕でごめんなさい!
第十三話 ネフィリム
[サイゴー・キングスマン]
年齢:44
職業:王国兵士団長兼第四アカデミー学園長
『ステータス』
心力:SS
技力:A
体力:SS
筋力:SSS
脚力:SS
魔力:B
知力:C
『スキル』
鬼神の心得:S・闘神の心得:S・一撃の重さ:S
魔力耐性:A・迫撃強化:S・生命力:S
(固有)巨大化:S
「相変わらず筋肉バカじゃのー!」
「うるせぇ!こちとら何も不便はしてねんだよ!」
腕相撲勝負のあと、ゴトーはサイゴーの修行度合いを確認すると言い出し、ステートログを更新させに行かせた。
なんだかんだ素直に従うサイゴーに『師弟』の関係性を垣間見る事が出来た。
「バカ言え。わしの持つ[武神の心得]なんかは知力も必要になってくるのじゃ!」
「俺は喧嘩殺法だ!『けんぶ』なんて使わねーんだよ」
「やれやれ、、よくこれで『六王衆』が務まるものだ」
鼻を豪快にほじりながら説教を受ける様は、『師弟』と言うより、まるで『親子』の間柄のようにも感じる。
「、、ゴトー、、本当こんな男にユタロウ任せていいわけ、、」
魔力を使い切ったリーンは、ソファーに横になりながら息も絶え絶えに意見する。
こんな状態でも喋らずにはいられない所を見ると、サイゴーの信用度はかなり低いのだろう。
自国の王女に信用されない国家最高戦力なんてこの男以外にいるのだろうか。
「おい小僧!おめぇのステータスは見さしてもらったぜ。」
「っう!、、ゴホッゴハ!」
水を飲もうと口に含んだタイミングで話しかけられた僕は、その唐突さに少しばかり吹き出し、器官に入った液体を掻き出そうと咳き込む。
「まるっきしただのガキじゃねぇか。ステータスはな、、」
「ごもっともです、、」
(それが転生の時の約束でしたから、、)
サイゴーは不信感丸出しの顔つきになり、鼻先同士がくっつくかと思うくらいに顔を近づけてきた。
「小僧。後ろのそいつは本当に[聖剣エクスカリバー]なのかよ?」
「、、そう言う話になってます、、」
(顔が近いですって!)
「俺に持たせろ」
そう言うとサイゴーはスッと立ち上がり外へ向かう扉に歩を進めた。
「ついてこい。フルパワーで相手してやる」
ニヤリと不敵な笑みを見せるサイゴーの表情は、新しいオモチャを与えられた子供のソレに似ていた。
ー大神殿・裏庭ー
普段は神官たちが己の神力を鍛える[鍛錬の場]も試験期間中はまるでひと気がなくなり、ただのだだっ広い空き地になっていた。
ちなみに『神力』と『魔力』は同一であり、名称を変えてるだけとの事らしい。神に仕える神官たちは『魔』と言う言葉を自分の側に置きたくないのだ。
「今度は何が始まるわけー、、」
「あの男は自分の目にした物しか信じぬ性分な上、、辛抱くだされ、、」
リーンはゴトーにおぶわれながらも、事の顛末を知るためにも一緒に降りてきた。
そこまでして、リーンが気にしてるのは『サイゴー』なのか『聖剣』なのか、はたまた『僕』なのか。何にせよその執着する先に何があるのかは気になるところである。
「聖剣っちゅうのは抜いた奴しか持てないって言うのは本当だな?」
「そう聞いています、、僕は以外が持てた試しが無いですし、、」
「ちなみにワシも無理だったぞー」
ゴトーは茶化すように声を上げる。
その証拠に、右鼻穴に左手の人差し指を突っ込んでいた。
(師弟揃って、鼻穴に恨みでもあるのか!)
「そいつは燃えるねー。小僧、突き立てろ!」
「本当に動きませんからねっ!!」
ザキン!
地面は思っていたより硬かったが、それでも剣の三分の一はめり込んだ。
ユタロウがその場から下がるのと同時にサイゴーは前に出て、剣の柄を握り状態を確認する。
「なるほどな。」
ドゴン!
サイゴーが力強く柄を握った瞬間、その太くて筋肉質な足がスネの辺りまで地面に沈んだ。
「ぬんっ!!」
体中に血管が浮かび上がり、筋肉は硬く膨張している。
サイゴーの足はさらに沈むが、聖剣は微動だにしていなかった。
「アッタマきたぜぇぇえええ!!!」
ズズズズッ!ズン!ズン!ボン!!
目を疑った。
先程まで話していたのは『大男』ではあったが、ただの『人間』だった。
しかし今、聖剣を抜こうとしているのは、先程と同じ『大男』又は『人間』とは思えない。
地上3階建ての大神殿から頭一つ分ほど抜きん出た高さを持ち、馬1頭を軽く乗せてしまいそうな拳。
「聖剣エクスカリバー」が爪楊枝のように小さく華奢な物に見えてしまう。
空想上の『ネフィリム』がそこにはいた。
「また一段とデカくなったのー!!ハッハ!」
「こんなの、、反則よ!!」
「これって抜けちゃうんじゃ無いですか、、」
サイゴーが獣のような雄叫びを上げると、聖剣の刺さった地面以外の半径数十メートルが一気にえぐれた。
「グガガガー!!」
ミシッ!
聖剣が動いた。
上方数センチだが、明らかに浮いた。
サイゴーはもはや白目になり、コメカミに浮かんだ血管は、はち切れる寸前であった。
「信じられないわ!力技で聖剣を!?」
サイゴーは血管を2、3本犠牲にし、最後の力を振り絞る。
「グガガガッ!、、ガ、、プシュー、、」
だが、それ以上聖剣が動く事はなかった。
固有スキル「巨大化」と言う、まさに人間を超越する事のできるサイゴーでさえ、やはり聖剣は抜くことができなかった。
「ハァー、、しんど、、、こいつは本物だぜ」
元に戻ったサイゴーは地面に寝転がり息を整えている。
聖剣の周りは『渓谷』と言っていいほど深く雑にえぐれ、人間の仕業なんて誰も予想ができないであろう状態になっている。
「、、、あのー、サイゴーさん」
「安心しろ、、小僧!お前は俺が鍛えてやる、、合格だ!」
サイゴーはニヒルな笑みをユタロウめがけて放つ。
「、、そうじゃなくて、、あの聖剣ってどうやって取りに行けばいいんですかーー!!」
「気合いだー!!」
「ええぇえー!!」
こうして僕は無事(?)学園長であり六王衆の一人でもあるサイゴー・キングスマンに認められ、第四王国騎士アカデミーに入学する事が決まったのである。
(なんか聖剣が凄かっただけな気がするんですが!!)
年齢:44
職業:王国兵士団長兼第四アカデミー学園長
『ステータス』
心力:SS
技力:A
体力:SS
筋力:SSS
脚力:SS
魔力:B
知力:C
『スキル』
鬼神の心得:S・闘神の心得:S・一撃の重さ:S
魔力耐性:A・迫撃強化:S・生命力:S
(固有)巨大化:S
「相変わらず筋肉バカじゃのー!」
「うるせぇ!こちとら何も不便はしてねんだよ!」
腕相撲勝負のあと、ゴトーはサイゴーの修行度合いを確認すると言い出し、ステートログを更新させに行かせた。
なんだかんだ素直に従うサイゴーに『師弟』の関係性を垣間見る事が出来た。
「バカ言え。わしの持つ[武神の心得]なんかは知力も必要になってくるのじゃ!」
「俺は喧嘩殺法だ!『けんぶ』なんて使わねーんだよ」
「やれやれ、、よくこれで『六王衆』が務まるものだ」
鼻を豪快にほじりながら説教を受ける様は、『師弟』と言うより、まるで『親子』の間柄のようにも感じる。
「、、ゴトー、、本当こんな男にユタロウ任せていいわけ、、」
魔力を使い切ったリーンは、ソファーに横になりながら息も絶え絶えに意見する。
こんな状態でも喋らずにはいられない所を見ると、サイゴーの信用度はかなり低いのだろう。
自国の王女に信用されない国家最高戦力なんてこの男以外にいるのだろうか。
「おい小僧!おめぇのステータスは見さしてもらったぜ。」
「っう!、、ゴホッゴハ!」
水を飲もうと口に含んだタイミングで話しかけられた僕は、その唐突さに少しばかり吹き出し、器官に入った液体を掻き出そうと咳き込む。
「まるっきしただのガキじゃねぇか。ステータスはな、、」
「ごもっともです、、」
(それが転生の時の約束でしたから、、)
サイゴーは不信感丸出しの顔つきになり、鼻先同士がくっつくかと思うくらいに顔を近づけてきた。
「小僧。後ろのそいつは本当に[聖剣エクスカリバー]なのかよ?」
「、、そう言う話になってます、、」
(顔が近いですって!)
「俺に持たせろ」
そう言うとサイゴーはスッと立ち上がり外へ向かう扉に歩を進めた。
「ついてこい。フルパワーで相手してやる」
ニヤリと不敵な笑みを見せるサイゴーの表情は、新しいオモチャを与えられた子供のソレに似ていた。
ー大神殿・裏庭ー
普段は神官たちが己の神力を鍛える[鍛錬の場]も試験期間中はまるでひと気がなくなり、ただのだだっ広い空き地になっていた。
ちなみに『神力』と『魔力』は同一であり、名称を変えてるだけとの事らしい。神に仕える神官たちは『魔』と言う言葉を自分の側に置きたくないのだ。
「今度は何が始まるわけー、、」
「あの男は自分の目にした物しか信じぬ性分な上、、辛抱くだされ、、」
リーンはゴトーにおぶわれながらも、事の顛末を知るためにも一緒に降りてきた。
そこまでして、リーンが気にしてるのは『サイゴー』なのか『聖剣』なのか、はたまた『僕』なのか。何にせよその執着する先に何があるのかは気になるところである。
「聖剣っちゅうのは抜いた奴しか持てないって言うのは本当だな?」
「そう聞いています、、僕は以外が持てた試しが無いですし、、」
「ちなみにワシも無理だったぞー」
ゴトーは茶化すように声を上げる。
その証拠に、右鼻穴に左手の人差し指を突っ込んでいた。
(師弟揃って、鼻穴に恨みでもあるのか!)
「そいつは燃えるねー。小僧、突き立てろ!」
「本当に動きませんからねっ!!」
ザキン!
地面は思っていたより硬かったが、それでも剣の三分の一はめり込んだ。
ユタロウがその場から下がるのと同時にサイゴーは前に出て、剣の柄を握り状態を確認する。
「なるほどな。」
ドゴン!
サイゴーが力強く柄を握った瞬間、その太くて筋肉質な足がスネの辺りまで地面に沈んだ。
「ぬんっ!!」
体中に血管が浮かび上がり、筋肉は硬く膨張している。
サイゴーの足はさらに沈むが、聖剣は微動だにしていなかった。
「アッタマきたぜぇぇえええ!!!」
ズズズズッ!ズン!ズン!ボン!!
目を疑った。
先程まで話していたのは『大男』ではあったが、ただの『人間』だった。
しかし今、聖剣を抜こうとしているのは、先程と同じ『大男』又は『人間』とは思えない。
地上3階建ての大神殿から頭一つ分ほど抜きん出た高さを持ち、馬1頭を軽く乗せてしまいそうな拳。
「聖剣エクスカリバー」が爪楊枝のように小さく華奢な物に見えてしまう。
空想上の『ネフィリム』がそこにはいた。
「また一段とデカくなったのー!!ハッハ!」
「こんなの、、反則よ!!」
「これって抜けちゃうんじゃ無いですか、、」
サイゴーが獣のような雄叫びを上げると、聖剣の刺さった地面以外の半径数十メートルが一気にえぐれた。
「グガガガー!!」
ミシッ!
聖剣が動いた。
上方数センチだが、明らかに浮いた。
サイゴーはもはや白目になり、コメカミに浮かんだ血管は、はち切れる寸前であった。
「信じられないわ!力技で聖剣を!?」
サイゴーは血管を2、3本犠牲にし、最後の力を振り絞る。
「グガガガッ!、、ガ、、プシュー、、」
だが、それ以上聖剣が動く事はなかった。
固有スキル「巨大化」と言う、まさに人間を超越する事のできるサイゴーでさえ、やはり聖剣は抜くことができなかった。
「ハァー、、しんど、、、こいつは本物だぜ」
元に戻ったサイゴーは地面に寝転がり息を整えている。
聖剣の周りは『渓谷』と言っていいほど深く雑にえぐれ、人間の仕業なんて誰も予想ができないであろう状態になっている。
「、、、あのー、サイゴーさん」
「安心しろ、、小僧!お前は俺が鍛えてやる、、合格だ!」
サイゴーはニヒルな笑みをユタロウめがけて放つ。
「、、そうじゃなくて、、あの聖剣ってどうやって取りに行けばいいんですかーー!!」
「気合いだー!!」
「ええぇえー!!」
こうして僕は無事(?)学園長であり六王衆の一人でもあるサイゴー・キングスマンに認められ、第四王国騎士アカデミーに入学する事が決まったのである。
(なんか聖剣が凄かっただけな気がするんですが!!)
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