聖剣を抜いたのが僕でごめんなさい!
第八話 王都へ!
[王都エスターテイル]
交易商人の町[ヨーデル]が魔人に襲われたという情報は3日も経たずして、ここ王都にも広まっていた。
ー中央区・ブリニッジ噴水広場ー
「ヨーデルってすぐ近くじゃない、、怖いわね」
「私なんか、ついこの間行ってきたばかりよ。本当に運が良かったわ」
「昨日、ヨーデルから来たって言う行商さんに会ったんだけど、とても悲惨だったらしいわよ」
「「「やぁーねー」」」
王都の主婦たちは怖がりつつも、話のネタができた事で、どこか生き生きしている。
太陽光が燦々と降り注ぎ、清々しい風が吹き抜ける噴水広場には露天商などがあちらこちらで店を開いている。
路は石の配置さえ計算し整備され、周りを囲む建物はどれもが綺麗なレンガ造りだ。
彼女たちがどこか他人事で話が出来るのも、この国の国力があってこそだろう。
ー東区・兵士訓練場ー
「いくら魔人が強いと言えども“軍神”には敵わないよなー!」
「ある意味同情しちまうよ!相手がゴトーさんじゃ、、」
「、、、いや、それがよう」
食堂で2人の若い訓練兵が話していると、少し遠くに座っていた、中年の兵士がパンを頬張りながらスルリと隣を陣取った。近づいて来るとその熊のような体躯に圧倒される。大男は何日も体を洗っていないのか、体臭がキツく、2人の若い訓練兵は思わず顔をしかめる。
「ハハ、まあ聞けや若いの!」
どうやらこの大男は自分の臭さを理解しているらしい。しかめっ面を見て楽しんでさえいるようだ。
2人がうんざりしながら食堂を出る準備を始めるのも気に留めず、大男は話し続ける。
「確かにゴトーは活躍したんだが、魔人を倒したのは別の男だったって言う目撃談があるらしいんだよ」
「そんな!誰だって言うんだよ」
2人は食器を片付け終えると、外していた訓練用の剣を腰に装備し直し、食堂を出る準備を整えたが、一時足を止めた。大男の真剣な表情に息を飲む。
「大剣を持ったガキだったらしい」
「ガキ、、。はぁ、行こうぜ、、」
「あぁ、、」
足を止めたのが無駄だと言わんばかりのため息を吐きながら、若い訓練兵は午後の演習に向かった。
「ゴトーよ、、聖剣は何処にある、、」
大男は独り言のようにつぶやくと、食堂のおばちゃんが鼻を摘みながら睨んでいるのに気付く。
おもむろに席を立ち、右手を上げ、脇の辺りを匂ってみる。
「さて、、、風呂行くか」(本当にくせぇな)
ー交易商人の町・ヨーデル近郊の丘ー
「あんたたち早く来なさい!だらしないわね!」
魔人襲来から1週間。幸いな事に重症を免れたリーンはすっかり元気になっていた。
「はーい。王女様、、今行きますよー、、と」
ユタロウとゴトーは山のような荷物を抱えながら、ゆっくりと歩を進める。
コゲサソリの煎餅、モーモーギュウのミルク饅頭、キュアランブルで取れた山菜やコールの実、、などなど。今朝ヨーデルの朝市で買った王都へのお土産だった。
「ユタロウ!その敬語と“王女様”って言うのやめなさいって言ったわよねー!ちゃんと名前で呼んでよね!」
「はいはい、、リーンちゃん」
「、、ちゃんもダメー!リーンよ!リ・イ・ン!」
「おやおや、随分と打ち解けましたな!ハッハ!」
「「そんなんじゃない!」」
誤解を解こうとする息もぴったりだった。
“魔人ダーブル”を追い返した後、ゴトーは丸2日、リーンは3日もの間寝たきりだった。
その間介抱していたユタロウには両者とも深く感謝の気持ちを抱いており、特にリーンに至ってはその時から、敬語の禁止と名前の呼び捨てを厳命するほどだ。
2人+1人という関係性から3人組という関係性に変わっていたのであった。
「だけどあの馬置いてきて良かったんですか?首に立派な紋章付けてましたけど、、」
「いいのですよ!ただでさえ転移魔法と言うのは魔力の消費が激しいのです。人数や“物”が増えるほどにね、、、ハァー。」
ゴトーは持っているお土産の量を見て、大きなため息を漏らした。
「、、まぁしかし、あの馬がいれば復興の手助けになるかもしれないですしな」
「、、ですね。そう言う事にしておきましょう」
実際、ヨーデルの町は中央街でさえ被害が少なかったものの、西門付近は[ピグミーオーク]や魔人ダーブルとの戦闘で酷い惨状だった。西門付近の復興には3ヶ月かかる見込みらしい。
ゴトーと話しながら歩いているうちに目的の場所まで到着した。リーンは既に地面に補助魔法陣を書き終えて待っていた。
いつものリーンなら詠唱のみで転移魔法を使えるが、病み上がりという事もあり、大事を取っての策だった。
「普段からそうすれば良いのに」
「こんなのいちいち効率悪いし、めんどくさいのよ!、、、さあ早く魔法陣の中に入りなさい!」
僕とゴトーは言われるがまま、休む間も無く魔法陣に足を踏み入れた。
リーンが集中しだすと、地面に書かれた魔法陣は青く光り出し魔力の湯気のような物が漏れ出した。
「、、行くわよ。王都エスターテール!」
魔法陣の効果だろうか、いつもより強い魔力を感じる。思わず警戒するように守りの体勢を取る。
「転移魔法レクサス!!」
「ううおおおおおお!!」
次の瞬間、目を開けるとそこは「王都エスターテール」だった。
こんばんは!
第八話いかがでしたでしょうか。
正直、戦闘シーンなど勢いのあるシーンはガァーっと書き上げてしまうのですが、日常の部分を書こうとすると難しいですね。。
第八話は割りかし短いですが、かなり時間がかかってしまいました(笑)
次からはいよいよ「王都編」です!
面白くしていきたいと思いますので、引き続き宜しくお願いします!
追伸
「お気に入り」や「いいね」などが心の支えだったりします(笑)
こちらも宜しくお願いします!
交易商人の町[ヨーデル]が魔人に襲われたという情報は3日も経たずして、ここ王都にも広まっていた。
ー中央区・ブリニッジ噴水広場ー
「ヨーデルってすぐ近くじゃない、、怖いわね」
「私なんか、ついこの間行ってきたばかりよ。本当に運が良かったわ」
「昨日、ヨーデルから来たって言う行商さんに会ったんだけど、とても悲惨だったらしいわよ」
「「「やぁーねー」」」
王都の主婦たちは怖がりつつも、話のネタができた事で、どこか生き生きしている。
太陽光が燦々と降り注ぎ、清々しい風が吹き抜ける噴水広場には露天商などがあちらこちらで店を開いている。
路は石の配置さえ計算し整備され、周りを囲む建物はどれもが綺麗なレンガ造りだ。
彼女たちがどこか他人事で話が出来るのも、この国の国力があってこそだろう。
ー東区・兵士訓練場ー
「いくら魔人が強いと言えども“軍神”には敵わないよなー!」
「ある意味同情しちまうよ!相手がゴトーさんじゃ、、」
「、、、いや、それがよう」
食堂で2人の若い訓練兵が話していると、少し遠くに座っていた、中年の兵士がパンを頬張りながらスルリと隣を陣取った。近づいて来るとその熊のような体躯に圧倒される。大男は何日も体を洗っていないのか、体臭がキツく、2人の若い訓練兵は思わず顔をしかめる。
「ハハ、まあ聞けや若いの!」
どうやらこの大男は自分の臭さを理解しているらしい。しかめっ面を見て楽しんでさえいるようだ。
2人がうんざりしながら食堂を出る準備を始めるのも気に留めず、大男は話し続ける。
「確かにゴトーは活躍したんだが、魔人を倒したのは別の男だったって言う目撃談があるらしいんだよ」
「そんな!誰だって言うんだよ」
2人は食器を片付け終えると、外していた訓練用の剣を腰に装備し直し、食堂を出る準備を整えたが、一時足を止めた。大男の真剣な表情に息を飲む。
「大剣を持ったガキだったらしい」
「ガキ、、。はぁ、行こうぜ、、」
「あぁ、、」
足を止めたのが無駄だと言わんばかりのため息を吐きながら、若い訓練兵は午後の演習に向かった。
「ゴトーよ、、聖剣は何処にある、、」
大男は独り言のようにつぶやくと、食堂のおばちゃんが鼻を摘みながら睨んでいるのに気付く。
おもむろに席を立ち、右手を上げ、脇の辺りを匂ってみる。
「さて、、、風呂行くか」(本当にくせぇな)
ー交易商人の町・ヨーデル近郊の丘ー
「あんたたち早く来なさい!だらしないわね!」
魔人襲来から1週間。幸いな事に重症を免れたリーンはすっかり元気になっていた。
「はーい。王女様、、今行きますよー、、と」
ユタロウとゴトーは山のような荷物を抱えながら、ゆっくりと歩を進める。
コゲサソリの煎餅、モーモーギュウのミルク饅頭、キュアランブルで取れた山菜やコールの実、、などなど。今朝ヨーデルの朝市で買った王都へのお土産だった。
「ユタロウ!その敬語と“王女様”って言うのやめなさいって言ったわよねー!ちゃんと名前で呼んでよね!」
「はいはい、、リーンちゃん」
「、、ちゃんもダメー!リーンよ!リ・イ・ン!」
「おやおや、随分と打ち解けましたな!ハッハ!」
「「そんなんじゃない!」」
誤解を解こうとする息もぴったりだった。
“魔人ダーブル”を追い返した後、ゴトーは丸2日、リーンは3日もの間寝たきりだった。
その間介抱していたユタロウには両者とも深く感謝の気持ちを抱いており、特にリーンに至ってはその時から、敬語の禁止と名前の呼び捨てを厳命するほどだ。
2人+1人という関係性から3人組という関係性に変わっていたのであった。
「だけどあの馬置いてきて良かったんですか?首に立派な紋章付けてましたけど、、」
「いいのですよ!ただでさえ転移魔法と言うのは魔力の消費が激しいのです。人数や“物”が増えるほどにね、、、ハァー。」
ゴトーは持っているお土産の量を見て、大きなため息を漏らした。
「、、まぁしかし、あの馬がいれば復興の手助けになるかもしれないですしな」
「、、ですね。そう言う事にしておきましょう」
実際、ヨーデルの町は中央街でさえ被害が少なかったものの、西門付近は[ピグミーオーク]や魔人ダーブルとの戦闘で酷い惨状だった。西門付近の復興には3ヶ月かかる見込みらしい。
ゴトーと話しながら歩いているうちに目的の場所まで到着した。リーンは既に地面に補助魔法陣を書き終えて待っていた。
いつものリーンなら詠唱のみで転移魔法を使えるが、病み上がりという事もあり、大事を取っての策だった。
「普段からそうすれば良いのに」
「こんなのいちいち効率悪いし、めんどくさいのよ!、、、さあ早く魔法陣の中に入りなさい!」
僕とゴトーは言われるがまま、休む間も無く魔法陣に足を踏み入れた。
リーンが集中しだすと、地面に書かれた魔法陣は青く光り出し魔力の湯気のような物が漏れ出した。
「、、行くわよ。王都エスターテール!」
魔法陣の効果だろうか、いつもより強い魔力を感じる。思わず警戒するように守りの体勢を取る。
「転移魔法レクサス!!」
「ううおおおおおお!!」
次の瞬間、目を開けるとそこは「王都エスターテール」だった。
こんばんは!
第八話いかがでしたでしょうか。
正直、戦闘シーンなど勢いのあるシーンはガァーっと書き上げてしまうのですが、日常の部分を書こうとすると難しいですね。。
第八話は割りかし短いですが、かなり時間がかかってしまいました(笑)
次からはいよいよ「王都編」です!
面白くしていきたいと思いますので、引き続き宜しくお願いします!
追伸
「お気に入り」や「いいね」などが心の支えだったりします(笑)
こちらも宜しくお願いします!
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