聖剣を抜いたのが僕でごめんなさい!
第七話 やっぱり僕が主人公でした
踏み込みは決して浅くはなかった。
魔人は胴体の半分を切られてなお、膝すら付くことが無い。
「せいりゃーっ!」
ゴトーはここを機とばかりに閃光の如く刃を雨を浴びせる。
体をすっぽり隠していたマントは散りじりになり、その紫がかった肌が露わになる。
緑色の血が体の至る所から滴っている。
しかし、魔人はまだ立っていた。
よく見ると、最初に切ったはずの胴体の傷が半分以上塞がっている。
「あなた、人間の割には強いですね。名前をお教え願いますか?」
「ハァ、、すまんな、、魔人に名乗る名など持ち合わせておらんわ、、」
ゴトーは少々息を切らしていた。
無理もない。中央街から向かう途中戦闘をこなし、ほぼ止まることなく全力疾走してきたのだ。
「それは残念です、、強者の名前は礼儀として覚えておきたいたちなのですが、、殺してしまう前に」
そういうと魔人は凄まじい殺気を放ち出した。
思わず全身に鳥肌が立つ。
ゴトーはと言うと、次に起こることを予測し、守りの体勢に入る。
魔人は人差し指を天に立てた。
風の流れが乱暴になり始め、数秒と経たないうちに、馬一頭はすっぽり収まるであろう、邪悪極まりない球体がその先に出来上がってしまう。
「あれはヤバい」
素人の僕が直感的に感じるほど、危険な浮遊体だ。[絶対的暴力]そんな気配がビシビシ風に乗り伝わってくる。
「リーン様!!ユタロウ殿!!」
ゴトーは軸足を目一杯後ろに下げその[絶対的暴力]に対して臨戦体勢を取りつつ、僕たちの名前を叫んだ。
「お逃げください!!」
遠くからだがわかる。
ゴトーさんは僕たちに微笑みかけている。
あれはさっきのリーンと一緒。
自分を犠牲にしてまで誰かを守ろうとする人のする顔だ。
「ユタロウ!行くわよ!」
「ちょ、、ちょっと待った!嘘だろ?」
あまりに驚き、王女に対して敬語の使い方を忘れてしまう。
彼女はゴトーの言いつけ通り、“逃げる覚悟”を決めたようだ。
「ゴトーさんを置いて逃げるなんて、そんな薄情な事出来るかよ!!」
「あんた本当にバカなの!“あの”ゴトーが逃げろって言ってるの!戦場で最高・最強の兵士が勝てないって言ってるのよ!」
「だったら尚更助ける!無力かもしれないけど、この世界でも戦わずに逃げるなんてごめんだ!」
「あんた意味わかんないのよっ!」
パシン!
リーンは僕の左頬を思いっきりぶった。
そしてすぐに手で顔を覆いしゃがみ込むと、ヒックヒックと肩を揺らしながら泣き出してしまった。
「私の大好きなゴトーに最後くらいはカッコつけさせてよ、、ゴトーを“王女を守った英雄”にしてあげて、、お願い、、」
魔人の作り出す醜悪な球体は益々大きくなり、馬どころか家一棟が収まってしまいそうだった。
僕は背負っていた[聖剣エクスカリバー]の柄を、今度こそしっかり握り魔人に向け構えた。
「ユタロウ、、」
リーンを見て、次にゴトーさんを見る。
どちらもボロボロだった。
全ては目の前にいる“魔人”とか言うチート級の怪物の所為だ。
「俺の平穏な日常を返しやがれ、、」
ユタロウは魔人に向かい猛然と走り出す。
「うおおおー!」
「バカなっ!ユタロウ殿!」
ゴトーは目の前の光景を疑う。
「ユタロウ!!」
リーンはぐちゃぐちゃな感情の中、ユタロウの背中を目で追う事しか出来なかった。
「ん?フフッ、まあいい。雑魚には用はありません。フィナーレと行きましょう!」
魔人は向かってくるユタロウに気付くも、彼は自分に傷一つ付けることは出来ないと言う、圧倒的な自信からか、まるで気にしていない。
が、念のため、ピンポン球ほどの小さい魔弾を違う方の手先で器用に作り、後方に迫ったユタロウに後ろ向きのまま投げつけた。
「行かん!逃げなされ!」
「うおお、、!」
ドバン!
成すすべなく直撃。
衝撃で粉塵が捲き上る。
ゴトーもリーンも分かりきった結末にただ落胆する。
「さあ、虫ケラは消えました!次はあなたで、、、ぐあ!!」
[絶対的暴力]が消えた。
[聖剣エクスカリバー]が魔人の胸元中央を背中から貫いたのだ。
「うおおお!ビックリしたー!、、けど、なんか大丈夫だったぞー!」
ユタロウはもう一撃喰らわそうと欲張るものの、魔人に突き飛ばされる。
「間一髪交わしたのですな!お見事ですぞ!」
「そんな、、」
(違う。確実にあたっていたわ、、どういう事なの?)
魔人も困惑していた。
小さな魔弾と言っても人間程度なら当たれば即死に出来るはずなのだ。
それに極め付けはこの傷だった。
「ううぅ。痛え!!塞がらねえ!!」
「当たり前だわ!聖剣に切られて、なんともない魔人がいてたまるかっての!」
「聖剣、、だと、、!」
「いかにも!ユタロウ殿の持つ剣こそ最強の聖剣、、エクスカリバーに他ならぬ!」
魔人は明らかに血相を変えていた。
彼らにとって[聖剣]とは[ナメクジに塩]のような物なのだ。
「っく、、まさかこんな場所に聖剣の使い手がいるとは、、」
ユタロウ、そしてゴトーは再び魔人に剣を向け、追い討ちを目論む。
形成は逆転した。
「こんな所で死んでたまりますか!」
そう言うと魔人は背中から大きな黒い翼を出現させ、上空へと羽ばたく。
「君の名を教えてください、、」
「ユタロウだ!降りてこい!ずるいぞ!」
「ユタロウですね。文字通り胸に刻みましょう。そして我が名はダブール!覚えておくといいでしょう。いずれあなたを殺す者です」
「それではまたお会いしましょう」
そう言い残すと、まるでミサイルの様な速度で北の空へと消えて行った。
魔人の脅威から解放された途端に、3人は地面にヘタリ込むのであった。
今回はスピーディに更新出来ました!
(心と体に余裕があると更新が早いのだ笑)
待ちに待ったユタロウの活躍回でした!
彼もやる時はやる男なんですね!
戦素人なのに魔人を追っ払うなんて、、皆さん褒めてあげてくださいね!(笑)
王都到着も間近でしょうか?!
引き続き宜しくお願いします!
魔人は胴体の半分を切られてなお、膝すら付くことが無い。
「せいりゃーっ!」
ゴトーはここを機とばかりに閃光の如く刃を雨を浴びせる。
体をすっぽり隠していたマントは散りじりになり、その紫がかった肌が露わになる。
緑色の血が体の至る所から滴っている。
しかし、魔人はまだ立っていた。
よく見ると、最初に切ったはずの胴体の傷が半分以上塞がっている。
「あなた、人間の割には強いですね。名前をお教え願いますか?」
「ハァ、、すまんな、、魔人に名乗る名など持ち合わせておらんわ、、」
ゴトーは少々息を切らしていた。
無理もない。中央街から向かう途中戦闘をこなし、ほぼ止まることなく全力疾走してきたのだ。
「それは残念です、、強者の名前は礼儀として覚えておきたいたちなのですが、、殺してしまう前に」
そういうと魔人は凄まじい殺気を放ち出した。
思わず全身に鳥肌が立つ。
ゴトーはと言うと、次に起こることを予測し、守りの体勢に入る。
魔人は人差し指を天に立てた。
風の流れが乱暴になり始め、数秒と経たないうちに、馬一頭はすっぽり収まるであろう、邪悪極まりない球体がその先に出来上がってしまう。
「あれはヤバい」
素人の僕が直感的に感じるほど、危険な浮遊体だ。[絶対的暴力]そんな気配がビシビシ風に乗り伝わってくる。
「リーン様!!ユタロウ殿!!」
ゴトーは軸足を目一杯後ろに下げその[絶対的暴力]に対して臨戦体勢を取りつつ、僕たちの名前を叫んだ。
「お逃げください!!」
遠くからだがわかる。
ゴトーさんは僕たちに微笑みかけている。
あれはさっきのリーンと一緒。
自分を犠牲にしてまで誰かを守ろうとする人のする顔だ。
「ユタロウ!行くわよ!」
「ちょ、、ちょっと待った!嘘だろ?」
あまりに驚き、王女に対して敬語の使い方を忘れてしまう。
彼女はゴトーの言いつけ通り、“逃げる覚悟”を決めたようだ。
「ゴトーさんを置いて逃げるなんて、そんな薄情な事出来るかよ!!」
「あんた本当にバカなの!“あの”ゴトーが逃げろって言ってるの!戦場で最高・最強の兵士が勝てないって言ってるのよ!」
「だったら尚更助ける!無力かもしれないけど、この世界でも戦わずに逃げるなんてごめんだ!」
「あんた意味わかんないのよっ!」
パシン!
リーンは僕の左頬を思いっきりぶった。
そしてすぐに手で顔を覆いしゃがみ込むと、ヒックヒックと肩を揺らしながら泣き出してしまった。
「私の大好きなゴトーに最後くらいはカッコつけさせてよ、、ゴトーを“王女を守った英雄”にしてあげて、、お願い、、」
魔人の作り出す醜悪な球体は益々大きくなり、馬どころか家一棟が収まってしまいそうだった。
僕は背負っていた[聖剣エクスカリバー]の柄を、今度こそしっかり握り魔人に向け構えた。
「ユタロウ、、」
リーンを見て、次にゴトーさんを見る。
どちらもボロボロだった。
全ては目の前にいる“魔人”とか言うチート級の怪物の所為だ。
「俺の平穏な日常を返しやがれ、、」
ユタロウは魔人に向かい猛然と走り出す。
「うおおおー!」
「バカなっ!ユタロウ殿!」
ゴトーは目の前の光景を疑う。
「ユタロウ!!」
リーンはぐちゃぐちゃな感情の中、ユタロウの背中を目で追う事しか出来なかった。
「ん?フフッ、まあいい。雑魚には用はありません。フィナーレと行きましょう!」
魔人は向かってくるユタロウに気付くも、彼は自分に傷一つ付けることは出来ないと言う、圧倒的な自信からか、まるで気にしていない。
が、念のため、ピンポン球ほどの小さい魔弾を違う方の手先で器用に作り、後方に迫ったユタロウに後ろ向きのまま投げつけた。
「行かん!逃げなされ!」
「うおお、、!」
ドバン!
成すすべなく直撃。
衝撃で粉塵が捲き上る。
ゴトーもリーンも分かりきった結末にただ落胆する。
「さあ、虫ケラは消えました!次はあなたで、、、ぐあ!!」
[絶対的暴力]が消えた。
[聖剣エクスカリバー]が魔人の胸元中央を背中から貫いたのだ。
「うおおお!ビックリしたー!、、けど、なんか大丈夫だったぞー!」
ユタロウはもう一撃喰らわそうと欲張るものの、魔人に突き飛ばされる。
「間一髪交わしたのですな!お見事ですぞ!」
「そんな、、」
(違う。確実にあたっていたわ、、どういう事なの?)
魔人も困惑していた。
小さな魔弾と言っても人間程度なら当たれば即死に出来るはずなのだ。
それに極め付けはこの傷だった。
「ううぅ。痛え!!塞がらねえ!!」
「当たり前だわ!聖剣に切られて、なんともない魔人がいてたまるかっての!」
「聖剣、、だと、、!」
「いかにも!ユタロウ殿の持つ剣こそ最強の聖剣、、エクスカリバーに他ならぬ!」
魔人は明らかに血相を変えていた。
彼らにとって[聖剣]とは[ナメクジに塩]のような物なのだ。
「っく、、まさかこんな場所に聖剣の使い手がいるとは、、」
ユタロウ、そしてゴトーは再び魔人に剣を向け、追い討ちを目論む。
形成は逆転した。
「こんな所で死んでたまりますか!」
そう言うと魔人は背中から大きな黒い翼を出現させ、上空へと羽ばたく。
「君の名を教えてください、、」
「ユタロウだ!降りてこい!ずるいぞ!」
「ユタロウですね。文字通り胸に刻みましょう。そして我が名はダブール!覚えておくといいでしょう。いずれあなたを殺す者です」
「それではまたお会いしましょう」
そう言い残すと、まるでミサイルの様な速度で北の空へと消えて行った。
魔人の脅威から解放された途端に、3人は地面にヘタリ込むのであった。
今回はスピーディに更新出来ました!
(心と体に余裕があると更新が早いのだ笑)
待ちに待ったユタロウの活躍回でした!
彼もやる時はやる男なんですね!
戦素人なのに魔人を追っ払うなんて、、皆さん褒めてあげてくださいね!(笑)
王都到着も間近でしょうか?!
引き続き宜しくお願いします!
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